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あれやこれやを採集しつつ、花畑を探していると窪地になっている所に出た。ボウルの底になっている所にいやに艶々したコスモスっぽい花が群生している。窪地に降りて鑑定する、やはりフコイダンフラワーで間違いないようだ。触って分かったが、艶はぬめり成分だった。めかぶに似ている。


このぬめりをポーションに加えられたら更に投擲向けになりそうだ。いくつか持って帰って実験してみよう。何本か根元近くで切って収穫しておいた。茎も葉もぬるぬるして取り扱いしづらい。危うく落とすところだった。


窪地から出てストレッチワスプの巣を探した。特徴的な六角形が目印だと受付嬢が言っていた、が……ちょっとサイズが大きくありませんか?部屋一つ一つがお手玉サイズである。従って蜂はもっと大きいわけだ。ソフトボール大の蜂と言うのは結構威圧感がある。蜜蜂で良かった、スズメバチよりは可愛い顔つきである。


蠢く蜜蜂達に手を出しあぐね、じっと見つめていたら蜜蜂達が急に動かなくなった。どうしたのだろう。巣の中から出てくる蜂も少しの間をおいて動きを止める。あっという間に巣の周りの蜜蜂は皆眠ったようになってしまった。


しばらく考えて、そう言えば今私は見つめていたなと思い当った。【魅了】の仕事だ。本当に便利でありがたい。ちょっと蜜蜂達に巣から退避して貰って、もし残りが巣から出てきたら糸で絡めるべく巣の周囲に展開。大きな巣だが、持ち上げると意外と軽かったのでそのまま地面に軽く打ちつけた。おお!本当にバラバラになった!


中央部分だけは崩れなかったのだが、どうやらこれが女王様のお部屋であろう。これさえ残しておけばまたストレッチワスプ達はあっという間に元通りの巣を作るのだと言う。女王様だけは狩ってはいけないとグレッグ先生が教えてくれた。


地面に散乱した蜂部屋を拾い集めてはストレージに放り込んでいく。一つの巣から何百と採れるので、もう幾つかバラすだけで暫くもちそうだ。まあ、上手く行けばの話だが。中にはまだ幼虫が収まった部屋もあったので、ちょっと躊躇うがこれも採集しておいた。我ながら欲深い。


「上手く行きましたか?」


3つの巣を回収してそろそろ戻ろうかなと思った頃にイルが戻ってきた。歩く姿が明らかに軽やかになっている。こんな短時間でも馴染む物なのか。


「1000以上は集めたと思う。とりあえずこれで実験かな。イルも上々だったみたいじゃないか」


「まあまあですね。跳ぶ為に膝を曲げるなんて変な感じですが段々馴染んできました」


互いの収穫を報告し合いながら街に戻った。本屋も探したいが、今日は夜まで金策だな。その後はログアウトだ、残念だが月曜日が迫っている。何とももどかしい、やりたい事は増える一方である。


再びギルドを訪ねて露店マットを借りた。いっそ清々しいほど私は視界に入れて貰えない。ここの受付嬢は肉食の上にタフである。少々ではへこたれないようだった、最後はまた抑えつけられていたけれど。


神殿前の適当な所に陣取って商品を広げる。いつもカリスマさんの隣だったので気付かなかったが、露店ってひとりだと結構寂しいかもしれない。イルがいて良かった、客が来ない時も喋る相手がいるのは有難いことだ。


時折会話しながらも各々の作業に没頭する。訪れる客は殆ど根付を購入して去っていく。付加魔法のレベルがさくさく上がるのでありがたい。ついでにリピーターになってくれればもっといいのだが。


「ポーション屋さあん!」


街が変わろうとも彼らは全く変わらない。私はやっぱり監視されているのかもしれないと思いつつ、駆け寄って来る少年少女達を迎えた。


「こないだはありがとうございました!ポーション屋さんもこっちに来たんですね!」


「……補充、頼むわ」


「ポーション今日は多めにお願いします、各100ずつで」


「ポーション屋さんソロじゃなくなってる!キャー超イケメンじゃないですかあ!羨ましいいい!いいなあ」


一度にあれこれ喋られてちょっと面食らいつつも、まずは補充から。属性は前と同じで各900ずつと注文された。順調に彼らも強くなっている。次いでポーションの計算、現在作成できるのは品質Bと品質Cが半々程度だ。値段との折り合いなのか、購入も半分ずつだった。……これだけで200000エーン超えたぞ。本当にトッププレイヤーなのだなあ、パーティ名は変えた方が良い気がするが。そしてイルに突っ込みを入れたポニーテールの少女には正直に答えよう。


「あー、彼は私のパートナーのイルです」


「辰砂がいつもお世話になっています。これからもどうぞ御贔屓に」


何だかイルが実に大人の挨拶をぶちかました気がする。どこでそんな完璧な敬語を身につけたのだ。少女二人がきゃあきゃあ喜び、少年達はぽかんとした風だった。


「大人っていいなあ……」


財布係の少年が、イルを見つめたまま呟いたのが印象的であった。イルも一昨日まで子供だったんですから、君達もあっと言う間になれますよ。心の中で応援しておいた。


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