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スキル一覧を開いてみる。戦闘、魔法、生産、その他、ネタと大きく分かれており、その中で細かく分類されている。まるきり図鑑を見ているようだ。しかしネタって。
「一応は実用性よりも浪漫を重視した物、という定義ですね。全枠ネタスキルを設定された方もおいでですよ。人気なのはこの【ランエフェクト・星】や【ジャンプエフェクト・効果線】ですね」
それはまた豪気なことで。エフェクト系のスキルは名前の通り、走った後に星が散ったり飛んだ時に線が引かれて強調されるのだそうで。全く正しいネタスキルである。
「ゲーム内での行動によってスキルを取得することも有りますから、よくよくお考えになってくださいね」
竜胆さんのアドバイスが耳に痛い。何がしたいか決まってないのにスキルを取らざるを得ないこの状況。図鑑をめくる指の動きだけが規則正しい。
しばらく悩んだが、これもまんべんなく取得しておこうと決めた。戦闘ジャンルの中から、竜胆さんの勧めもあり【糸】スキルを選択。本当に扱えるかは自信がないが、訓練所があるから大丈夫だという。
魔法ジャンルからは【空間魔法】、【付与魔法】を選択。これも言われた通りに選んだだけである。荷物軽減とスリ対策らしい。
生産ジャンルからは【料理】、【宝飾】、【細工】、【調薬】、【識別】、【採取】、【採掘】スキルを選んだ。どうせ扱うなら綺麗なものがいいと言う竜胆さんの意見に沿っている。わからなくもない。ネタ枠の入る余地はこれでなくなったわけだ、なぜか勝利した気分である。
使用したスキルポイントは92ポイント、ポイント差が随分ある。生産系はすべて1ポイントなのに空間魔法は70ポイントだった。なんかの嫌がらせだろうか。
最終的なステータスを確認する。
辰砂 Lv.1 ニュンペー
職業:
HP:200
MP:700
Str:330
Vit:120
Agi:330
Mnd:530
Int:530
Dex:530
Luk:130
先天スキル:【魅了】【吸精】【馨】【浮遊】【空中移動】【緑の手】【水の宰】【死の友人】【環境無効】
後天スキル:【糸Lv.1】【空間魔法Lv.1】【付加魔法Lv.1】【料理Lv.1】【宝飾Lv.1】【細工Lv.1】【調薬Lv.1】【識別Lv.1】【採取Lv.1】【採掘Lv.1】
サブスキル:
ステータスポイント:0
スキルポイント:8
称号:【最初のニュンペー】
「いいですね。バランスも良いですしスキルポイントもほとんど使えてます。どんなことにも挑戦できると思いますよ」
竜胆さんも太鼓判を押してくれた。この短い間に竜胆さんとも打ち解けられたように思う。
「何から何までお世話になりました。またお会いできる時を楽しみにしています」
お辞儀すると、竜胆さんは少し驚いたような顔をしていた。
「いえ、いいんですよ。私たちの仕事なんですから。でも、嬉しいです。いつか辰砂さんにはお会いできる気がします――行ってらっしゃいませ」
最後の最後に意味ありげな笑いを残して、竜胆さんは私を∞世界へ送り込んだ。