表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お飾りの公爵夫人は夫の初恋でした  作者: Na20


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/52

42

 

「さぁ、共に歴史的瞬間をこの目に残に焼き付けようではないか」



 王太子殿下が手を上げて宣言すると同時に、会場の入り口の扉が開かれた。皆の視線が一斉にそちらを向く。私も皆と同じく、視線を入り口へと向ける。

 するとそこには、一人の女性が立っていた。

 遠くてよくは見えないが、その女性は純白の衣装を身に纏っている。それによほど自信があるのか、とても堂々とした立ち姿だ。



(どんな人なんだろう……)



 自分が聖女である以上、あの女性は間違いなく偽者だ。聖女を騙るなどこの国では重罪に等しい行為であるが、そのことについてはどう考えているのだろうか。



「っ!」



(……今、目が合った?)



 まだだいぶ距離もあるし、私はヴェールを被っている。気のせいかもしれない。だけど一瞬だけど、私を見たような気がしたのだ。



「……どうかしたか?」


「あ……い、いえ、あの人すごく堂々としているなって」


「ああ。国中の人間を欺いているというのにな。まぁそれだけバレないという自信があるんだろう」



 クレイ様とそんな会話をしていると、偽聖女との距離が徐々に近づいてきた。先程は遠くてよく分からなかったが、たしかに銀髪だ。それに紅色の瞳がすごく印象的で……



「なっ!?あの目の色……おい!アレク!あれはどういうことだ!」


「……私だって知りたいさ。ヴィード侯爵が当日の楽しみだとは言っていたが……まさかこういうことだとはな」



 突然驚きの声を上げたかと思うと、クレイ様は近くにいた王太子殿下に詰め寄っていく。それに対し王太子殿下も、予想外だと言わんばかりの反応だ。目の色が、と言っていたが、二人とも一体どうしたのだろうか。



「えっと……クレイ様。紅の瞳だと何か問題でもあるのですか?すごく綺麗だとは思いますが……」



 私は純粋な疑問を抱いた。会場もざわついているが、瞳の色はそんなに気にすることなのかと。しかし次のクレイ様の発言を聞いて驚くことになる。



「……そうか。あなたはまだ知らなかったな。紅の瞳というのは隣国の王家の血筋にだけ現れる特徴なんだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ