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訳有り一家の長ニキとユーリーンの孫は隠れ超能力者。故郷に戻って来て全てを解決か?~気付かない内に運命急上昇中 その2  作者: 龍冶


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第22話

 血相を変えてその『魔の空洞』方面へ瞬間移動したヤモ一家。それを慌てて追いかけて、ついてきたセーン。

 セーンが行ってみると、城の兵隊さんは辺りに散らばって倒れており、きっとヤモ一家の魔力に当てられて、戦うまでもなく伸びている感じだ。では王側についている魔族は何処に?居ないようである。さっきは透視して見た気がするセーン。そして、城のすぐ横にどこかのスポーツドームくらいの大きな空洞がどどっと表れていた。ヤモ一家はその周りに散らばって、各自ほぼ同じくらいの距離に居り、自分の担当と思しき空洞の淵を、掴んでいた。空洞の中は真っ暗で底は見えない。ここに落ちたら、まじ、不味そうな感じだ。そして、皆必死な様子である。おそらく閉じようとしているのを阻止していると見たセーン。ヤモちゃんも担当の場所を掴んで必死の様子。ヤモちゃんの向こう側にはヤーモちゃんが、これまた淵を握って必死の様子だ。セーンは邪魔かと思ったがヤモちゃんの横に行き疑問の点を聞いた。

「レンたちはこの中に落ちたよね。無事なのかな」

「閉じてしまわなけりゃ、あいつらは自力で出て来れる力を持っているはず」

「みんなすごく大変そうだけど、力がすごく必要なのか」

「力もだが、魔の能力。閉じようとしているから開けたままで居させる」

「俺も手伝えそう?」

「ヤーモと変われ、限界来てる」

「分かった、変わろう」

 ヤモの支持は続く、

「レンたちが出てきたら、淵から一斉に手を放す。勢いで辺りのものを吸いこもうとするから、素早く瞬間移動しないとこっちが落ちてしまうぞ。城が無くなるくらいの力だと思う。集中しろよ」

「ヤモちゃんに、教えられた・・・なんかこの方が自然体だな。ヤモちゃん、きっと俺より年上なんだ」

「集中しろ」

「はい」

 直ぐにレン達と魔族の使い魔軍団は出て来た。みんな一斉に淵を離す・・筈だったが、セーンは一瞬遅れた。一巻の終わりだと悟ったセーンだ。吸い込まれながら思った。ヤモ一家は心は一つだとか言う話だったし、一斉に離せたんだな。俺は違うからな・・・

 吸い込まれながら瓦礫が体を打って、痛みで気を失う事は出来なかった。上の方は真っ暗になっている。閉じたか・・・

「さようなら穴の外に居るみんな。僕、今から死にますが、ちょっと時間かかりそう。レンたちが出て来たのは落ちて数分だったか、そのくらいは生きていそうな感じです・・」

 死にそうなのに少しばからしいことを考えていると、手に違和感が、『ヤモちゃんが僕の手を握っているよ。いったい何時から・・・』落ちた瞬間からに決まっている。気が付かなかった自分が情けない。『はよ外に出ねば、と言うかヤモちゃんの手、随分伸びてないか?落ちてからかなり時間がたっている気がするし、距離もだいぶ行っているはず。ヤモちゃんの手伸びすぎと違うか。そんなこと考えている場合じゃないが。穴に吸い込まれているようだが、逆らわねば。ヤモちゃんの手、伸びすぎだろ』

 ヤモちゃんの手、吸盤が付いていて、セーンの手を離す気が無い手。握り返すと、きつく握り返してくれた手。これ以上伸ばす訳にはいかない。出口らしき方向へ行こうと思うと、吸い込む力に逆らいどんどん上に戻っていけた。すると首にも手が伸びて来た。

『吸盤付きの、これはヤーモちゃんの手だが、他に握るとこないのかな、喉が苦しいんですけど』

 しかし、それを伝えるすべはない。だが、直ぐ気付いた。今まで息していなかった。辺りはものすごい暴風で、呼吸は危険だった。それで息を止めていたようだ。しかしもう無呼吸は限界に近い。少し息を吸ってみる。ヤーモちゃんが喉を握って守っている感じだ。

 空気が少しは肺の中に入った気がする。そう思っていたら上に小さな光が見えた。セーンひとりが出られる程度の小さな隙間だ。

 気が付くと、すでに外に居た。ヤーモちゃんが泣きながら、セーンに抱きついているし、ヤモちゃんの方も少し涙目になって下を向いて何かをセーンから隠そうとしていた。

 セーンは気付いた。

「ヤモちゃんの手、どうなってる」

「のびてる」

 ヤーモちゃんが答えた。

 隠そうとする手を引っ張ると、見えた。良く伸びている。もう一方の手で、畳んでいるが、伸びすぎてうまく畳めていない」

「ごめんね、こんなになって」

 泣いて触るとシュルシュル元に戻りだした。そして片方の倍ぐらいの長さで止まった。

「これくらいなら、邪魔にはならないね」

 ヤモちゃん満足そうだが、セーンはまだ泣けてくる。

「ごめんねこんなにまでなって助けてくれて、ありがとう。ヤーモちゃんも喉掴んでくれてありがとう。息するの思い出した」

 ヤモちゃんは、ぽかんとして、

「セーンが落ちたら俺困る。みんなも困る」

「そうだよね、まったく、へましたよ」

 セーンは言いながら、横にレンやジュール、それに主な魔族の兵士が、何か体力勝負のヒト仕事が終わったらしく、ゼイゼイ、ハーハー言いながら寝転がっているのに気付いた。他の兵隊、仕事してなかったらしい面々は、横に所在なく控えている。

「あんたら、お疲れのようだけど、どうしたの」

 レン親父、ヒッと笑って、

「俺らは穴を必死で開けていたんだ、ヤモ一家に比べれば魔力が無いようなものだから、体力勝負でね。小さい穴だったろうが、これでも必死に開けていたんだからな。礼は要らねえよ」

「そうだったのか、親父はともかく、兵隊さんやジュールさんにはお世話になりました、ありがとうは言わなければ」

「必要ないですよ。こっちが助けてもらったんだ。それなのにセーン様が空洞に落ちてそれっきりなんて報告、館に持って行けないですよ。必死で空洞が塞がらないようにしたけど、何度もダメかと思ったな、交代するタイミングもないから、こんなに生きるか死ぬかって頑張りは生まれて初めてした。いい経験になった。こんな経験させてもらって、こっちが礼を言いたいところだ。こいつらもだと思う」

 兵隊さんのひとりが言って、他の数人も頷いた。いかにも、兵隊さんらしい感想だと思ったセーン。

 ジュールは、

「俺は油断していたんだ。ヤモ一家にもセーンにも大変な思いをさせてしまったね。すまない。この借りは一生かけて返そう」

 ジュールはかなり思い詰めているので、セーンは、

「借りだなんて、気にしないでよ。俺らみんな、助け合って暮らしているんだし、ジュールさん達も仲間になったってとこだよ。あれ、それで城はホントに無くなっているよね。じゃあ、中身の人達も落ちたとか?」

「城だけじゃなかった」

 ヤモちゃんは小声で言うので、セーンもそろっと辺りを見回す。

 驚いたことに、辺り一面何もない。ところどころ地面に土以外の岩や建物の跡、地下もあったらしい建物の煉瓦っぽいの、木の根っこがむき出していたりしているが、見渡す限り人や生き物の気配はない。地平線が見える。

「えーと、山の木もないね。どういう事」

 レンが、

「かなり大きな魔の空洞だったな。前の魔王が隠し持っていた魔の空洞だったんだが、隠していた空洞の実態をよく知らなかったらしい。最初に能力持ちの魔王を吸い込むって事さえ知らないで、一番に魔王が吸い込まれていたな。子分らも魔力順に次々吸い込まれて行ってな。俺らは行きたくなかったが、気が付いたときは、抵抗など出来なかった。辺りの魔力持ちを吸い込み終わったら、次は周りの生物が入る事になる。次は植物。そして、閉じるときの勢いで何でも入っていく。魔族で最強の魔の空洞だが、南ニールにまで被害が及んでいる。北も南も生き物たちは大被害さ。自分の持ち物の力が分からなかった魔王の所為で命を落としてしまったって事だな。『まぬけの魔王』の名で、俺の使い魔の絵心のある奴が、絵を描いて後世に伝えるとか言い出したな。リューンのとこまで被害が来そうだったけれど、必死で押しとどめたそうだ。後で様子を見に行こう」

「ニキ爺の館はどうなったの」

「あの辺りにあったはずだが、見ての通りさ」

「ええっ、ヘキジョウさん達の壁、無くなったのか。みんなどうしたかな」

「セーンの思考回路は変わっているな。この期に及んでヤモ一家の壁の心配か。ママが言っていたが、懐くはずだな。心配ない。今、地下の俺の家の壁に、張り付いているぞ。あの家も古いから、優良物件だ。さっきから爺さん婆さんの安否を心配していないようだが、狼狽するな、言い付けたりしない。ヤモ一家と同じく俺の地下の家だ」

「うん、良かった。きっとニキ爺さんが何とかしていると思ったんだけど、聞くべきだったね。壁の話題の前に」

 ヤモちゃんはヘラリと、

「俺ら皆、セーンが大好き」

 と言った。

 辺りの様子はショックだったセーンだが、ヤモちゃんやヤーモちゃんと無事だったことを喜び合っていると、上空の遠くから機械音がしてきた。セピア公国のヘリがニュースに流すためにやって来た。

「こうしちゃいられない、皆、レンの家に行こう」

 早く帰りたかったらしいジュールがそう言うので、皆で地下に移動したのだった。



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