転生樹・序~5年前、私は誰かに殺された~
なろうラジオ大賞用小説第十三弾!
書くかもしれんし書かないかもしれない話の序章です(ぇ
私は殺された。
まだ高校生だった。
これと言って、何か特別な事をしたワケじゃない。
誰かの恨みを買った覚えなんか無いし、ましてや犯罪に関わったりそういう場面を目撃したワケでもない。
なのに私は、殺された。
突然の事だった。
前触れとか何もないのに突然私は登校中に襲われ……最終的に殺された。
なんで、平凡に生きてた私が殺されなきゃいけなかったの?
悔しかった。
私を殺した犯人が憎かった。
それらの感情で頭が沸騰しそうだった。
だけど、途中で私は気付いた。
私は、確かに犯人に殺されて。
そして、通学路の途中にある公園の桜――枯れてて、今にも折れそうなその木の下に埋められたハズなのに。
なんでまだ、意識があるのかと。
まさか、私はまだ生きているんだろうか。
だけど、犯人は私をめった刺しにした。
そんな状態で人間が生きているワケがない。
なのに、なんで……そう思った時。
私の中に、強い感情が。
そして私が知らない……まるで定点カメラで撮影され続けたような映像が、流れ込んできた。
映像には、近くにあるベンチ。
そしてその隣のゴミ箱が映ってる……私の近くに生えている、枯れた桜の木からしか見えない光景だ。
まさか、私……桜の木から力でも得ているの?
そしてだからこそ、今も意識を保っていられるの?
まさかのオカルトな事態だった。
そして力を得続けている内に……桜の木が、私と同じく生きたい思いを抱いてるのに気付いて……生きたいという思いを胸に、溢れる力のままに、私は……腕を前に突き出した。
※
「うわぁ!?」
次の瞬間。
誰かの悲鳴が聞こえた。
できる限り早く、上半身を起こしてみる。
ランニングでもしていたのか。
私を見て腰を抜かした、ランニングウェアを着た男が見えた。
桜の木……私に力を与え続け。
そして私と混ざり合い、ついに倒壊したその木の下からいきなり人が出てきたんだから、驚くのも無理はない。
だけど、いつまでもこのままじゃいられない。
あれから何年経ったのか、服はボロボロ……ちょうどいいや。
「あなたの服、貰うね?」
桜の意識と混ざったせいか。
私の中から人としての常識は消えてて。
私は遠慮なく、ランナーから服を強奪した。
※
抵抗するランナーを黙らせ、ゴミ箱を漁る。
食べ物を探すためじゃない。
新聞を探してて……あった。
新聞によれば、私が死んでからもう五年か。
「さて、生き返った事だし。まずは復讐かな」
そして私の第二の人生が。
桜の意識と混ざった私の人生が始まった。