↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

142/260

142

核だけが存在を主張したまま数分が過ぎた。別に第二形態をとるわけでもないし、HPバーは復活したりしないけれど何も起こらない。こういう場合はどうしたらいいのか。


「水を掛けたら元に戻るんだろうなあ」


「止めてあげてくださいね。いじめは良くないですよ」


イルから待ったがかかったけれど、やるとも言ってないんだが。いくら私でもそんな趣味は持ち合わせていない。肩をすくめるだけに留めておいて、核を触ってみることにした。システム上の戦闘は終了している以上、何らかのアクションを起こさなければ話が前に進まないのだろう。


ぷるぷると核が震える。うーん、生憎と私には声なき声が聞こえるスキルはないのだが。何かしら起きないか期待しながら暫し待機していると、震え続けていた核がぴたりと止まった。そしてとろけた。なんだこれ?


「何か溶けたんだが」


「なんなんですかねえこれ?」


「死んではないみたいだけど……どうしちゃったのかしら?」


誰にもわからない謎の事情により核がとろけてしまってからは何も起こらないため、もうこれは放置することになった。わからんものはわからんのだ。


「で、精霊さん、この泉はどうですか?」


本題に話を戻してみると、精霊さんは頷いた。


「環境的には申し分ないわ、ちょっと暗いけど光茸《ヒカリダケ》が少し生えてるし、お世話したら増えると思うから大丈夫そうだし。だけど、ねえ。またあの大きなスライムちゃんが泉に入ってくるようだとちょっと怖いわ」


グラススライム自体に魔力はないので精霊さんに触れるわけではないのだが、だれが水饅頭を押し付けられながら生活したいだろうか。それではここも無しだな。


「それじゃ、次はどこに――」


次なる泉の場所を尋ねようとした言葉が途中で切れたのは仕方がない事だと思う。とろけた核が急にうねうねし出したのである。アメーバみたいでちょっと見た目が悪い。蠢く核を気味悪そうに見ていたイルがちらりとこちらに視線を寄越した。


「辰砂、これ消し飛ばしていいですか?気持ち悪い……」


非常に魅力的な申し出だが、いささか発想が短絡的と言わざるを得ない。敵意と言うか攻撃性は見られないのだから、もう少し頑張らせてもよさそうだ。無言で首を振り、観察を続けた。見れば見るほど動きが激しくなってきて気持ち悪……気色悪……だめだ、耳触りのいい言葉に言い換えられない。


「ねえ、辰砂ちゃん。多分この子何か伝えたいみたいよ?何かいい方法ないかしら」


精霊さんは困った風に私の肩に手を添えた。そう言われると何とか応えてあげたいのが私である。素早くスキルリストを展開させて『その他』タブを選択。龍語があるのだからスライム語だってあるに違いないのである。上からざっと探していって、残念ながらスライム語はなかったが代わりに【精神感応翻訳】と言うのを見つけた。


説明によれば、対象の感情や思考を感知することが出来るようである。喋れないスライムの用事もこれならばある程度読み取れはしないだろうか。スキルポイントは10使うが、こんなものはまた貯めればいいのだ。取得。


「ちょっと試してみますね」


とは言うものの、元々が凡人の私にはテレパシー的な何かの使い方はわからない。とにかく核をじっと見据えて気を散らさないように核を睨み付けてみた。これが何を言っているのかわかりたい……わかりたい……わかりたい……


「好き、」


口をついて出たのは予想外の一言である。言った自分が一番びっくりだ。何を言ってるんだ私は?


「大好き。一緒いたい。連れてって。大好き。大好き。大好き――」


自動的に愛を囁く自分の口を物理的に抑えて言葉をぶった切り、私は二人を振り返った。面食らった顔のイルと目をキラキラさせた精霊さんが対照的だ。


「ええ、と。今のってつまりそれが言ってる事ってことですかね」


「辰砂ちゃんたらモテるわねえ!もうおばあちゃんときめいちゃうわあ」


どうやら視界から外せば自動翻訳も終わるらしい。もう勝手に喋り出さないことを確認してから手を退けて、思わず一つ溜息をついた。むしろわからない方が良かったかもしれない。スライムにモテる日が来るとは思わなかった。


「ええと、気持ちは嬉しいがちょっと私にも好みと言うものがあってだな、ちょっとスライムは守備範囲外と言うか、悪いが他を当たってほしい」


お断りの文句を述べてみる。思ったよりまとまりのない羅列が出てきて、思いのほか動揺していることに気が付いた。なんたって恋だの愛だのから離れて随分経つからなあ……寂しいものである、が。やっぱりスライムが恋人と言うのはちょっと無い。


「何言ってんの辰砂……」


一応真剣に断りを入れている私の後ろでイルが呆れていたらしいのだが、ついぞそれには気が付かなかった。


辰砂《しんしゃ》 Lv.88 ニュンペー

職業: 冒険者、調薬師、魔法道具職人、召喚師

HP:1455

MP:4280

Str:470

Vit:250

Agi:550

Mnd:630

Int:630

Dex:600

Luk:250


先天スキル:【魅了Lv.11】【吸精Lv.10】【馨】【浮遊】【飛行】【緑の手Lv.9】【水の宰Lv.15】【死の友人Lv.8】【環境無効】

後天スキル:【魔糸Lv.29】【調剤Lv.5】【鑑定Lv.9】【自動採集Lv.18】【自動採掘Lv.13】【魔力察知Lv.23】【魔力運用Lv.25】【魔力自動演算Lv.5】【冷蔵魔法Lv.9】【減衰魔法Lv.1】

サブスキル:【誠実】【創意工夫】【罠Lv.16】【漁Lv.2】【魔手芸Lv.11】【調薬師の心得】【冷淡Lv.4】【話術Lv.8】【不退転】【空間魔法Lv.12】【付加魔法Lv.15】【細工Lv.6】【龍語Lv.8】【暗殺Lv.2】【料理Lv.11】【夜目Lv.5】【隠密Lv.12】【魔法道具職人の心得】【文字魔法Lv.25】【木工Lv.5】【蹴脚術Lv.16】【宝飾Lv.9】【精神感応翻訳Lv.1】


ステータスポイント:0

スキルポイント:14

称号:【最初のニュンペー】【水精の善き友】【龍人の標】【熊薬師の愛弟子】【絆導きし者】【老職人の一番弟子】【友を喚ぶ者】【樹精の善き友】


イルルヤンカシュ Lv.1 龍人

HP:10000

MP:7000

Str:1000

Vit:1000

Agi:1200

Mnd:800

Int:800

Dex:1200

Luk:100

スキル:【大水魔法Lv.1】【治療魔法Lv.5】【高速飛行】【強靭】【環境低減】【手芸Lv.26】【アヴァンギャルド】【風魔法Lv.29】【雷魔法Lv.28】【龍化】【身体強化Lv.3】【息吹Lv.1】【龍眼Lv.1】【人語Lv.6】


スキルポイント:3

称号:【災龍】【水精の友】【ツンデレ】【絆導きし者】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。