プロローグ・英雄の始まり
作者は初投稿で連載という一種の挑戦です。
王道ファンタジーのつもりで書きました。
おかしい、最初なのにバトル、聖職者ってなんでしょう?しかも主人公がほぼ出てない。
文が下手なうえ、マナー等の理解も甘いので、何か意見がありましたらお願いします。
その世界は、言わばファンタジーだった。
現代に住むものからは想像はできても実現は出来ないであろう、魔法を使ったり、技術を身に付けたりといったものが、常識だった。
当然、強弱はある。それは疑いようもない世界の摂理だ。
そして、この物語で語られる一人の青年にも、決して無力ではなく、むしろ強力と言ってもいいだけの実力は確かにある。だが、それでも彼は能力から没個性であることは間違いないのだ。
---と、前置きはここまで。では、物語を始めるとしよう。
「・・・・ああ、どうしましょう、どうしましょう!」
一人の少女が人目もはばからず街道でしゃがみこんでいた。回りの人も驚きこそするが、そういった人は関わられないのが世の常。しかししばらくすると少女はまた突然立ち上がる。
「いやいやいやこんなことしてる場合ではないですね!とりあえず、足で稼ぎます・・・!」
独り言が大きく、元気一杯なのがまた人目を集める一因となってしまっている。だが彼女はそんなことを気にすることもなく、道行く人に声をかける。
(そう。私は、とある人を探しにここに---パーデット王国に来たんだ。だからこんなところで挫けている場合じゃない!)
パーデット王国では「英雄」が存在し、今彼女はそれを探していた。英雄の条件も、何故彼女が探していたのかも、後述することになる。
ちなみにパーデット王国にしか英雄が存在しないという訳ではなく、他にも王国はある。
その後彼女は沢山の人々に声をかけ続けるが、どれも英雄ではなく、その候補に入れるにも危うい者達ばかりであった。結局、「どれも自分の期待に沿うものではない」と諦めかけ、そして彼女はそれを不幸だと思っていたのだが---
残念なことに彼女はここまではこの上ないほどに「幸運」であった。理由は複数あるのだが、まずはここからの「不幸」から見てもらったほうが分かりやすいだろう。
「きゃあっ、はなして、なんでこんなことを・・・!」
「アッハッハじょーちゃん、悪く思いなさんな。こんなところで人に声かけてるあんたもあんたなんだぜ?」
そう。彼女は深夜、暴漢に襲われていた。今まさに路地裏に追い詰められているのだが、残念なことにこの世界は『自己責任』が何より大きい。強い能力に対抗できるのは強い能力。そして善と悪が同数、というのはほぼないので「警察」にあたるものはあるにはあるが、犯罪全てを防ぐのはやはり不可能であり、それを前提とした構成の組織だった。
彼女の不幸が何かと言えば、簡単な話だ。
そう---彼女、
大条紅林は本当に残念なことに、日本から来たがこちらの常識など微塵も知らなかったのだ。
彼女はここが都会だと勘違いしている---とはいっても、この時代の日本からすると仕方ないのだが、を差し置いても明らかに不味い街に来ていたのだ。少々天然が過ぎた、とでも言っておこうか。
それが夜まで声が掛けられなかったのは、単に彼女の「運が良かったから」に相違ない。
しかし、彼女もただ暴漢に負ける程度の器ではなかった。
彼女の服装の上は白、下は赤の極めて一般的な巫女服にロングの黒髪を見れば、日本人ならば理解できただろうが、彼女は「巫女」だった。この時代、聖職者というのは一種の職業であり、王国の外から来た彼女もそれは例外ではない。
「えい・・・・っヤァ!」
彼女は迫ってくる暴漢の隙を突くと、脚力を『魔力』で強化し、蹴り飛ばす。素の身体能力も強力であった彼女の能力はただの暴漢などに負けはしなかった。
だが、彼女も現状自分が不利なのは分かっていた。
ただの暴漢が一人で来るなどありえない、相手の自信満々な態度を見ればそれは明らかだった。つまり、彼の能力は---
(戦闘向きではない、恐らくは偵察向きの能力、かな・・・?)
「・・・だが、いまじょーちゃんは地雷を踏んだぜぇ!?」
その時彼女は違和感を覚える。まるで衝撃がそのまま自分に返ってきたかのような。
(地雷?まさか----ッ、読み違えた!)
反射、否。そんな能力を英雄ではないのに持つはずがない。感覚の共有?これもまた否。便利すぎる。もっと事前に使い、惑わせるべきだ。限定的という線も考えられなくはないが、現実的でない。
「ダメージを本当にお互いに負わせたんですか・・・!」
これは困った。相手へのダメージも間違いなく通るが、それ即ち自分へのダメージも通るということだ。相手はそこまでの実力者でない以上、体力的なダメージレースでは有利だが、調節をいれなければならない。予想以上に、面倒だ。
「ああ---そらよぉ!」
お返しとばかりに暴漢も蹴りを放つ。魔力を直ぐ様脇腹に回し、強化を行う。 相手のスペックは有象無象、そうたいしてダメージは負わない。ならば取る手は一つ。
「んな、馬鹿なぁ・・・!?」
「これで一人、です」
首に手刀を打ち込み即座に気絶させる。相手に手傷を負わせるのが自滅も同然な以上、この手が一番効果的だ。とはいっても、相手と明確な実力差があるからこそ可能なものだが。
(しまった・・・・想像以上に体力を削られた)
しかし休む間も無く仲間であろう他の男達が、10人程現れる。
彼はただの暴漢だったが、他はそうでもないようだ。普通なら、あんな扱いにくい能力者を先鋒には出さない。にも関わらず運用したということは、相手はプロだ。戦力が、違いすぎる。
(ああ・・・まだ王国に来たばかりだというのに、こんなところで----)
「神よ、たとえ我が魂が尽き果てようとも、きっと何者かを救いたまえ・・・」
たとえこの身を失っても、一人の巫女として信仰も、この優しさも忘れてたまるものか。その決意を込め、母に教わった祈りの句を呟く。これで終わり---
「辞世の句か?まあ何がどうあれ、興味はないが。目の前でやられるのも困る。その辺りで、止めておけ」
----ではなかった。一人の青年がその場に現れ、少女と出会う。これは始まりである、英雄の物語の。
聖職者ってなんでしょう(哲学)
王道にしたつもりですが、どうだったでしょうか?
キャラの容姿が上手く表現できません(泣)
ヒロインが近接戦闘強いのかよ、と思うかたもいるかもしれませんが、ぶっちゃけ相手が弱いだけです。
次回は主人公中心に、世界観や設定を少しずつ出していこうと思います。