表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/52

51

 

「聖女様ー!また来てねー!」


「ええ。また絶対に来るわ」



 馬車の窓から子どもたちに手を振る。

 そして姿が見えなくなったところで、私はそっと窓を閉めた。



「はぁ……なんとか終わったわ……」



 ◇



 パーティーのあと国王陛下や王太子、そしてクレイ様と話し合い、国中を巡礼することになった。

 国中が待ち望んでいた聖女の誕生。この奇跡をぜひとも国中に伝えたいと、国王陛下に頭を下げられてしまえば断るわけにもいかず。

 クレイ様は私の負担を心配して最後まで反対してくれたが、最終的に私は受け入れることに決めた。


 ただ受け入れる代わりに、ひとつ国王陛下にお願い事をした。

 教会の不正を取り締まり、辛い思いをしている人たちを助けてほしいと。

 国王陛下はすぐに私の願いを叶えてくれたようで、母のいた教会の司祭が罰せられたそうだ。


 それとヴィード侯爵は処刑された。

 あのパーティーのあと、侯爵邸を調べると毒が見つかり、さらにはその毒を国王陛下に盛っていたことが判明したのだ。

 長い時間金を集め、今回の計画を立てたようだったが、結果としては失敗に終わり、ヴィード侯爵は何も手にすることのないまま散った。


 アイラ王女は隣国へと強制送還された。

 その後、隣国とアイラ王女の嫁ぎ先であった国との間で戦争が起こり、隣国は敗北。隣国は属国となったというところまでは知っているが、アイラ王女がどうなったかまでは知らない。

 どうやらクレイ様は知っているようだったけど、あえてその話題には触れてこないので、私は気にしないことにした。



 ◇



 あの開国祭から半年。

 ようやく今日、最後の巡礼を終えた。



「お疲れ様」


「クレイ様……」



 なんとこの巡礼には、クレイ様も一緒に来てくれている。忙しいのにも関わらずこの数ヶ月、ずっとそばにいてくれた。



「あとは公爵邸に帰るだけだな」


「はい。畑が恋しいです。ちゃんと元気に育っているでしょうか」


「大丈夫さ。ああ見えてルカはやる時はやる男だ。それにあいつはなんでも器用にこなすから心配はいらないさ」



 クレイ様は何だかんだ言いながらも、ルカのことを心から信頼しているのが分かる。そんな二人の関係が微笑ましく思いながらも、正直羨ましいなと思ったりもする。



「お二人は本当に仲良しなんですね」


「そんなことはないが……」


「きっとクレイ様が帰ってくることを、今か今かと待ってますよ」


「あー……まぁ仕事を全部押し付けてきたからな」


「ふふっ。じゃあクレイ様は帰ったら忙しくなりますね……あ」



 私はここで、一つの疑問を思い出した。



「どうかしたか?」


「あ……その、私は帰ったら何をすればいいのかなって」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ