零歳 ガリアス・リューセリア辺境伯
(*´ω`*)おはよーございます!爽やかな朝ですね!
「むにゃ⋯ヴィトぉ⋯むにゃ⋯」
「あぶぁ⋯」
(近いし⋯暑い⋯)
ベビーベッドに寝かされた俺にピッタリ寄り添い手を握り、転寝してる腹違いの姉、エレクトラ。
「よく寝る子達ね」
「寝る子は育つと言いますから」
「エレったら本当にヴィトが好きなのね」
「ふふ、嬉しい事です」
俺達姉弟を見ながら母親達が会話している。
俺の実母、ウィンディ第二夫人。
姉の実母、スザンナ第一夫人。
本人達の仲は良好だが、周りが煩いのだろう。
彼女達の雰囲気は和やかではありつつも、やや憂いを含む。
世話役のメイド如きですら、どちらの夫人に付いたかでマウントを取り合っているのだ。
(零歳児の頃の記憶なんて無ぇからな。こんなドロドロしとったんかい)
辺境伯配下の寄り子の家々も水面下で動いているのだろう。
次期⋯じゃない、更にその次の辺境伯家当主に誰が成るのか?ってな。
前回は俺が成ったな。
前当主の祖父を殺して。
実母ウィンディが死に、抜け殻の様になり病死した父セルジオ。
義母スザンナも病死。
姉のエレクトラは王都の伯爵家に嫁入りした。
そのまま俺が当主になるのかと思いきやそうはならなかった。
祖父の隠し子⋯ではないか、他家に婿入りしてた叔父が呼び戻され、俺は殺されそうになった。
何処までが祖父の意向だったのか知らん。
だが多分、どちらが成っても良かったんじゃないかな?
祖父ガレリア・リューセリア現辺境伯は武闘派で実力主義なところがある。
息子と孫を競い合わせ様としたのかも。
俺その時まだ十代だったけどな。
直接的にも間接的にも命を狙われる日々だったが、今思えば叔父や祖父に感謝する面は有る。
お陰様で命のやり取りを経験して戦闘能力が上がった。
俺のこの、石橋を叩き壊して川を埋めてから渡る様な用意周到な用心深い性格は、この幼少期を過ごしたからだろう。
俺が確実に殺したが、魔王にしろ勇者にしろ竜王にしろ、俺よりずっと格上だった。
罠を張り、心を折り、逃げ場を無くして追い詰めて攻略した。
(ま、最期は妻達に嵌められたんですけどね〜)
階段から突き落とされたり食事に毒を入れられたり、良く歪まなかったな俺。
こんなに真っ直ぐに成長したのは、偏に俺の人徳のなせる業だろう。
そういや俺の寝所に忍び込んで来たメイド姿の女暗殺者、返り討ちにして手籠めにしたっけ。
調教して魔法も掛けて奴隷にしたな。
結局、王都動乱の偵察に行かせたら行方不明になったな。
やっぱ死んだのかな、あの女。
「んむ⋯あむ⋯ばぶぅ⋯」
⋯おっと、本格的に眠くなってきた。
思考が取っ散らかるのはその所為か。
赤ん坊は泣くのと寝るのが仕事だからな。
俺は気にせずにうとうとする。
夜中は魔力切れを起こす程に魔力を使う為、その後は朝までぐっすりだ。
更に赤ん坊の体力の無さから日中も良く寝ている。
筋肉は酷使すればする程鍛えられる。
脳細胞も思考すればする程発達する。
同じく魔力も使えば使う程に増量する。
なので俺は、魔力を使い切っては回復させるを繰り返している。
完全に魔力切れを起こすと身を守る術が無くなると最初は危惧していたが、どの道赤ん坊のままでは戦闘能力は皆無。
開き直ってたくさん眠る事にしたのさ。
そうやってその日もお昼寝をする。
いつもと違うのは姉エレクトラが俺の手を握ったまま一緒に眠っている事かな⋯⋯⋯
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
(ん⋯⋯⋯?)
夢か?
俺は今、無防備な顔を晒して寝こけてる赤ん坊を見下ろして⋯いる?
(幽体離脱?)
幽体離脱と俗っぽく名付けられたスキルだが⋯厳密にはアストラル体が身体から離れてる現象を云う。
生前の俺の持つスキルの一つだ。
ゴミスキルとまでは言わないが、最強と成り果てた俺にとっては取るに足らないスキルの一つだった。
試しに少し遊んだだけで封印と云うか、ほどんど使わず、今の今まで忘れていたスキルだ。
出来る事と云えば覗き見とかかな。
誰にも肉眼で確認される事無くあちこち探索出来る。
ただし、魔法や魔道具による結界内へ侵入出来なかったり、感知能力の高い者には見つかったり気配を悟られてしまうので、やはり弱小スキルではある。
ちょっと物を動かしたりと、ポルターガイストみたいな真似事は出来るが、本当にちょっとだけな?
(何故こんなスキルが?俺には今何のスキルも―――!?―――まさか)
俺は一つの仮説を立てる。
スキルによっては大量の魔力を常時消費する類のもの、強靭な肉体で無ければ所持した瞬間に身体が爆砕する等の、使い手を選ぶピーキーなものもある。
(⋯⋯⋯俺のスキルは、死んでない)
前世の、前回の記憶が残っているのもその所為か。
なんの加護か呪いかスキルか解らないが、転生と同じくオートで発動したのか。
(つまり、俺のスキルは封印状態に有る訳だ)
使いこなせるだけの身体と魔力が備わって初めて起動する。
そう云う事か。
(⋯多種多様なスキルを獲得してきたが、高レベルのものは直ぐには使えまい。赤ん坊でも使えそうなものしか封印解放されないとみた。問題は―――)
何のスキルが使用可能かがサッパリ解らない事かな。
スキルを管理するスキルでも有れば良かったんだが⋯獲得しても使わず放置してたものも多い。
赤ん坊でも使えそうなスキルとか、晩年の俺が取得しても碌に使わなかったろう。
俺は折角なので屋敷内をウロウロしてみる。
性格の悪いメイドの着替え―――おっぱいデケェな⋯少し情状酌量の余地有り⋯と―――を覗いたり、執事とメイドの逢瀬を発見したり―――仕事中に何してんねん―――と、なかなかに楽しい。
ベビーベッドに寝転がってるだけじゃ退屈なんだよ。
(ん?アレは―――)
屋敷の壁や床をすり抜けながら楽しい幽霊遊びをしていた俺が辿り着いたのは、屋敷内に有る会議室だ。
其処に居たのは俺の父セルジオ、実母ウィンディ、義母スザンナ、そしてもう一人⋯
「家督はヴィトリアスに継がせる」
俺が知ってる姿より若いが、祖父だな。
ガリアス・リューセリア辺境伯。
この時代のリューセリア家当主だな。
後に俺が殺す事になる。
「父上、それは⋯」
「御義父様⋯」
家族に動揺が走る。
祖父の、現当主の言葉は何よりも重い。
厳格な祖父は正に貴族らしい貴族だった。
良くも悪くも、な。
自他共に厳しく苛烈な人物だったと記憶している。
父はかなり萎縮し、顔色を窺いながら生きてきたらしい。
第二夫人や妾が当たり前の貴族家で、俺に従兄弟が居なかった理由。
父以外の子供達は政略の道具にされ婿入り嫁入りさせられていた。
父が残されたのは優秀だからとか気に入られたからとかではなく、多分消去法だな。
俺の記憶に有る叔父や叔母も結構祖父に似てる。
多分家督を狙って父親に挑み敗北したのだろう。
もしも俺や姉が死んだらそっちで出来た子供を養子として取り寄せ⋯引き取っていただろうな。
「エレクトラはまだ幼い、長い目で見ては貰えませんか?」
長い歴史の中で女当主も居た。
女性は肉体的に劣る部分も有るが、それは魔法で覆せる。
「女では子供を百人作れまい」
ジジイお前⋯そういや俺が覇王となった後、顔も名前も知らん親戚がいっぱい現れたな。
嘘吐き呼ばわりして全員処刑しちゃったけど、もしかして本当に俺の従兄弟や兄弟だったのかな?
まぁいっか。
「嫌ならば男を産め」
「はい⋯」
「よろしい。それでこそ貴族の女だ」
ガリアスの言葉に項垂れるスザンナ。
流れ弾で俯く平民出のウィンディ。
俺が殺した時よりも若いからか、凄く精気に満ち溢れているな。
魔力も高い。
攻撃魔法や防御魔法は得意でなかった筈。
十八番は身体強化だ。
魔力で肉体を強化し、どんな攻撃もフル無視して敵を直接殴り殺す脳筋プレイ⋯⋯⋯俺と同じじゃん。
嫌だなぁ⋯⋯⋯
日中良く寝る赤ん坊である俺でも、ガリアス程魔力とゆーか圧の強い祖父が来たら普通に起きる。
このジジイ俺の顔も見ずに、男だと云うだけで俺を選んだのか。
そもそもあんま屋敷に居ないのだろう。
この好戦的な祖父は確か、国境付近の要塞に籠る事が多かった。
辺境伯領を豊かにする事より、敵国との小競り合いや、モンスター討伐に精を出すバキバキの武闘派だ。
(しかし、俺を選んだ割に結局殺そうとしたのかよ。気紛れ、気分次第か)
家族会議は終わった。
祖父以外の三人は沈んだ顔をしている。
「来い」
「は、はい」
「⋯⋯⋯⋯」
会議室から祖父を先頭に部屋を出る。
そして辿り着いたのは祖父の寝室だ。
「お前等は其処で見ていろ」
壁際に立たされたセルジオとウィンディは青褪めながら震えている。
「お、お義父様っ!お、お許しくださいっ⋯⋯」
義母が震えながら首を振っているが、抵抗虚しくベッドに押し倒される。
「ふん。この大きな乳も使わなければ宝の持ち腐れ。どれ、今一度出を良くしてやろう」
「あ、あなたぁ、見ないでぇ⋯」
義母スザンナは泣きながら犯される。
綺麗なドレスは破かれ、セットされていた髪はぐしゃぐしゃになる。
ウィンディは顔を背けて泣いている。
セルジオは唇を噛み切って涙を流している。
ガリアスには逆らえないだろう。
日々敵国の兵やモンスターを殺して回る戦闘狂だ。
今襲いかかっても返り討ちになるだろう。
「私が子種を仕込んでやろう。濃い血筋を遺させてやる」
「くっ⋯⋯⋯」
「セルジオ、ウィンディ、戻って良いぞ」
スザンナは何度も犯されぐったりしている。
身体の具合が気に入ったのか、ガリアスはスザンナをまだ解放する気が無い様だ。
「⋯⋯⋯ち、父上」
「なんだ?そっちの腹にも種を仕込んで欲しいのか?」
「!?」
祖父ガリアスのその言葉に衝撃を受ける二人。
二人は涙を流しながらも退室する。
見捨てられた形になったスザンナは、光を失った目で愛する夫、仲の良かった第二夫人を見送る。
「ふふ、ずっと味見してみたかったのだ。セルジオには勿体無い女だな。お前は」
祖父は実に楽しそうにスザンナを犯している。
(あちゃーそう云う事かよ)
対外的には病死扱いだったが、後に調べてみたら義母は心を病んだ末の自殺だった。
これが原因かぁ。
俺は頭を抱えた。
いや、抱える頭も無いんだがな。
記憶の中の父はいつも他人の顔色を窺う様な貴族らしくない男だった。
元凶は祖父だったのか。
いや知ってはいたが、予想以上だな、コレは。
(⋯この傍若無人っぷり。姉は正に祖父の血筋だな)
俺は祖父の外道っぷりを見て軽蔑⋯しなかった。
寧ろ抱いたのは親近感だ。
俺もぶち殺した王や王妃の目の前でその姫を犯したりしたし。
いやだってあいつら俺の事殺そうとしたし。
娘は孕ませて妻にする事で温情として生かした。
結局恨まれて殺されたけど。
まぁ兎に角、最強覇王などと云うけったいなシロモノになった俺もガッツリ祖父の血を引いてた訳だ。
内政に興味無くて、戦ったり殺したりする方が楽しいところとかも似てるよね。
俺は幽体離脱状態で何もする事が出来ず、祖父が義母を犯す様を見物する。
そんな時だった。
「お母ちゃま?」
「エレクトラっ!?」
舌っ足らずな呼び掛けと共に、小さな影が寝室に入って来た。
戻って来ない母親を探してエレクトラが来てしまったのだ。
「来ては、ダメっ!」
「お祖父ちゃま?なにしてるの?」
半裸でベッドに組み敷かれている母親と、それを犯す祖父。
エレクトラがフリーズする。
「ふん。魔力もゴミな女等、政略結婚ぐらいにしか使い道は無いが⋯」
祖父の目がドロリとぬめった色を帯びる。
「私が女を教えてやろう」
(おおう、マジか)
姉エレクトラは確か三歳だ。
流石の俺も初潮を迎えてない女は抱いた事無いぞ?
⋯⋯⋯たぶん。
「やっ!やめてくださいっ!御義父様っ!」
「口答えするなっ!」
「きゃぁぁぁぁっ!」
「お母ちゃまっ!?」
魔法による電流を軽く流されスザンナが悲鳴を上げる。
「やめてっ!お祖父ちゃまっ!こわいっ!」
小さなエレクトラは直ぐに屈強な祖父に捕まる。
「お母ちゃまっ!お父ちゃまっ!たすけてっ!こわいっ!痛いっ!やめてっ!痛いのっ!」
暴れる姉を祖父が組み伏せる。
まさか、とゆーか姉が歪んだ原因は、コレか?
祖父が義母を犯し、さらについでみたいに犯された?
大好きだった父は見て見ぬふり。
しかしコレは父を責められないか。
祖父は武闘派で鳴らした実力者。
剣も使えば魔法も使う。
国境付近の小競り合い程度だが、負け無しだったな。
とゆーか祖父の武名が高かったから小競り合いで済んでたんだよな。
俺に代替わりした瞬間に他国から攻め込まれたし。
返り討ちにして滅ぼしてやったが。
これ一夜だけじゃないだろうな。
これから毎日⋯は無くとも、祖父が屋敷に帰って来る度に母娘共に犯され続けるのか。
「男児が産めるまで抱いてやろう。孕んでも女だったらまた種を仕込んでやる。光栄に思うが良い。娘の方も悪くはなかったぞ。ははははは」
俺がなんとも言えない気分になっていると、何度かエレクトラを犯した祖父が寝室を後にした。
姉の幼い身体では満足出来なかったのか、結局最後にスザンナを駄目押しで犯してからな。
「お母ちゃま⋯痛いよ⋯痛い⋯」
祖父が去った後、泣きながら母親に這い寄るエレクトラ。
しかしスザンナはそんなエレクトラを抱き締めたりは⋯⋯⋯しなかった。
「エレク⋯トラ―――」
虚ろな瞳で見つめるだけだ。
いや、微かに動く唇がぶつぶつと何言かを呟いている。
「―――が、男なら良かったのに」
「おかぁ、ちゃま」
その言葉に固まるエレクトラ。
「⋯私が、ヴィトリアスを、産んでいれば」
「あああっ」
「⋯ねぇ、なんであなたは、男じゃないの」
「あああああああああ」
「⋯あなたなんか産むんじゃなかったわ。あははは、ははは」
「ごめんなちゃいごめんなちゃいごめんなちゃいごめんなちゃいごめんなちゃいごめんなちゃい」
ケタケタと笑うスザンナと、発狂した様に謝罪を繰り返すエレクトラ。
あーあ、これで壊れちゃったのかー。
あっちゃー。
参ったねこりゃ。
なんとか出来ないかね?
(もう終わった事だしなぁ)
もう起こってしまった事はやり直せない。
流石の俺も時間を操る魔法は会得出来なかった。
色々調べて試したりもしたが駄目だったよね。
習得してたら妻達に嵌められた時点で使ってるしな。
じゃぁ過去に戻れる事に掛けてワンチャン自殺する?
嫌だし。
失敗したらどーすんの。
(今までのエレクトラはうざかったけど、これから虐められるのもちょっと嫌だなぁ)
俺の中で漸く、前世で俺を虐め抜いてくれた腹違いの姉のイメージが繋がったのだった。
\(^o^)/如何でしたか?R15内に収まる様に頑張りました!




