第五幕:師の心は弟子は知らず
第五幕まで公開できました。
もっと語りたいけど、言葉が多すぎて
なんて語るべきか分からないです。
やあ、君。哲学って何かな。洞察のために必要なのか、生き方を問うために必要なのか。ボクには分からない。
君には、わかった?
第四幕は、ソクラテスと哲学者が二人で大衆食堂で舞踏汁を飲みながら、少しだけ話した様子を見た。
ソクラテスは、
哲学者に生きてほしいだけなのに、
状況は悪くなる一方だ。
ここに連れてきたのは、
哲学者にある事を、
させたかったからだ。
そして彼女の考えてた通り、
哲学者は一人の女を見つけた。
ソクラテスを攻撃するために。
哲学者の壊れた魂は、
屈辱を忘れない。
暗褐色の髪をした暗い女を、
二人の卓に連れてきた。
彼女の名はクリュシスと言って、
平民層の女性だった。
この名は、黄金を意味する。
哲学者にとって、まさに意味がある。
「哲学で、人は稼げるのか」と、
不敵な笑みを浮かべて哲学者は、
ソクラテスの生活を非難した。
「対話でお金がもらえるなんて、夢みたい」というと、哲学者はさりげなく、ソクラテスが弟子から金を恵んでもらって、贅沢な生活をしていると非難させた。
平民層の女を使って。
ああ、これがとても残酷だとは、
哲学者は少しも考えてない。
ソクラテスの目は伏せられた。
もう彼を見ないようにした。
哲学者は、満足そうにソクラテスの卓から離れた。クリュシスと共に。
彼は哲学よりも、黄金を選んだのさ。
なぜかって?
その方がマシだからさ。
ボクらは、哲学者とクリュシスの後を追わなきゃいけなくなった。
ボクはソクラテスの方を見た。
彼女は、追いかけたそうにしてた。
哲学の道に、哲学者を側に置きたかった。哲学者と話したかった。
でもソクラテスが彼と共にいたら、
彼は、いずれ殺される。バカな弟子たちに。
ソクラテスが彼に「破門だ。出ていけ」と言ったら、
彼は殺されただろう。
バカな弟子たちに。
いずれ、彼女はバカどもに皮を剥がされる。言葉を持っていた事で。
それが呪いになるんだ。
彼女は歴史には載らない。
女だから。
遠くない未来、彼女の日常はめちゃくちゃにされる。いつも通りの日常からの破滅だ。
ボクは語らない。
これは、哲学者が知らない事だ。
ずっと気づかない。
ボクらは、彼女と別れた。
(こうして、第五幕は貝のように沈黙して閉じられる)
こうして、哲学者は師のもとから離れました。
次回は、彼が運命的な出会いを果たします。