自動ブレーキ(200字)
「絶対に轢き殺してやる!」
私は憎悪一色の眼光で、目の前の通行人を見遣る。
あいつだけは許せない。
そうアクセルペダルを踏み込むと、エンジンが唸りを上げて急加速した。
『ICチップが不要な感情体を受信。直ちに排除します』
私の脳内に、機械音声が流れた。
全身が麻痺して、何者かに操作される感覚がある。
ふと気が付くと、自動車は追突を免れていた。
自動ブレーキは自動車だけではなく、人間の脳内にまで搭載されていたのだ。
ペットに対して、ICチップの埋め込みを義務付けている国が多々あるようです。
ペット先進国スイスの一部地域では、飼い主資格を保持しなければ、犬を買うことも出来ないそう。
その代わり、ペット兼用のアメニティ施設が充実しているので、動物好きにはたまらない国なのかもしれません。
そこから着想を経て、ICチップを人間に埋め込んだらどうなるんだろうと書いてみました。きっと脳波や脈拍なんかを測定されて、異常な数値が検出されたら、自動制御が発動するのではないでしょうか。
ただの絵空事ですけどね(笑)。