始まり
新章です。がんばります。
翌日、登校した俺のことを、廊下で白河が引き止めてきた。
「おい、ちょっとこっちこい。話がある」
いつもよりは凄んだりはしていないが、それでも威圧的なことに変わりはない。
「え、嫌だけど」
そんな態度でこられたら、正直会話どころじゃない。悪いけどお断りだ。
「ま、待てよ!板倉のことで話があるんだ!」
出てきたのはそんな言葉。なるほど、板倉ね。
「別に興味ないよ」
「んなっ!?興味ないってお前、そんなはずないだろ!?」
残念だが、本当にない。
大方板倉に色々教えてもらったのだろう。信じているかはともかく、俺と園田に何があったのかを。
「悪いけど白河のこと信用してないから。それに話は本人に聞いたし」
別に板倉を信用しているわけでもないけどな。
「どうせ福村にいいところ見せようとか、そんなこと思ってたんでしょ?」
「それは」
まぁ図星だろうな。これに関してはわかっていたことだけど。
「別に白河を直接どうこうするつもりはないよ。だから放っといてくれよ」
「別に、そんなつもりじゃねぇよ」
そう口では否定しているが、その表情は苦虫を噛み潰したようなものだった。大方、保険でもかけておこうと思ったのだろう。
反省した姿を少しでも見せておけば、もしかしたら許されるかもしれないと。
はっきり言ってどうでもいい。
どちらにせよ手遅れだ。俺のやることは決まってる。
自分でまいた種だ。存分に苦しんでくれ。
「お前、何するつもりだ?」
「別に。お前らに何かするつもりはないって」
あくまでこれはそう。自分のためだ。
だからお前たちにはどうしようもない。
勝手にお前らが自滅していくだけだ。
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「ねぇ、本当にいいの?お兄ちゃん?」
放課後、少しむすっとした表情の幸を連れて、俺は電車に揺られていた。
「ん、もう決めたことだからな。それよりもごめんな?俺のわがままに付き合わせちゃうことになって」
「それは別にいいけど、大変なのはお兄ちゃんの方だし」
昨晩は色々と大変だった。まぁ端的に言うと幸が怒った。それはもう、鬼が出たかと思った。
結局ちゃんと理由を話したら納得してくれたけど、まだ100%許してくれたわけではないと思う。
ともかくだ。まずは話を通さないといけない。そうしないと実現可能かすらわからないのだから。
電車に揺られること10分。駅を出て5分ほど歩く。
今から会いにいく人に、俺がくることは伝えていない。
だけど連絡を取る必要もないだろう。だって俺は帰ってきただけだから。
「ただいま、母さん」
そろそろ喧嘩の続きを始めようと思う。