決意と願い
あの子はずっと、ひとりだった。
自殺した生徒がいると聞いて、それがよく見かける生徒で。
あの子が私に向けてくれた笑顔が、ずっとずっと頭から離れない。
私は恋をした。そしてこれは、私が失恋する物語だ。
だけどせめて、私は変わったよって、全てが終わった後にあの子に笑顔で報告できるように。
私が信じた私だけは、絶対に裏切りたくなかった。
ーーーー
「おい、こいつらは......?」
「あっ店長!!不法侵入者ですよ!!早くつまみ出しちゃってください!!」
福村先輩の不穏な宣言に、場は凍り付いていた。正直私も驚いて思考が止まっちゃったぐらいだ。
それは最低男も同じようで、何かやけになった行動を起こされても怖いので、やっと帰ってきた店長にゲス男を威圧してもらう。
「......おい、勝手なことすんじゃねぇぞ」
そう言い残してくず男は去っていった。
「も~福村先輩!?変に刺激しないでくださいよ!!そりゃ感謝はしてますけどね!?」
「あはは……ごめんね?でもほら、私も抑えが効かなくなったというか」
「抑えって、福村はどうするつもりなんだ?」
修也先輩が福村先輩に問いかける。
「その、なんというか、篠原の意見を否定してくれただけで嬉しかったというか、それで十分だったんだけど」
「だから言ったでしょ?これは私のためなんだって」
一呼吸入れて、意を決したように福村先輩は続ける。
「あのね、きっと私、これから学校で孤立しちゃうかもしれない。私がやろうとしているのはそういうことなんだよね」
「孤立って、そんなの」
「勘違いしないでね?これは喜多見のせいじゃない。そこだけは勘違いしないでね」
そんな福村先輩の言葉に違和感を感じる。先輩がそういう風に思わないことなんかわかりきっているはずなのに、なんでそんな言い方ーーーー?
「あっ!まさか!!このっーーーー」
「もう遅いよ?だからさ、修也君?」
修也先輩は絶対断れない、そんな魔法の言葉が紡がれる。
「私を独りにしないでね?」




