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ファウスト〜哲学放浪の幻視〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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2/13

第二幕:嘲笑の火花

やあ、君。来たんだね。第一幕の叫びが、アゴラをざわつかせた。哲学者の不敵な笑みが、金髪の弟子を挑発する。この時代の男たちは、隣人愛に欠け、集団の暴力が日常。知の対話は、いつ火種になるか。

やあ、君。来たんだね。哲学という舞台が、君をこの古代ギリシャにつなぎとめたのかな?


第一幕では、名前と故郷を捨てた哲学者を名乗る男が、なんとアテネのアゴラまでやってきて、ソクラテスに会いに来るというのを見た。


「俺は、女のソクラテスに会いに来た!」と再び哲学者は叫んだ。

近くにいた金髪男が彼の肩を掴む。

「貴様、無礼だぞ!このような場で、あの方を恥ずかしめる気か!」

どうやら、この金髪男は女のソクラテスの弟子のようだ。額には青筋を浮かばせていた。

「なんだ?俺は名前を呼んでいるだけだ。」と哲学者は彼を嘲笑する。

「呼ばれて恥ずかしめられる名なら、使わない方がマシだ。」と言って、哲学者は唾を吐く。彼の足元のすぐそばに。

これには金髪男は大激怒。

「そういう貴様はなんなんだ?」と哲学者に聞く。

「俺は哲学者だ。」と哲学者。

「なら、我々も哲学者だ!彼も、そこにいる、彼も哲学者だ!」金髪男はあらゆる男たちに指をさす。

「他に名前があるだろう」と哲学者は不敵な笑みを浮かべる。嘲りを込めて。

「もちろんだとも!」と金髪男。

「俺はその名も”哲学者”だ」と哲学者。

金髪男は頬を引き攣らせた。

周囲の男たちの目に怒りが宿っていた。

勘違いしてるかもしれないけど、

この時代の人間たちは神の恵みの光がない。簡単にいうと隣人愛に欠けているところがある。

集団暴力なんて、たびたびあったし、罪悪感も持ち合わせてない。

女の皮だって、迷いなく剥ぐ連中だ。

そんな人でなしどもの時代で、彼は生きていた。



「なにごとですか?」


金髪男が一声発する前に、まるで歌のような声が彼らの上に降りてきた。

まるでヴェールのように。


「何を騒いでいるのです?」と再び声がした。

今度は近くの階段の上から聞こえてくる。その神殿から、地上におりてきた女神のような女の姿が現れた。

彼女は美しいウェーブががった金の髪をして、ものすごい曲線美をもって、豊満な乳房をペプロスという衣装に包み込んでいたのさ。

階段の一段一段を降りるたびに、

豊穣の実はたゆむ。ぼよーん、ぼよーんとね。

ろくでもない時代でも、

女の美は輝いている。彼女の水色の目が哲学者を貫く。


「お前は何者だ。

ーーどこから来て、どこへ向かうのだ?」と彼女はたずねた。ゆっくりと。子供に聞かせるように、ね。

「俺はお前に会いに来た。お前の噂は遠くの故郷まで伝わった。だから、俺は来たんだ。」と哲学者は答えた。

「醜女なら、顔に唾でも吐くつもりだった。今は、そんな気はない。」と微笑む。

「私に会いに来た...か。哲学、特に対話とは常に開かれている。

ーー会いに来たなら、土産に問いをやろう。受け取ってくれるか、哲学者よ。」とソクラテスは微笑み返す。

「もらえるものは、もらおう」と哲学者は答えた。


(第二幕は、こうして女神の豊穣の実により幕を閉じる)

周囲の怒りが宿る中、哲学者の唾が足元に落ちる。女のソクラテスの噂が、嵐を呼ぶ。ろくでもない時代で、彼の魂は孤独に輝く。次は、ヴェールの声が降臨する。

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