表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お飾りの公爵夫人は夫の初恋でした  作者: Na20


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/52

23

 

「だから私が選ばれたのですね」



 公爵様の口から語られたのは、私が公爵様の結婚相手に選ばれた理由。

 公爵様は隣国の王女様との婚姻を避けるために、都合のいい令嬢を探していた。そして見つけたのが私だったというわけだ。

 結婚適齢期にも関わらず未婚で、しかも婚約者すらいない。それに家は金に困っている状況で、まだ幼い子どももいる。それなら金さえ出せば喜んで娘を差し出す、そう思って私に縁談を持ちかけたそうだ。



「ああ。君の人生を私の都合で奪ってしまうことに罪悪感はあった。だけど私は何としてでも王女との結婚は避けたかったんだ」



 そう言う公爵様の言葉からは、確固たる意志が感じられる。それならばと、気になったことを思いきって聞いてみることにした。



「どうしてそこまでして王女様との結婚を避けたかったのですか?そんなに悪い話ではないように思いますが……」


「それは……」


「公爵様?」


「……私はどうしても想いを寄せる女性と結ばれたかったんだ」


「!」



 公爵様の答えに、私の心臓は高鳴った。



(嘘……そんなことって本当にあるの……?)



 想いを寄せる女性と結ばれたいから王女との結婚を避けたい。けれど王女様からの縁談を避けるためには、偽りの結婚をするしか手段が残されていない。だから都合のいい娘と結婚する必要があった。王女との結婚を避けつつ、その時が来たらすぐに離婚できるようにと……



(こ、これってもしかして、小説とかでよくある身分差の恋!?それとも三角関係とか!?きゃー!)



 まさか大好きなロマンス小説のような状況に、自身が関わっていようとは微塵も思っていなかった。

 だってまさか公爵様が、そんな恋をしているだなんて誰が想像できようか。何でも手に入れることのできる公爵様であっても、簡単に結ばれることのできない女性。



(一体どんな女性なのかしら?き、気になる……!)



 聞きたい。だけどやっぱり聞くのは失礼だろうか。でもこの流れなら聞いたら教えてくれるのでは……?そんな考えがふと頭を過った。

 普段ならこんな非常識なことは考えない。平穏に生きることこそが私の望みだから。

 だけどこの時の私はここ数日の心身の疲れから、判断力が弱くなっていたのかもしれない。それに先ほどの出来事が決定打となり、一種の興奮状態になっていたと思われる。

 だから私はダメだと思いながらも、好奇心からつい口にしてしまったのだ。


「その女性はどんな人なんですか?」と。


 しかしその好奇心によって、私はさらなる衝撃の事実を知ることになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ