表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

138/260

138

どきどきしつつ早足で進んだ。わけを話すと精霊さんも、ここの主が誰かは知っているそうで、ちゃんと挨拶しなきゃ駄目よと逆に言われてしまった。すみません。前回と違い、道の両脇にドングリが並んでいるので足元に注意しなくて済んだ。30分ほどで到着。


再び礼をして、早速掃除にかかった。あれ?前回より随分苔むしているような。糸雑巾で必死に磨いて、精霊さんに適宜水を掛けてもらいつつ大掃除を行った。周りの草取りをイルは担当してくれているので、完全分担制である。というか精霊さんまで巻き込んで申し訳ない。


「来るのが大変遅くなってしまって申し訳ありませんでした。今日は森の中にある泉に用があるのですが、少し採集もさせてください」


主の姿は見えないままなので――やっぱり怒ってるのだろうか――祠に挨拶。一緒にイルと精霊さんもお辞儀をしている。さて、会えはしなかったけれどとりあえず泉を探そうかと振り返って、また目の前に主が立っていて驚く羽目になった。この登場がスタンダードらしい。


「……オソカッタ、ナ」


本日もぽっかりと空いた目口で感情が窺えない。この件に関してはとにかく私が悪いので謝る他ない。


「はい、申し訳ありませんでした」


「……ン、キタカライイ。デモサキコサレタ」


どうやら許して貰えたようである。ほっと顔を上げたのだが、続いて聞こえた先を越されたというのは何だろう。なんとも穏やかでない言葉である。


「……ワガハイガサキニワタシタノニ」


主の顔の角度が変わって、多分見ているのは精霊さんだ。精霊さんはあらまあ、と頬に手を当てた。眉尻が下がる。


「ごめんなさいね、知らなかったの。だけど、もしかして何の説明も無しに渡したのではなくって?例えば、常に身につけていなさい、とか」


主が明らかにたじろいで、急に誰もいない方向に顔が向いた。何やら私にはよく解らない話が進んでいる。イルと顔を見合わせたが、小さく顔を振られただけだった。イルにも解らないらしい。


「……イソイデタカラ……ジョウシキダシ」


「私達には常識だけれど、彼女達には常識じゃありませんよ。宿らない精霊が私たち宿る精霊とはまた別の存在だって、それこそ常識でしょう?」


「……ウゥ」


何だか大分やり込められている主が短い手足を縮こまらせるようにしている。精霊さんが威圧的なわけでもないのだが、案外主は打たれ弱いらしい。と、精霊さんがこちらを見た。


「辰砂ちゃん、こちらの方に何か貰わなかったかしら。貰っていたら見せて頂戴?」


貰ったものと言えば、あの青い団栗しか思い当らない。ストレージの中に隠していた団栗を取り出すと、主ががっくりとうなだれた。何かとても悪い事をしていたらしいのだが、相変わらずよく事情が呑み込めていない。どうも団栗を持っていなければならなかったらしいのだが。


「ああ、それだわ。さあ、がっかりしてないで説明なさって?」


精霊さんに促され、主は心なしかうつむきがちに説明してくれた。曰く、これは未熟な精霊器であると言う事らしい。来訪者で最初に掃除をしたのが私だった為、これは見込みがあると言う事で団栗をくれたそうだ。そして未熟な精霊器を育てるには、常に身につけた状態で魔力か体力を――MPあるいはHP――吸わせる必要があると。多い方を勝手に吸うらしい。


確かに、手に握っていると少しずつMPが引っ張られているような気がする。意識的に流れを強く大きくしてみると、青い団栗がどんどん茶色くなってきた。つやつやになった団栗だが、まだ欲しがっているようなので更に流し込むととうとう帽子の部分までぴかぴかの団栗が完成した。ちょっとMPが残り50しかないけど後で回復しておこう。


「……アレ、デキテル?マアイイカ、ワガハイハタタカワヌ。ガ、クサキニクワシイ。ヨウガアレバヨブトイイ。アト、タマニハソウジニクルヨウニ」


主はだいぶ長めに喋りつつ、私の掌に乗ったままの団栗に触れた。団栗がちかっと光って、主は用は済んだとばかりに祠に帰って行った。


「まあ良かったわねえ辰砂ちゃん。精霊器を一日で2つも手に入れるなんて聞いたことないわよ~」


「そうなんですか……」


全く実感の湧かないまま、精霊器――団栗と蒼玉を入れた巾着を眺めた。お許しを頂いたので、団栗も巾着の仲間入りをさせて腰帯に結びつけた。直接触らなくていいそうなので、これで十分らしい。


何だかよく解らないけれど召喚的な意味で私は大分先駆者になった気がする。どこか疲れを感じつつ、泉を探すべく下生えに足を踏み入れたのであった。



辰砂しんしゃ Lv.88 ニュンペー

職業: 冒険者、調薬師、魔法道具職人、召喚師

HP:1455

MP:4280

Str:470

Vit:250

Agi:550

Mnd:630

Int:630

Dex:600

Luk:250


先天スキル:【魅了Lv.11】【吸精Lv.10】【馨】【浮遊】【飛行】【緑の手Lv.9】【水の宰Lv.15】【死の友人Lv.8】【環境無効】

後天スキル:【魔糸Lv.29】【調剤Lv.5】【鑑定Lv.7】【自動採集Lv.17】【自動採掘Lv.10】【魔力察知Lv.22】【魔力運用Lv.24】【魔力自動演算Lv.4】【冷蔵魔法Lv.9】【減衰魔法Lv.1】

サブスキル:【誠実】【創意工夫】【罠Lv.16】【漁Lv.2】【魔手芸Lv.11】【調薬師の心得】【冷淡Lv.4】【話術Lv.8】【不退転】【空間魔法Lv.10】【付加魔法Lv.15】【細工Lv.6】【龍語Lv.8】【暗殺Lv.2】【料理Lv.11】【夜目Lv.4】【隠密Lv.12】【魔法道具職人の心得】【文字魔法Lv.25】【木工Lv.5】【蹴脚術Lv.16】【宝飾Lv.9】


ステータスポイント:0

スキルポイント:24

称号:【最初のニュンペー】【水精の善き友】【龍人の標】【熊薬師の愛弟子】【絆導きし者】【老職人の一番弟子】【友を喚ぶ者】【樹精の善き友】


イルルヤンカシュ Lv.1 龍人

HP:10000

MP:7000

Str:1000

Vit:1000

Agi:1200

Mnd:800

Int:800

Dex:1200

Luk:100

スキル:【大水魔法Lv.1】【治療魔法Lv.5】【高速飛行】【強靭】【環境低減】【手芸Lv.26】【アヴァンギャルド】【風魔法Lv.29】【雷魔法Lv.28】【龍化】【身体強化Lv.3】【息吹Lv.1】【龍眼Lv.1】【人語Lv.6】


スキルポイント:3

称号:【災龍】【水精の友】【ツンデレ】【絆導きし者】


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ