表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と俺  作者: 立川綾乃
1/1

僕に出会った僕

「おい、起きろよ」


やだよ。まだ眠いんだ。


「起きろってば!早くしろよ!」


うるさいなあ。


「起きろってばよお!望!」


バシッ!!!!


「いってえ!何すんだよ!」


痛みに飛び起きると、目の前にふくれっ面の僕がいた。






「やっと起きたか。早くしないと遅刻だぞ」


確かに、早くしないと遅刻だ。


しかも、今回遅刻したら、おめでたいことに二十回目の遅刻だ。


でもちょっと待て…。


「お前誰だよー!!!!!!!」


僕は僕に向かって思いっきり指さした。


「何言ってんの、お前。俺は倉橋望だよ」


くらはしのぞむ…。


何処かで聞いた名前だなあ。って…。


「それ僕だからー!!!何言ってんのってお前が何言ってんのお!!!」


倉橋望と名乗る僕そっくりの男は、迷惑そうに顔をしかめた。


「俺は倉橋望。十七歳。高ニ。彼女なし。今は学校に遅刻しそう。そんでお前も、倉橋望。十七歳。高ニ。彼女なし。今は学校に遅刻しそう。オッケー?」


オッケーだけどさあ。


僕、理解できない。


「お前、置いてくから。このままじゃ俺もお前も遅刻。じゃ」


そう言って、倉橋望と名乗る男は僕の部屋から出て行った。


僕は頭を掻きながら、時計を見る。


八時。


遅刻だ。完璧な遅刻だ。


ベッドから抜け出して、着替えを始める。


そういえば、さっき出て行ったあいつもこの制服を着ていたっけ。


そして、僕は一つの考えを思いついた。


階段を駆け下りて、その考えを口に出した。

 

「母さん!僕って、もしかして双子だった?」


母さんは僕を数秒見つめると、優しくこう言った。


「望、あんた、どっかぶつけた?あんたに双子の兄弟なんて、いたことあった?」


僕は少し考えてから答えた。


「無いね」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ