第三幕:哲学対決!知性ビンタ炸裂
やあ、君。ここからが哲学の面白いところだぜ。お互いに一歩も引かない知性ビンタ。男も女も関係なしのね。
やあ、君。ここからが哲学の面白いところだぜ。お互いに一歩も引かない知性ビンタ。男も女も関係なしのね。
さて第二幕では、ついに女ソクラテスが現れ、ボクらの哲学者に話しかけた。彼女は哲学者に問いの贈り物をする。
君、聞いてごらんよ。
こう言ってる。
「哲学者よ。正義とは、なんだ?」
彼女は、そう言って微笑む。
君、考えてごらん。正義って、何かをさ。ボクの意見なんか、どうでもいいさ。君の意見が聞きたい。
「正義とは短い定規でしか、モノを測れないバカが叫ぶ幻だ。」と哲学者は彼女を見つめた。それから、言葉を紡ぐ。
「ーー定規の長さによっては、正義は悪と誤解される。」とね。
彼女は目を細めて聞いてたよ。
とても、楽しそうに。
「そうか。興味深い答えだ。」と彼女はは微笑み、うなづく。
「それで、ーー短い定規で正義を叫ぶ者をどうする?
彼らは苦しんでいる。
だから、正義を叫ぶのだ」と彼女は更に問う。
哲学者は気持ちが良くなり、恍惚な表情で答えた。
「バカは潔く死ね」と。
ああ、これが不味かった。彼女に反撃の剣を手渡した。
「なるほど。君のいう通り、我らの友が潔く死んだとしたら、このアテネで何人が生き残ってるだろうか」とおかしそうにソクラテスは彼にいう。
この時の哲学者は、見ものだった。
悔しいやら、情けないやら、下唇を噛んで黙った。
唐突に、哲学者はかがみ込んだ。
頭を下げたんだ。
「俺はーー私は、自分が浅はかだと気づきました。今後は、貴女を師と仰ぎ、学びたいと思います」と言う。
彼は手持ちの金の入った袋を、
右手の平において彼女に差し出す。
ジャラジャラと硬貨の音が鳴る。
ソクラテスは、彼の前まできた。
ソクラテスは袋を見つめた。
黄金の反射が彼女の頬を照らす。
「……謙虚さは、お前を本道へ導いてくれるだろう。」
彼女は、ゆっくりと袋を手で掴む。
「私は、お前の話をいつでも聞きたいと思う、弟子よーー」
それから、踵を返し神殿へと帰っていく。
それを見送った哲学者。そして、周囲の拍手。これは、先ほどの傲慢な男が頭を下げて財布まで捧げたことへのものだった。金髪男は、鼻まですすってた。
でも、哲学者の、その目は悔しさが込められていた。
『いまに見てろよ。学んで、超えてやる』と思ってる顔さ。
(こうして、第三幕は金貨によって閉じられる)
哲学者は、こうして、学びの機会を得たんだ。
だけど、現実ってやつは上手くはいかない。