「てへっ♡」
レオはゆっくりとアルケーに向かって言う
「申し訳ないけど、俺は仲間を置いて帰るヤツにはなりたくない」
その目、その表情からレオの気持ちを感じたアレク達も
「そうだな…ちと馬鹿だけど仲間だもんな」
「うん、そうだね一緒に帰りたいよね」
「俺は帰るぞ!…あの馬鹿連れてな」
と、ケンタと共に帰ると主張する
その光景を暇そうに見てたアルケーが唐突に
「あ♪良い事思いついたぁ〜」
アルケーはケンタに近付くとケンタの頭に手を乗せる…するとどうだろう
ゆっくりとケンタが魔族に変貌して行く…そして手の甲に魔法陣が現れる
「今からコレが魔王な、序列15位のエリゴスと契約しといたから、後はフジワラ…世話してやれ」
「!?ぎ、御意」
そして再びレオ達に問いかける
「で?お前達はどうする?」
と…
「魔王を倒すなら好きにしろ、止めはしない」
「もちろん、仲間だからって連れて帰っても良いよ〜」
ケンタが魔王に成った所を見ていたリララはガタガタと震えながら祈り出し、ブルは完全にビビって腰を抜かしてる
そして魔王に成ったケンタは…
「て、てめぇ…やりやがったな!」
「安心しろ、中身は『そのまま』だ(笑)その姿もカッコ良いぞ?」
ケンタの変貌に苦しむレオとアレクそして
「何ならお前達も魔族になるか?」
と、笑うアルケー
ちゃっかり、聖女の涙を使ってルシファーの力でケンタを含めた全員の治療をするメリア
「はい、治療終わりです。これで皆さん仲良くなれますね♪」
理解が追いつかないフジワラが尋ねる
「創造神様…これは、どう言う意味でしょか」
「友達同士なら戦わないでしょ?これでバランス取れるんだよ」
「さすがアルケー様!ケンタさんもレオさんも仲良くしましょうね」
人族も魔族も仲良く…メリアの希望が少し叶った日である。
「ところでフジワラさん…何でそんなおかしな座り方してるの?」
フジワラは、『正座』をしていた。
「これは正座と言う座り方でして…」
「…ふむふむ」
メリアがフジワラから正座のレクチャーを受けていると
「さて…そろそろ頃合いだな、ルクス…やれ」
アルケーがその言葉を発した直後、空が光に包まれた
天空から光の塊がゆっくり降りてくる
その光から12個の光が別れ12天使に姿を変えていく…
12天使は円を描く様に輪を広げゆっくりと大帝国を囲む
その光景は大帝国以外の国でも目撃され、光の神ルクスが降臨したと誰もが理解した。
ルクスがゆっくりと話し出す
「オスメン帝国は神の禁忌に触れた…よって裁きを下す」
12天使から光の壁が下ろされオスメン帝国を壁で囲む
「メギドの火」
ルクスの手から光の球が落とされ地上近付くで光が弾ける
光は高熱を発して周囲の物を燃やし尽くす…あらゆる建物が溶けていく…恐らく数千度を超える熱でソドムやゴモラと言った街が灰に成って行く…天使の作った壁が無ければ、他の地域も燃やし尽くしてしまう勢いで…
とても眩しい光が消えた後に残されたのは、真っ赤に溶けたドロドロの大地であった。
メギドの火は魔王城からも良く見えそしてルクスの声も届いた。
「そんな…」
余りの光景にメリアは言葉を失う、そして気付いたか、彼らがいなかった
「あ…れ?あの人達は??」
魔王ケンタやケンタの仲間は光と共に灰に成っていた。
「アルケー様、何故です?何故あの人達まで…」
「違うぞメリア、彼らが今回の『元凶』なのだ」
「じゃあ何故、魔王にしたりしたんですか!!」
「メリアを泣かせたからに決まってるだろう」
「だからって、やって良い事と悪い事ってあるんですよ!」
余りの勢いにアルケーが口にしたのは
「元々はルクスが異世界から勇者を召喚した時に記憶の消去を忘れたのが原因なのだよ」
と、ルクスに責任転換した。
「ちょっとルクス様〜!!ちょっと来てくださいませ!」
「はいは〜い♪どうしたのメリアちゃん」
「そこに座って」
と、フジワラの隣りを指差す
メリアの意図を理解したアルケーはルクスを座らせるついでに、ルクスの体を人族と同じにした。
「聞きましたよルクス様、異世界から勇者を召喚した……」
メリアはルクスに説教を始めた。
神を説教する聖女メリア…新たな伝説の誕生であった。
メリアの隣りで笑いながら聞いてたアルケーも唐突にメリアから
「アルケー様も…」
と、ルクスの隣りを指差す。
「ぇ?えぇ…はい。」
何故か素直に正座するアルケー。創造神、光の神、闇エルフと言う奇跡の様な並びで正座させられてる奇妙な景色だった。
「私…気づいたんですけどぉアルケー様私をソドムに留守番させるつもりでしたよね?」
「うん、そうだね」
「ソドムの街…溶けて無くなってますけど?私をそこに留守番ですか!?」
「ほら、メリアならメギドの火程度じゃ死なないから大丈夫だと…」
「…私は不要なのですか?」
うっすらと涙を浮かせるメリア
慌てふためくアルケー達…間が持たなく成ったアルケーが、ルクスの足を突付く
「ピギャース!!」
足が痺れたルクスが悶絶して転がりまわり、アルケーが笑い転げてると、フジワラがおずおずとメリアに話しかける
「あの〜メリア様」
「はい、なんでしょうか?」
「私は何時までこうしていれば良いのですか?」
「………てへっ♡」
あぁ…この方は紛れもなく創造神様の聖女だ…と、フジワラは確信したのであった。
ひと通り笑っアルケーが不意に立ち上がり
「さて、ルクスばかりお説教ではバランスが悪いな」
「え?ノクス様もなんでしょうか?」
「いや…タケウチだよ」
「フジワラさん、タケウチとはどなた??」
「ハイエルフ様にございます。」
「あやつには我への報告義務を怠った罰を与えねばならんなぁ」
さすがにフジワラが怯え出して
「えぇ!エルフの里まで消してしましょうおつもりで?」
アルケーはフジワラを見ながら
「さあな…あやつ次第だよ」
と、言うとメリアの頭を軽く撫でて…消えた…
「足しびれたぁ〜ぁ(涙)」
「おぉ~っほほ(笑)」
ルクスの正座を見ていたノクスが上機嫌で笑う
「ルクスもたまには反省すると良い。ねぇルシファー…あなたも、そう思うでしょ?」
「はっ、ルクス様はたまに度が過ぎてしまいがちですので、ノクス様の苦労を少しは御理解頂けたかと…」
そして、メリアの方を見て
「しかし良かったのですか?私をメリアと契約させて…ノクス様のご命令とはいえ少し早計だった気が致します」
「泣いてるメリアを放っとくのは可哀想でしょ?」
「そうですね、メリアはノクス様を尊敬している様に見えますし」
「そう見える?」
「はい、ツクヨミ様の事を慕うノクス様の様な物をメリアからも感じます」
「まぁ!それは素敵♡でもね、ツクヨミ様は別格なの!私なんかツクヨミ様と比べるのもおこがましいのよ?ツクヨミ様は夜を司る神の中で最も尊い御方…アルケー様でもツクヨミ様には敬意を…いや…怒られるから逃げてるが正解ね」
「それは失礼しました。」
「でも…メリアなら私の後継にしても良いかな?あの子素直だし可愛いからね♪」




