|市街探索《シティ・アド》・迷子探し
Day.8 市街探索・迷子探し
ひと仕事を終えて––––ついでに女神だなんだの対応も終えて––––三時のお茶を飲んでくつろいでいたところに、不意に現れた人物。
そのヒトは、美しく整った顔を不安そうに曇らせ、二メートルほどの高さの入り口を窮屈そうにくぐりながら入ってきた。
アップにまとめた金髪に小さな帽子を乗せ、紅い小花の刺しゅうがあしらわれたドレススーツを身につけたそのヒトは––––
「ア……アラクネ⁉」
そう、そこにいたのは、上半身は美しい女の人で下半身は蜘蛛の有名モンスター、『織女蜘蛛』だったのだ。
「––––確かにわたくしがアラクネですけれど。初対面の方に呼びつけにされる、というのは、あまり気分の良いものでは……」
「っあ!すいません!すいません!てっきり種族名のことだと……て、『わたくしが』?……もしかして、オリジナルだったり、します?」
どっかの女神の嫉妬で蜘蛛の姿にされた、織物自慢の?
「種族……?ああ、そういうことですか。ヒト種の方々は、わたくしの娘達のこともアラクネと呼ぶことがあるのでしたね」
納得した様子のアラクネさんは、数多くいる自分の娘達のことは文字通り、アラクネの娘と呼ぶのだと教えてくれた。
「……そ、それで、その、アラクネさんは、なんの用でここに来たんですか?」
「ええ。実は––––」
––––アラクネさんのいう所によると、彼女の許には普段、特に知性の高い個体と、まだ幼い子供達が暮らしているのだという。
そして、社会勉強も兼ねて、定期的に人間領域であるここ、ゴレイシア大陸に(少数班で)旅行に来ているんだとか。
そうしてこの街にまで足を延ばしたのだけれど、気が付いたら末の子供二人(?)が見当たらなくなってしまった、ということらしい。
「わたくしはこの姿ですから、あまり大手を振ってそこかしこを探し回るわけにもゆかず……そこで、このギルドの噂を耳にして、すがる思いで参った次第です」
「……つまり、迷子になったお子様達を探して、連れてきてほしいということでよろしいでしょうか?」
アラクネさんの話を聞いているうちに、受付さんもやってきて依頼内容の確認をする。
「はい。……ああ、今ごろあの子たちがどうしているかと思うと––––それに、街の方たちにご迷惑をおかけしてはいないかと思うと、居ても立っても居られません!どうか!どうかお引き受け願えませんでしょうか!」
「もちろんですとも。ご依頼とあらば、喜んでお引き受けいたします」
依頼人を安心させるような、満面の笑みを浮かべた受付さんがアラクネさんの手を取る。
そしてそのまま、依頼書作成のためにアラクネさんを受付カウンターに案内していった。
「……それでは確認させていただきます。お子様の同行が確認できていたのは––––西街区の商業区画まで。お子様のお名前は––––ティナちゃんと、ハンレットちゃん、ですね?」
アラクネさんの話を聞いて、受付さんが依頼書にその時の状況と依頼内容を記してゆく。
この街に限らず、特に田舎では識字率が低いため、読み書きができない依頼人でも気兼ねなく来られるようにとの気配りで、書類作成はギルド側がするんだとか。
「––––では、ご依頼内容については以上でよろしいですね?担当していただくのは……カケルさん。ナオヤさんと一緒に行ってきていただけますか?」
「迷子探しっスよね。分かりました」
『カケル様!この鏡孤もぜひ!御供させてください!』
「なんか面白そーね。私もついてっていい?」
「お姉さまがイクのなら、私も一緒にイキます!」
依頼を引き受けた俺に、報酬はいらないから是非お傍に!と鏡孤さんがすり寄ってきて、更に野次馬根性丸出しのルビィが見物したいと言い出し、お姉さまの行くところどこまでも!とばかりにエリュシアさんまで同行を申し出る。
––––っていうか、エリュシアさんの言い方が何だか誤解を招きそうなんだけど。
とにかく、こうして俺、ナオヤ君、鏡孤さん、ルビィとエリュシアさんの五人で迷子探しに出かけることになった。
ちなみに、孤都さんも付いて来たがったけど、さっきの罰(?)でギルドホールの掃除手伝いを言いつけられていた。
「それでは、こちらをお持ちください。子供達が街の方たちにご迷惑をお掛けしていた場合の賠償金です。後ほど謝罪に伺いたいとは思いますが、一先ずこちらで矛を収めていただける分にはお使いください」
アラクネさんが手渡してきたのは、ずっしりと重い金貨の詰まった皮袋。
それと、被害があった場合の、相手の連絡先を記すための木簡と炭筆(鉛筆の原型みたいなやつ)。
「––––ていうか、『ご迷惑』前提なんですね……」
「お恥ずかしい限りではありますが、いなくなった子達は、まだ善悪の別のつかない幼児なものでして。今回は、お店ではお金を払って欲しいものを手に入れる、といった『常識』を教えようとしていたのですが……」
「ああ、それで」
つまり、世間一般の『当たり前』も分かってない子供だから、欲望の赴くままに店の商品を食べ散らかしたりしてるんじゃないか、と。
しかも、一応『魔物の子供』でもあるわけだから、冒険者なんかとかち合ってバトってる可能性もある。
「じゃあ、ちょっと急いだほうがいいか。行こう、ナオヤ君!」
「おっぱっぱ~♪……おっぱっぱ~♪……」
「––––って!まだ引きずってたのかよ!」
心ここにあらずといった感じで、OPトリップ中のナオヤ君の手を引いて出口へ向かう。
「どうかくれぐれもよろしくお願いいたします。……厚かましいとは存じますが、わたくしは連絡のためにここで待たせていただきたいと思います。––––ファスタ、トリエッティ!」
「「はい!」」
アラクネさんが声をかけると、二人のアラク二―が入ってくる。
「お前たちは下の子たちを連れて、先に宿へ行っていて頂戴」
「「イエス、マム!」」
ビシッ!と姿勢を正したアラク二―達は、(多分)ちびっ子アラク二―達で賑わう表に向かって、サカサカと小走りに駆けて行った。
初めて聞いたよリアル『イエスマム』。軍隊みてえ。いや、実の親子だからか。
とにかく、今度こそ迷子探しに出発だ。
「––––それで?どこから探すつもり?」
「やっぱりまずは、商業区画からじゃね?」
物珍しそうに後ろをついてくるルビィの問いにそう答えると、ようやく復活したナオヤ君が話に交ざってくる。
「あぁ、なるほど。最後に確認されたところから探すんだね」
「そういうこと。『まずは基本に忠実に』って言うじゃん」
そんなことを言っているとルビィが、「ふーん。なんか地味ねー」と水を差す。
「あのなぁ。派手な要素があると思うか?迷子探しで」
「そりゃそうだけどさ。でもあんたって、『人探しナントカ』ー!ってヒミツ魔道具とか取り出してパーッと解決しそうだなぁって思ってた」
「それどこの猫型ロボットだよ⁉」
そもそもヒミツ魔道具って!
「ろぼっと?ってなに?」
「っああ、えーっと……ゴーレム、的な?」
……なんでか『知って』そうな発言がちょいちょいあるから忘れがちだけど、ルビィってこの世界の人間なんだよなぁ。なんて、変なところで『異世界』を実感していると––––
「––––あっ!お姉さまお姉さま!あれ見てください!『リッツォタンパ』ですって。なんだか美味しそうなニオイ……買いましょう!食べましょう‼」
だべっているうちに到着した中央広場で、目ざとく屋台を見つけたエリュシアさんがグイグイとルビィに迫る。
「……あんた、さっきいっぱいお菓子食べてたのにまだ食べるの⁉」
「だってだってぇ!私、全然覚えてないですもん!記憶になければゼロカロリー!なんですよ?」
あきれたようなルビィの言葉に、拳を握り締めてウマーベラスな主張をするエリュシアさん。
「あんたねぇ……いや待てよ。もしかして、こんだけ好き放題に考えなしに食べてるからおっぱいに栄養が……?いやいや、それでお腹に贅肉が付いちゃっても……」
なんだかブツブツと言いながら、ルビィが考えこんでしまった。
もしかしたら、これが持たざる者の苦悩とかいうものだろうか?
「っ!誰が貧乳よ!統計によると世の女の子の半分以上は標準サイズ以下なんだからね!それというのもコレが!(ピシッ)コレがっ!(ピシッ)コ・レ・がっ‼(ビシィッ!)標準を引き上げてるのが悪いのよぉ!!!」
「痛い!痛い!痛いですお姉さまぁ!」
……俺、声に出してないんだけど。とにかく、何かのコンプレックスのせいか、鬼の形相を浮かべたルビィが、手にしたハリセンでエリュシアさんの胸をビシビシと叩きながら熱弁をふるう。
「あ~……なんか知らんけど、悪かったよ。とりあえず、食べるんなら買ってくれば?」
「ふん!––––ほら、行くわよエリュシア!」
「はいっ!お姉さま!」
これ以上ヤブをつついてこじらせてもしょうがない、とひとまず謝っておく。
すると、プイッと顔をそむけたルビィは、エリュシアさんを連れて屋台の方へ。……なんだか、後をついてゆくエリュシアさんが、尻尾を振ってご主人様を追いかける子犬みたいに見える。
『……なんだか、難儀な方たちでございますね。私などは、カケル様のお傍にいられれば、それだけで至福♡でございますのに』
屋台に向かったルビィ達の後姿を見送っていると、足元からあきれたようなため息交じりで鏡孤さんが口を開く。
「確かに難儀っていうかめんどくさそうな感じだけど、エリュシアさんなんかはルビィと一緒ならそれだけで幸せって感じじゃないっすかね」
「あ、分かる。なんだか、言い方はアレだけど、よく懐いたペットみたいっていうか」
どうやら似たようなことを考えていたらしいナオヤ君も交えてダベッていると––––
「あ!おにーちゃん!」と、聞き覚えのある声で、聞き慣れない呼び方で声を掛けられた。
声のした方を見ると、ニコニコと元気いっぱいな笑顔で駆け寄ってくるアガペーの姿。
傍らにはアネホさん……ではなく、普通の––––戦闘要員ではない––––紺の修道服を身に着けた、勝気そうな表情のシスターが歩いてくる。
「アガペー。昨日は大分シゴかれてたみたいだけど、もう平気なのか?っていうか、なんでおにーちゃんだよ?」
「うんっ!いっぱいゴハン食べて一晩寝たら、大体元通りだよ!」
……なんというゲームキャラ体質!流石というか、あきれた勇者っぷりだな。
「んで。お姉ちゃんとケッコン、するんでしょ?だから……おにーちゃん?」
「決まってない!まだなんも決まってないから!」
こくんと首を傾げて言うアガペーに、慌てて否定する。けど、お見合い回避するためのウソだったなんて言うわけにもいかないので、とりまそこまでは決まってないとだけ言っておくことに。
それを聞いたアガペーは、「えー?でもお姉ちゃん、けっこう本気っぽかったよ?」なんて言ってるけど、まさかまさか。俺がモテるなんて……ないない。ここでチョーシこいたって、後で絶対恥かくだけだって!
そんなことを思っていると、「おや、これはこれは。シスター・アネホの彼氏殿ではないか」と言いながらさっきのシスターさんが歩み寄ってきた。
「そう言えばまだ名乗っておらなんだな。私は当教会の奏楽隊所属、リヴィアというものだ……親しみを込めてリヴィアたんと呼んでくれても良いぞ?」
鷹揚というよりも尊大な態度で名乗ったリヴィアさんに、「あ、どうも。俺はカケルです」と答え––––……なんか嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
「それで、おにーちゃんは何してるの?お仕事?」
「とりあえず『おにーちゃん』は止めてくれな?……あっと、そうそう。今さっきアラク二―の子供が迷子になったんで探してくれって依頼が来て––––」
興味深そうに訊いてくるアガペーに––––冒険者ギルド側で討伐依頼が出てたらマズいので––––依頼内容を説明する。
「そっか。じゃあアタシも行くよ!なんか商業区で騒ぎが起きてるから見てきてっていわれてたし」
「それはいいけど、今日はアネホさんと一緒じゃないんだな?」
「うん。お姉ちゃんモノイミだから今日から––––あ……」
「モノイミ、ってなんだ?」
と、途中まで言いかけて口ごもってしまったアガペーに質問すると、一緒にいたシスター、リヴィアさんが廚二チックに手で顔を隠しながらズイ、と前に出て答える。
「ふっふっふ。女子の口からその意味を語らせようとは、中々ヤルではないか少年。よかろう!この私が女の神秘というものを教えてやろうではないか!良いか、女には月に一度『鮮血の穢れ』に沈む時が––––あ痛!」
意気揚々と語りだしたリヴィアさんの頭に、どこからともなく飛んできた小石が当たる。
ふと見上げると、教会の二階部分の窓から真っ赤な顔をしたアネホさんが––––「っ!」––––こちらと目が合うと慌てて引っ込んだ。
うん。事情は大体わかった。
「あー……そういうことなら、そろそろ行こう、か?」
「そ、そうだね、うん。迷子、早く見つけてあげなくちゃ、だし?」
どうやら、俺がデリカシーのない発言をしてしまったようなので、これ以上触れないように話題を変えると、気まずそうにしていたアガペーも頷いてくれる。
そこへ、屋台で買ってきたリッツォタンパの包みを抱えたルビィ達も戻ってきたので、改めて商業区画へと向かうことにした。
––––––––––––
「……うわぁ。これは、お掃除が大変そうね……」
買ってきたリッツォタンパをかじりながら、他人事のように(実際他人事だろうけど)ルビィが口を開く。
街の西側にある商業区画に足を踏み入れて早々、アラク二―達の痕跡はあった。
街の至る所、建物の壁から壁、路上の屋台のテントへと、無数の蜘蛛の糸が張り巡らされて、あるいは垂れ下がってプラプラと風に揺れていたのだ。
「……これ、もしかして僕たちが片付けなくちゃいけないのかな……」
「マジか……ちょっとカンベンして欲しいんだけど……」
惨憺たるありさまに、顔をひきつらせたナオヤ君と、げんなりとした俺が言葉を交わしていると、「まかして!」と得意げな顔で前に出るアガペー。
いそいそと愛用の三節棍を取り出して精神を集中––––「ちょっと待て、オイ!」––––しようとしたところを慌てて止める。
「––––なあに?」
「何?じゃねえよ。今、何やろうとした?」
不思議そうに首をかしげるアガペーに詰め寄る。だって、コイツの得意技って言ったら……
「うんとね。この蜘蛛の糸、なんとかするんでしょ?だったら、燃やしちゃったら早いかなーって思––––」
「マジやめて⁉街中火事になるから!」
……あっぶねー。そういやコイツ、初めて会った時も大技ぶっぱなしてあわや森林火災起こすところだったんだよな。
「とにかく火ぃ使っちゃダメ!蜘蛛の糸ってスッゲエ燃えやすいはずだし!」
「?んー……わかった!もの知りなんだね、おにーちゃん!」
「だから『おにーちゃん』はやめてくれって……」
ド天然放火魔に釘を刺していると、傍らで話を聞いていたリヴィアさんが、「それならば良い考えがあるぞ」といって懐から楽器を取り出す。
「迷子の子供も探さねばならんし、蔓延る蜘蛛の糸も掃除せねばならん。が、手は足りぬとなれば、其方の速さを上昇させれば良かろう。幸いにして私は奏楽隊だからな。––––それ、支援魔術をくれてやろう!」
そう言ってリヴィアさんは、構えたトランペットを吹き鳴らした。
鳴り響く曲は––––どっかで聴いたことがある。確か、運動会で掛かったりする……あれだ、『トランペット吹きの休日』だ。
「––––って、なんで?……お、おお?」
軽快なリズムの曲に合わせるように、身体が自然に動き始める。
今更だけど、なんで異世界でこの曲が?と思っていると––––
「っ!ちょ、ちょっと待った!なんだこれ!か、身体が勝手に!」
自然に、どころか俺の意に反して、身体が勝手に動き始めた!これじゃ支援魔術っていうより––––
「……ふ、ふははははっ!さぁ踊れ踊れ!……私にもステディがおらんというのに、シスター・アネホにリアル彼氏だと?到底信じられるはずがないわ!これを停めてほしくば少年!シスター・アネホとの関係は偽りであったと白状するのだ!或いは私に良い男を紹介するがいい!さもなくば……そぉ~れ!」
嫌な予感的中!欲望全快で言いたいことを言い放ったリヴィアさんは、再び楽器を構えると、曲のリズムを一気に上げた!
くっそ!そんなに嫉妬深くてよくシスターなんて……ん?
リヴィアさん→リヴィアたん→嫉妬の悪魔!それか‼
「あんた、それでもシスターか!」
「はぁ―っはっはぁ!私とてシスターである前に一人のオンナなのだよ!そんな私に幸せが訪れていないというのに、他人が幸せを掴もうとしているなど見過ごせるはずがなかろう!」
……コイツ、ブチ切れてやがる!
超アップテンポな音楽に合わせて、踊り狂うように強制的に身体を動かされる中、どうにか隙をついて腰の魔導銃を抜いて、トランペットのラッパ部分に風の塊をブチ込んでやろうと思うけど……ダメだ。思うように手が動かない!
ルビィ達は楽しそうに見物決め込んでるし、ナオヤ君はオロオロ、事態が呑み込めていないアガペーはきょとんとして、鏡孤さんは蒼く輝く匕首を咥えて……ヤバい、殺る気だ!早くなんとかしないと!
「––––おやめなさい、リヴィア!」
どうにかしようと焦っていると、凛と良く通る声が割り込んできた。
視線を向けると、やってきたのは細く整った顔立ちと小さく愛くるしい感じの、二人のシスターだった。
それぞれがフルートとホルンを手に、臨戦態勢といった様子でリヴィアさんと対峙する。
「––––なんだ?私の邪魔をしようと言うのか、貴様ら」
「同じ奏楽隊のシスターとして、これ以上の狼藉許すまじ、ですわ!よってこの私、アシュモー=デースと––––」
「ベルゼーちゃんがお相手します!」
トランペットの音を打ち消すように二人が吹き鳴らす曲は––––『組曲:【惑星】より【木星】』。
……もう、この世界でなんでこの曲が?というのは置いておこう。
とにかく、なんとか助かったか?と思っていた矢先、賑やかな曲の序盤が終わり、歌にもなった、ゆったりとした部分に曲が差し掛かると––––
「な、なんだなんだ?今度は身体が勝手に引き寄せられて……」
「うふ♡うふふふふ♡他人の男を堕とす瞬間ってなんて素敵♡……さぁ♡おいでなさいませ♡私がシスター・アネホのことを忘れるまで、たっぷりと愛して差し上げますわ♡」
「神様はおっしゃいました♪『産めよ増やせよ地に満ちよ』と♪そして神様の愛は全ての人に向けられています♪つまり、多情の愛こそ真理♪一人にこだわる必要などないのです♪さぁ、ワタシ達といっしょにお腹いっぱい、不毛な愛を楽しみましょう♪」
アシュモーと名乗ったシスターが情欲に瞳を潤ませながら、ベルゼーとか言ったシスターはごちそうを前にした子供のように舌なめずりをしながら語る。
「なんだかんだ言って、結局あんたらもNTRか!あんたら一体なんなんだ⁉」
「私達は神の愛を体現せしもの♡」
「『アイの☆神セブン』ですー♪」
……それは大罪の愛じゃないのか?と、そんなことより!
「あー、クッソ!マジで身体の自由が利かねえ。誰か!誰か止めてくれぇ!」
悲鳴を上げる俺に、ナオヤ君がオロオロとして、鏡孤さんがいよいよシスター達に飛び掛からんと牙をむいて唸りを上げる中––––




