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アルケークロニクル  作者: 緑Cha
聖女誕生編
16/50

胸はダメです!

 人族最西端の街『名前はまだ無い』では創造神様の降臨が話題と成っていた。

 みすぼらしい神殿が瞬く間に巨大な大神殿に変貌したのだ。

 おかげで元々は天龍と光の神を信仰する者が多かったのだが、今では創造神と天龍を信仰する者が増えて来ていた。

 「やはり創造神様が降臨なされてたか…その後の足取りは?」

 「東の街道へ向かって行く姿が目撃されてます。」

 「東…ウィーン辺境伯領か」

 風間一門は創造神がウィーン辺境伯領へ向かったと推測し後を追いかけるのであった。


 ウィーン辺境伯領に入るとすぐに南方で戦争が起きてるとの情報が入る

 一部を戦争の状況確認している一門の者との連絡役に回すと、彼らは辺境伯領の街へと向かった。


 一方、アルケー達はスパルタの街を出て西へ向かい、傭兵国家クロアテアの首都ユーゴに来ていた、北にハンガー帝国、南西に港湾国家ベネチ、東にはスパルタの街が有るギリシ共和国と、交通の要所となる都市だけにソドム以外ではかなり大規模の街である。


 さすがにグラキエルも今回は大人しくしていたおかげで、アルケー達はユーゴの街を楽しんでいた。

 何よりもメリアを喜ばせたのは、ユーゴの街は多種族国家だと言う事で、獣人だけでなく、エルフ、ドワーフ更には魔族まで居るのである。

 「アルケー様、あれドワーフさんですよね?」

 初めてドワーフ族をみたメリアは、やや興奮気味にドワーフ族を見ている。

 「ふむ…プロテイン山脈のドワーフだな」

 「良く分かりますね?」

 「いや…適当に言ってみただけだ」

 「えぇ〜適当って…」

 半ば飽きるメリアにグラキエルが話しかける

 『メリア、ドワーフ族は髭に特徴が有るんです、なので髭を見れば何処のドワーフ族か?が解るんです…って母さんに教えてもらいました。』

 『おぉ~髭!グラキエル様ありがとうございます。』

 髭!髭!と、ドワーフ族の髭ばかり見ているメリアがアルケーとはぐれたのに気づいたのは、それら少し後であった。


 『あ!!グラキエル様、大変ですアルケー様がいません…』

 『ごめんメリア、僕も他に気を取られてた…』

 『アルケー様が迷子になっちゃうなんて…』

 『僕達が迷子じゃ無いの?』

 少しの間の後メリアは続けた


 『……アルケー様が迷子です!』

 『あ…うん解った、で…どうするの?』


 『探しましょう、最悪この街を凍らせれば動いている人がアルケー様ですから』

  ルシファー召喚して探すのも良いかも?などと考えるメリア…

 『メリア…発想がヤバいよ』

 『いえ、ヤバいのはアルケー様です!悪い子に連れて行かれたりしたら…この街が灰に成ってしまうかもしれないです』

 『確かに、そっちの方もヤバいね』



 一方、アルケーはと言うと…

 『メリアがはぐれたか…ま、たまには1人で遊ぶのも良いだろう』

 「おばちゃん、その焼いたヤツとこの肉交換してよ」

 と、呑気に食べ歩き続行中であった。

 『ま、物々交換に慣れるのも必要だからね…騙されて肉とサークレット交換とかしないと良いけど(笑)』



 露店の並ぶ一角に文字を刻む板を売る光エルフの商人がいる

 その露店に磨いた石と文字板の交換交渉をしている旅の闇エルフ…一見すると普通の買い物なのだが…

 「その後、創造神様と聖女様は魔王城から消えてしまい、行方は解らぬ、そっちは?」

 「こっちなミラノ砦とロウマ砦の戦争にウィーンから増援が送られた、くらいだ」

 そして、交渉成立したかの様に物々交換を済ませ闇エルフが立ち去る…


 闇エルフが露店から離れ素早く路地を曲がると…

 「あ!!フジワラさんだ!」

 闇エルフの心拍数が跳ね上がる

 『フジワラ…だと!?』


 目の前に現れた女性が闇エルフの袖を掴み続けた

 「アルケー様が迷子なんです!探すの手伝ってください」


 『せ、聖女様…(汗)』闇エルフは目の前の存在が何者なのかを悟ると、ゆっくり話し出す。

 「申し訳ありません。私の名はタロウと言います。人違いでは?」

 「タロウ・フジワラさん?」

 「いえいえ、家名はありません。フジワラを名乗れるエルフは1人のみでございます。」

 

 袖を掴んで離してくれないメリア

 メリアから逃げようとする闇エルフ

 「そっかぁ、じゃあタロウさんもアルケー様探すの手伝ってください」

 「すみません、先を急ぐもので」

 闇エルフは、そっと袖からメリアの手を外すと、露店の方に踵を返し小走りに歩き出す。


 闇エルフは焦っていた…何故逃げてしまったのか?と自問自答する

 彼は本能的に悟ってしまったのだ聖女メリアには関わってはいけない…と

 メリアが着いてきてないか?後ろを確認してメリアが角から姿を見せると、闇エルフは前を向いて


 ドンッ!


 「あ…肉、落ちた」

 肉と焼いた野菜を両手に持っていた少年にぶつかってしまう。

 「あ、すまない少年!?ん!!」

 闇エルフは咄嗟に土下座して謝罪する


 「創造神様!誠に申し訳御座いません!」


 「ん?あぁ風間の…この程度気にするな」

 土下座している闇エルフは一見するだけで自身を風間と見抜く存在に、そして風間家にどの様な形で謝罪すべきかと必死に考える

 

 「アルケー様ぁ〜」

 食べ物を両手に持ってるアルケーを見つけたメリアがアルケーに抱き着く

 ぽふっ…

「やっと見つけましたぁ〜」

 つい抱き着いてしまった為、アルケーの顔面を胸に埋めてしまうメリア…

 

 ムギュッ!

 アルケーが食べ物を離して、両手でメリアの胸を掴む


 咄嗟にアルケーからメリアは離れ

 「ダメです!」

 と、アルケーに言い放つ

 「何が?」

 「今、胸を取るつもりだったでしょ?」

 「本来の大きさに戻すだけだ」

 メリアは手で胸を守る様にしながら、

 「ダメでぇす!」

 と、アルケーを睨む

 「肉、食うか?」

 アルケーは地面に落とした肉や焼いた野菜をメリアに勧める


 「…それ、落ちたヤツですよね?」

 「それがどうしたのだ?」

 「砂とか着いてますけど…」

 「それがどうしたのだ?」

 メリアが何を言ってるのか全く理解出来ないアルケーは、砂まみれの焼き野菜を頬張る

 もぐもぐ…ジャリッ…もぐジャリッもぐもぐ…


 『マリス様ぁ…どうにかしてください』

 『え?どうしろと?』

 『えぇッ!マリス様までえぇ』



 『メリア、それは地龍のテルス母さんの分野だよ…はぁ…』

 と、グラキエルはため息をついた。

 

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