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淡々とグロいかもしれない描写がありますので、若干注意。

 15分ほど経過。カリスマさんはほとんど傷もないまま熊を一方的に殴りつけ続けているが流石ボス、体力ゲージがとても長い。雑魚に比べると減りも鈍いので二本あるゲージの片方が半分になったところである。


「カリスマさん、処理慣れてきたんですがどういう感じで手を出したら邪魔になりませんか?」


 湧き方を色々試したが、全滅させると周囲から10匹が一斉に登場し、15秒毎に1匹追加されるようだ。1匹だけ残しておけば15秒毎に1匹追加だけで済むので、間違えなければ余裕ができる。


「そうねえ、たまに突進したがるのを止めるのが面倒だから足が止まると嬉しいわ、ふっ!足狙ってるんだけど、もう、頑丈過ぎだから!」


 華麗な棍捌きを披露しつつもリクエストをくれるカリスマさん。あまり長引かせると気力的にもEP的にも不利になる。しかし、足止めか。単に足を引っ張っても、熊が四つ足になったら何の意味もない。


 とりあえず1匹ずつ増える蝶を1匹ずつ踏みながら、余った糸を凄く鋭くしてみた。石に刺さるんだから、熊にも刺さってくれるだろうと期待して、踝辺りを地面に向かって貫いてみる。


「――ゲァッ!?」


 おっ刺さった。刺さることが分かったのだから躊躇うことはない、四方八方から刺しまくろう。イメージとしては標本みたいな感じか。


「ギャアアアアアアア!!」


 熊が涎をまき散らしながら両手を振り回して悶えた。細い糸でも100本ずつ刺せば熊も縫えるんだなあ。感心しながら蝶を踏む。カリスマさんが距離を取った隙を狙ったので被害は0だ、念のため言っておく。


 そうだ、ついでに攻撃力も削ごうか。足が固定されているのでやりやすい、足の爪に糸を巻きつけ全部抜いた。悶えた拍子に足裏が見えたので肉球ももごうかな――


「もうやめて、もう熊のライフはゼロよ!」


 カリスマさんから待ったがかかった。ライフ?HPはまだ残ってるが、カリスマさんの目には何かがゼロに見えるのだろうか?


「足止めは十分過ぎるくらいよ、あとはアタシが引き受けるから、お願い。お姫様は蝶々のアイテム稼いで頂戴、いっぱいあった方が嬉しいわ……」


 涙目のカリスマさんが進み出る。よく分からないが十分だと言うことなら私は再び蝶を倒そう。熊を縫い止めしている間に蝶々が3匹に増えていたのを順に踏む。改めてHPゲージを確認するが殆ど減ってなかった。やっぱりStr値が低いのがネックか。手を握りこんでみた。次のステータス振りはStrに振るか。


「この糸魔力使ってんだから腕力じゃなくて魔力とか知力とかが関係あるんじゃねーかな!調べた方が絶対いいと思うけどなー!」


 急に水龍が耳元で叫んだ。やかましいが、とは言え内容はまともである。確かに、糸を振り回しているわけではないのだからIntかMndが関係する方が自然だ。ニーの街に着いたら調べてみるか。


 糸で宙に縫われた熊の末路はあっけないものだった。散々に棍で叩かれ、途中から私も蹴ったので思うよりは早く片付いた。


 ちなみにカリスマさんのブーツは素晴らしい力を発揮した。蹴りならきちんとダメージも入ったので私も一安心である。現在のステータスではボスに手も足も出ないとなると、単調なレベル上げを続けざるを得ないところであった。


 毛皮と牙、爪、掌がドロップした。掌って何に使うんだろうか。ちょっと嗅いでみたが結構臭い、猫の肉球とは違った。嫌がらせに使うアイテムだろうか?


「あら掌?変わったのが落ちたのね。熊の掌って珍味だったわよね確か。食べ……たくなかったら売ったらいいわよ。料理人なんか喜んでくれるんじゃないかしら」


 多分とても嫌な顔をしたのだろう、カリスマさんの助言が途中で変化した。この臭いを嗅いだ後に食べるのは結構な勇気が必要である。


「そうします。高いといいんですが」


 いやに多いドロップ品をストレージ送りにしながら数を数える。毛皮13、牙6、爪16、掌2。私に2つ来たということはカリスマさんにはないかもしれない、譲ろうとしたが速攻で断られた。食事では冒険しないタイプだそうで、残念である。


「んー……、レアなのかしらこれ?どう思う?」


 同じくアイテムボックスをチェックしていたカリスマさんが何やらアイテムを取り出して見せてくれた。『白卵しろたまご』。


「……え?」


「ねえ?」


 顔を見合わせてしばらく沈黙した後。詳細にも『鞄に入れて持ち歩くと良いことあるよ☆』としか書かれておらず、何もわからずじまいであった。


「まあ、掲示板で質問もしたし、そのうち何かわかるわよねきっと。とりあえず説明通りにしておくわ」


 肩をすくめたカリスマさんがボディバッグに卵を放り込んで、ひとまずこの話題は終了した。とりあえずニーの街に行こうと意見が一致したためだ。


 もう何も起こるなよとの願いが通じたのか、あとの道のりは平穏そのものであった。


辰砂しんしゃ Lv.27 ニュンペー

職業: 冒険者、調薬師

HP:525

MP:1730

Str:330

Vit:200

Agi:330

Mnd:530

Int:530

Dex:530

Luk:200

先天スキル:【魅了Lv.7】【吸精Lv.2】【馨】【浮遊】【空中移動Lv.5】【緑の手Lv.2】【水の宰Lv.2】【死の友人】【環境無効】

後天スキル:【糸Lv.24】【宝飾Lv.5】【調薬Lv.15】【識別Lv.12】【採取Lv.21】【採掘Lv.19】【蹴りLv.28】【魔力察知Lv.4】【魔力運用Lv.7】【魔力精密操作Lv.12】

サブスキル:【誠実】【創意工夫】【罠Lv.12】【漁Lv.2】【魔手芸Lv.6】【調薬師の心得】【冷淡Lv.2】【話術Lv.2】【不退転】【空間魔法Lv.6】【料理Lv.1】【付加魔法Lv.10】【細工Lv.2】【龍語Lv.5】


ステータスポイント:110

スキルポイント:25

称号:【最初のニュンペー】【水精の友】【仔水龍の保護者】【熊薬師の愛弟子】


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