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Happiness 幸福というもの 4-3
4-3.
竜司の見合いは自分との結婚を母親に認めてもらう為のもの
そう主張する竜司の言い分に嘘偽りはないのだろう。
けれど万が一にも竜司が心惹かれる女性がその中に100%いないと
言い切れるのだろうか。
もし心惹かれる女性に出会ってしまったら。
竜司とあかねにとって竜司が見合いをするということは、時として
諸刃の剣となる可能性もゼロではないのだ。
きっと彼はその事に気付いていない。
「私と付き合ったままでお見合いするのは二股に
なるわよ!」
「えっ!! 思いつきもしなかったけどそう言われれば
そういう事になってしまうね」
そう言ったきり竜司はだまってしまった。
次の言葉を紡ぎ出せない彼に私は手を差し伸べる。
「竜司さんのお見合い行脚が終わるまで、私たち一度お付き合
いを止めて中断するっていうのはどうかしら?そうすれば
二股ってことにはならないし、何の問題もないでしょ?」
「デートも無しで、それまでは会わないってことだよね」