ex5 私が私であるために
『私は恵美のこと、親友だと思ってたよ』
彼女が放ったその言葉が、ずっと頭から離れない。
親友って何?別に私は、そんなこと思ったことなんてない。
いつだって私に、本当の友達なんていなかった。
私はずっと独りだった。独りになれていたはずだった。
『そうやって被害者ぶって!』
違う。そんなことしていない。ぶってなんかいない。
事実、被害者だっただけ。私は悪くないじゃないか。
周りが私を独りにするんだ。誰も本当の意味で私を信じてくれない!
今回だって舞華は、結局私を信じてくれなかった。
結局、私のところから離れていった。
何もわかってないくせに、自分のことを棚に上げて、人のことを非難するだけして、そうして私の元から去った。
彼女も私を独りにした。
許せない。いや、許す必要はないか。
だってもう、彼女は親友じゃないから。
「違う、今までもよ」
頭をよぎった一つの考えを、その呟きとともに即座に切り捨てる。
それを認めてしまうことは、絶対にしてはだめだ。
でないと、私は私でいられなくなる。
可哀想でいられなくなる。
自分の中で生じた矛盾から目を逸らす。
そして客観的に自分を見つめ直す。
だいじょうぶ。わたしはだれよりもひがいしゃだ。
それに、私のことを信じてくれている人だっている。
大丈夫。私は一人じゃない。
友達?親友?そんなのはどうでもいい。
大事なのは、私がどうあるか。それだけだ。
だから好き勝手にはさせない。
大丈夫。布石は打った。
あの写真はきっとこれから役に立つ。
これはあの時とは違う。いじめなんかじゃ、他者を陥れるものなんかじゃない。
自衛である。
そう言い聞かせ、私は心の平穏を保つのだった。
ということで!ここまでが第4章とさせていただきます。
章としては短いですけど、作者にとっても作品にとっても、かなり大事な章となりました。
さて、色々と舞台は整いました。ここからがこの作品にとっての核となってきます。
そしてこの作品を投稿してから1ヶ月となります。
たくさんの応援をありがとうございます!
これからもどうぞよろしくお願いします。
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あと、各話の「side」ってもしかして必要ない子?