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オタク優等生とコミュ障な俺と  作者: 東雲涼斗
第1章 コミュ障とオタクの出会い
4/11

第3話 秘密

そう――目の前にいたのは、俺のクラスの優等生の佐倉舞だった。


「……佐倉舞?」反射的に名前を呼んでしまった。

「な……何でお前が……」

俺は自分がコミュ障だということを忘れるくらい驚いていた。だってあの――容姿端麗、

文武両道、成績優秀で学校のみんなの憧れの佐倉舞の姿がそこにはなかったからだ。

そこにいたのは、いつも整えてあるはずの綺麗な金髪もボサボサになっていて、可愛いと言えるには程遠いダボダボのジャージを着て、いかにもオタクがかけていそうなメガネをかけている佐倉の姿だった。


当の佐倉は俺に気づかず、まだゲームをしていた。

「……」俺が黙っていると、やっと佐倉がこちらに気づいた。


そして――「な……何であなたがここにいるの!?」と俺よりも驚いていた。


俺は心の中で――「それはこっちのセリフだよ……」とツッコミを入れていた。


「あなた……見たわね……」


「……」


どうしてかはわからないが、このままではヤバい。そんな漠然とした不安が一気に頭を過った気がした俺は、今見たことを忘れるため、とりあえずこのゲームセンターから出ることにした。

が――「ちょっと待って。」と見た目がいつもと違い過ぎる佐倉に呼び止められた。


「黙っているつもりなら、もう一度聞くわ。」


「あなた……見たわね……」


「み……見てないよ。」


「嘘。絶対嘘よ。」


「学校一の優等生が、夜遅くに一人でジャージ着て、格ゲーやっている姿なんて本当に見てないよ……」


「そこまで詳しく説明出来るって事は、あなたは私の正体まで気づいたのね!」


「そんな格好だけど、学校の生徒が見たら一発でお前ってわかるぜ。」


「そうなの!?完璧な変装だと思ったのに……」


あれっ?もしかしてこいつ意外と天然?そんなことを考えている間に俺の体のタイムリミットが来てしまった。

「はぁ…はぁ…」ヤバい。久しぶりに人とこんなに長く喋ったので、意識が遠くなってきた――俺のコミュ障は普通のコミュ障とはレベルが違う。俺は人と長時間話すと、焦りや緊張、不安で意識が遠くなってしまうのだ。


「朝倉君?さっきから様子が変だけど大丈夫?」


「だ……だいじょうぶだ……」

消えそうな意識をなんとか繋ぎとめながら、俺は声を絞り出した。

だが――俺はそのまま、気を失ってしまった。

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