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盛大に脱線した話を本題に戻し、私は大全を覗きこんでいた。ついでに老師が読み解き方を説明してくれている。


「後ろの方に索引があるじゃろ? 使う道具別にある程度分類されとるんじゃ。今作ったのは魔法焜炉の火口と、魔法冷蔵庫の凍結材に……家庭用ランプの球じゃったか。120頁、472頁、668頁がそれぞれ該当しとる。火口からやるか」


火口は不透明な赤色の石である。焜炉の差し込み口に合わせた六角形に根元部分を加工して、先の方は丸みを帯びさせている。つまみをひねると内部で焜炉側とぶつかり、接触面積で魔力の流れを調節するのだと言う。


「代表的な複合型の魔法道具じゃの。焜炉側に、火口から魔力を引っ張り出す指令を与えてあるのじゃ。火口側には、魔力を熱に変換するよう指示を与えてある。後は熱を焜炉部分にだけ放出させるための方向付けくらいかの。まあちょいとかじればできるわい」


老師の言ったとおり、火口側の魔法文字は随分簡単だった。これなら一筆書きの図形と言われても納得できる。良く良く見比べて、差し込み口側の尻部分に書き込む。最後のはねる所がポイントらしい。


「見せてみなさい。……きちんとはねとるの。これを止めると熱でなく火が、払うと振動が起きるのじゃ。火を出せば焜炉が燃えるし、焜炉が震えても役に立たん。間違わぬようにの。もっとも、素材との相性もあるから何に書いてもできるわけではないが」


文字と素材の相性まであるのか。今書いたこの赤い石は等級の低い赤魔石であるという。家庭で使う程度の出力ならばⅡくらいまでが適当だとか。


「ヨンの街の近くに火山があっての。活火山と休火山があるんじゃが、休火山の方に棲むマッチラットがぴったりの赤魔石を落とすんじゃ。色の名前がついとる魔石は相性がはっきりわかるものが多いでな」


逆に、魔石としかわからないものの方が厄介であるらしい。つまりトロールの魔石は何に使えるか微妙だと言うことだろうか。取り出して見せてみた。


「まったお主は珍しいもんを……安心せい。こりゃ単にお主の識別じゃ見えとらんだけじゃ。正しくは透明魔石じゃの、得意不得意なく便利に使える魔石じゃ。数売りの杖なんかによく使うの、これは等級が高すぎるで杖にゃ勿体ないが……」


老師曰くこれほど等級の高い魔石ならば魔法行使を補助する護符にするとよいと言うことだった。自分に合わせて調整するので、そこいらの補助具よりよほど高性能になると言う。ところで補助と聞いて思い出したのは私のブレスレットである。


「老師、それではこれも補助具に分類されるのでしょうか?」


売れ残りの黄水晶のブレスレットを取り出すと、師匠は何とも変な顔をした。


「付加術師の仕事まで手を付けとるんか? 一体何を目指しとるんじゃ」


何をと言われても。付加術の方は完全に自己流であるし、イルの食事の為に作ったものの副産物である。と言う旨を伝えると、老師はこめかみを親指でもみほぐした。


「……うむ。わかった。これは運命かもしれぬと思うておく。とりあえずそれも補助具は補助具じゃが、ちょっとやり方が違うのでわしらは分けて呼んどるわ。わしらの作る補助具が護符タリズマン、付加術師の作る補助具は付加守アッドチャームじゃ。護符は魔法行使を助け、付加守は発動した魔法の威力を上乗せする。ゆえに付加守は消耗品じゃ、充填もできるがの」


へえ。何かわからなかったブレスレットは付加守と言うものだったのだ。何でも聞いてみるものだと感心しながらブレスレットをストレージに仕舞い込んだ。


「我が弟子ながらようわからん奴じゃの。なんで名前も知らんのに作れとるんじゃ」


老師が呆れた様子で大全をめくっている。何で、と言われると成り行きでである。


「精霊さんに贈り物を上げようとしたら触れないからと断られまして。お世話になったお礼だったので、何とか魔力を通せないかと考えて出来たのがこれです」


返ってきたのは溜息であった。聞いておきながら失礼な。その後はそこはかとなくおざなりに凍結材とランプの球の作成法を教わり、今日は終わりとされた。疲れた顔の老師を心配したが、明日にはよくなっているとのことであった。元気だが老人は老人だと言うことだろうか。まあいい、作業場に移動して調薬と、イルの根付を見せてもらおう。


辰砂しんしゃ Lv.70 ニュンペー

職業: 冒険者、調薬師、魔法道具職人の弟子

HP:1185

MP:3380

Str:470

Vit:250

Agi:500

Mnd:610

Int:610

Dex:530

Luk:230


先天スキル:【魅了Lv.9】【吸精Lv.10】【馨】【浮遊】【飛行】【緑の手Lv.2】【水の宰Lv.2】【死の友人】【環境無効】

後天スキル:【魔糸Lv.12】【調薬Lv.20】【識別Lv.20】【自動採集Lv.1】【採掘Lv.24】【蹴脚術Lv.4】【魔力察知Lv.9】【魔力運用Lv.15】【魔力精密操作Lv.23】【宝飾Lv.7】

サブスキル:【誠実】【創意工夫】【罠Lv.13】【漁Lv.2】【魔手芸Lv.7】【調薬師の心得】【冷淡Lv.4】【話術Lv.6】【不退転】【空間魔法Lv.6】【付加魔法Lv.11】【細工Lv.5】【龍語Lv.6】【暗殺Lv.2】【料理Lv.4】【夜目Lv.4】【隠密Lv.12】【魔法道具職人の心得】【文字魔法Lv.3】


ステータスポイント:0

スキルポイント:73

称号:【最初のニュンペー】【水精の友】【仔水龍の友】【熊薬師の愛弟子】【絆導きし者】


イルルヤンカシュ Lv.29 仔水龍

HP:7500

MP:5000

Str:1150

Vit:1150

Agi:350

Mnd:630

Int:630

Dex:400

Luk:100

スキル:【水魔法Lv.28】【治療魔法Lv.5】【浮遊】【飛行】【強靭】【短気】【環境低減】【手芸Lv.14】【アヴァンギャルド】【風魔法Lv.2】【雷魔法Lv.3】


スキルポイント:2

称号:【災龍】【水精の友】【ツンデレ】【絆導きし者】


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