第5話 勧誘
「あなた、私と一緒にゲーム部に入りなさい!」
「……」
俺は言葉を失った……
「聞こえなかった?」
「あなた、私と一緒にゲーム部に入りなさい!」
佐倉は大きな声で言った。
それに対して俺はーー
「えぇぇぇぇぇっ!!!???」
とんでもないくらいに驚いていた……
「あなたが昨日見た私の秘密をばらさないとは限らないからね。」
「監視目的でもあるの。」
「でも……本来の目的は……」
真剣な佐倉の表情を見た俺は、一体どんな話だろうと聞いているとーー
「ただ……あなたとゲームがしたいの!!!」と言った。
俺はただ呆然とその場に立ち尽くしていた。
「私は家ではゲームができないの。だから前から学校にゲーム部を作って、誰かとゲームをしたかったのよ。だけど、学校の先生が認めてくれるわけもないし、優等生の私がゲームをすることをみんなに言いたくなかったのよ。」
なんだろう……無性にこいつを殴りたくなってきた。
「優等生って自分で言うか?普通。それに、誰にも言わなかったら、誰もゲーム部になんか来ないだろ。」
「それくらい……わかるわよ……」と佐倉はちょっと頬を膨らませて言った。
佐倉の顔を見た俺はついーー
か……可愛い……と思ってしまった。
「だけど昨日、不覚にもあなたに私の秘密を見られてしまったからね。」
「……」俺は反論できなかった。
「まぁこの話はこれくらいにして。私、あなたと話したいことがいっぱいあるの!」
「えっ??」
「あなたがゲーム好きなのは知っていたけど、まさか私と同じ、マスターズストリートが好きだなんてね。気が合うわね私たち。」
「あぁ…そうだな。」
マスターズストリートとは、昨日俺と佐倉がやっていた全国大会まである大人気格闘ゲームのことで通称「スタスト」
佐倉はそこから人が変わったように、「スタスト」のことを喋り、俺はそれに相槌を打った。そして俺の大事な休み時間は消えていった……