第12話
館に魔王の側近が来たので、帰りたくないらしいじじばば。夕刻になったし、家に戻って欲しいリーに化けている親父、その両名の攻防が始まった。
セーンも館は危険になったのだろうと思っていたが、留守番している執事さんやヤモ一家が気がかりで、様子を見に行きたかった。親父に協力するのは不本意だが仕方ない。
ニキ爺さんは、
「魔王がいつ出てくるか分からないし、クーラだけで城に居させて、もしジュールの噂を彼らから聞くようなことがあったら可哀そうだな。今日からわしらはクーラの側に居てやりたいものだな。ユーリーン婆はどう思う?」
「私も、クーラが心配よ。もしも、地下の奴らが攻めてきたら、きっと耐えられないと思うわ。あの子すっかり神経が参ってしまっているの。ねえ、宰相様のレン、あたし達クーラの所に泊まりでOKよね」
もう決まったも同然のつもりだが、一応宰相の許可を取り、提出しなければならないと決められた許可証を貰いたいユーリーンは、息子に圧を掛ける。ちっとも怖くない圧だが。
「そうはいきませんね。城に部外者を滞在させることは、禁止されていますからね。そろそろ自分から立ち去る気になってくださいよ。騎士につまみ出される前にね」
「クーラ叔母さんの事は心配だけど、何時、何処に魔王がやって来るかは、分からないよ。僕としては、館に帰った方が良いんだけど。俺をめがけてやって来そうな気がするからね。此処に居たら、俺をさらいに来た場合は、城に魔王が現れた原因が分かると国王にガン付けられるよ。きっとね。ニキ爺はそれを避けたいのと違うかな。保身だろ。保身を考えているんだろ」
セーンも不本意ながら言い募る。
「そうだったな」
落ち込むニキ爺。
「帰りましよ、ニキ。宰相様はご自分の立場が大事なのよ。ここに居てトラブルメーカーと言われる事態になるのも癪だわ。ニキは最近、瞬間移動がうまくなったでしょ。何かあったら、直ぐ城に行けるでしょ」
ユーリーン婆の、ニキ爺さんに飴、リーに化けたのに鞭をくれてやる意見により、ついにグルード一家は動いた。
ため息交じりに宰相の部屋を最後に出るセーンに向かって、リーに化けたのが珍しく声をかけた。
「気を付けろよ、またお前をさらいに来そうだな」
「げっ、お前もそれ言うか。俺は無事でいられるのかな」
「お前の能力の癒し12は、おそらく気に入られているからな。捕まっても命までは取らないと思うが」
「慰めてはいないな、その言い草」
ジジババを追いかけて車庫に行くと、呆れた事に、偽物の親父がばれていることに気付いていないらしく、迎えに来たと言ってやって来ていた。じじばば、呆れ切って偽物の主張を聞いている。
「宰相は何と言っているか知らないが、奴が一番怪しいんだぞ。レンがリーに化けていると言うが、化ける意味が分からん。まぁ、だまされているのを見て、楽しんでいるのも理由のひとつだろうか、あのリーは子供のころから、容姿が異常に良かったろう。そして、社交下手と言われているが。実際はなかなかどうして、切れ者で自分の所の地所管理は完璧だ。奴の財産はうなぎのぼりに増えている。他の奴の所の収支と比べればその異常さが分かる。作物の取れ方が異様に豊作だ。収穫率が111%とか有り得ない。俺に言わせればな。収穫した小麦は、地下に売っているんだ。地下の小麦の種を地上で蒔いている。それで取れ高が異常に多いんだ。グルード家と不仲な一家だった奴らが地下の奴らに通じている。リーはグルード家とは遠縁でしかないから、リーは寝返ったんだろうさ。あんたらはなぜか俺を疎んじているから、信用できないとか言っているんだろうが、事態は深刻になった。内通者が多いし、肝心なあんたらが騙されてしまったようだし、今回の戦いは負け戦だろうな。魔王達が直に、上がって来るからここいらは戦火で何も残りはしないだろう。それに危険だ。危ないから迎えに来たが、必要ないと言うんだな。こうも愚かになってしまうとは・・・おや、セーン、お前もいたのか。どうする、俺の話は信用できないと言うのか」
「執事さんはあんたが本人だと言っていた。だけど、俺は生憎、誰も信用はしないたちなんだ。あれから、兄貴に電話したら、プレゼントなんか貰ったことはないと言っていたな。親父とプレゼントとかの単語は、相容れない、反発し合う存在らしいな」
「ははは、それは正解だ。今朝の話は嘘だ。お前がどう出るか試したんだ」
ニキ爺さんが言う、
「まったく、ああ言えば、こう言う。つじつまが合っているかのような嘘八百だな。お前にはついて行かぬ。とっとと失せろ」
「ハハハそうかい、じゃあ、母上の御意見は?」
「あたしの意見が居るのー、あたしはニキ爺さんについてくの。勝っても負けてもねっ」
「では、セーンはどうかな、さっき意見を言われた気もするが」
「意見は半分ぐらい言ったかな。俺はちょっとうろつく用があるから別行動するよ。じじばばは、気を付けてね。ところで、ユーリーン婆、リューン大叔父さんは以前のロードさんちに住んでいるのかな」
「あそこはボロで崩れそうだから、隣の一軒屋に住み替えたのよ。行けばきっと出迎えて歓迎されるから、探す手間は要らないわよ。リューンの能力は知っているでしょ」
「分かった。じゃね。俺は本物か偽物かの不毛な言い合いは遠慮しとくよ。今朝、初めて会ったんだし。俺は親父の素顔は知らないんだからね。判断のし様が無いだろ」
「ははは、それもそうだったな」
そんな変な会話の後、セーンはリューンのひとり暮らしのはずの一軒屋に向かった。リューンと言えばその能力は、電磁力、テレパシー。そして瞬間移動だ。
そして、クーラの元婚約者であるジュールの父親でもある。噂ではよく耳にするリューンであるが、セーンは物心ついてから彼に会った記憶は無いのだった。
先日、書きだめた小説が残り少なくなった件、つい、書いてはならない事実を書いてしまった愚かな作者です。ですが、小説を書く以外、取り立てて用事の無い事を考えると、『夜を徹してでも毎日投稿すべきでは』という結論に達しました。反省です。読者の皆様は安心して読んで下さい。毎日投稿する決心、そして覚悟をいたしました!変換ミス、誤字などあるかもしれません・・・おそらくあるでしょうが(時間に余裕があってもミスしています)読み返して訂正しますので、楽しんで読んでいただけると幸いです。深刻に見える内容があるのですが、深刻にとらえないでください。そこのところは、脱線箇所です。本来お気楽な小説のはずですから。




