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召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~  作者: さとう
第五章

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模擬戦、終わって……

 控室に戻ろうと歩くアルフェンの前に、キリアスが立っていた。

 キリアスは俯いたまま、アルフェンに言う。


「これが、お前の望んだ結果……なのか?」

「……わかりません。でも、あの二人はもう俺に関わってこないと思います」


 アルフェン個人は、落とし前を付けたと思っている。

 姉リリーシャ、兄ダオームに完全勝利。オズワルドは殴ってスッキリした。等級至上主義は変わらないと思うが、アルフェンにはもうどうでもよかった。

 それに、結果的にS級はA級に完全勝利したのだから。明日の新聞記事は間違いなく、S級のことで埋め尽くされるだろう。


「キリアス兄さん。あの二人のところへ。俺は仲間のところへ行きます」

「ああ。わかった……」

「それと……俺は、キリアス兄さんのことは大事な兄だと思っています」

「…………」

「では、失礼します」


 そう言って、アルフェンはキリアスの横を通って控室へ。


「アルフェン」

「……はい」

「今度、飯でも食おう……その、オレがおごってやる」

「……はい!」


 不器用なキリアスの気遣いが、アルフェンにはとても嬉しかった。


 ◇◇◇◇◇◇

 

 控室へ戻ると、S級が全員揃っていた。

 そして、サフィーが興奮したように言う。


「完全勝利でした!」

「お、おお」

「アルフェン……リリーシャさんに手加減してくれたんだね」

「ああ。手加減ってか、『完全侵食(エヴォリューション)』形態ならどんな攻撃もダメージを受け付けない。まぁ、あの状態だと自分の身体以外硬化できないんだけどな」


 すると、ドアがノックされガーネットが入ってきた。

 入るなり煙草をふかし、アルフェンたちに言う。


「王女殿下が記者の対応で忙しいんでね。あたしが報告しに来たよ」

「ババァ、いたのかよ」

「フン、最初から見てたさ。さて、リリーシャは大した怪我もなかった。ダオームも数か所の骨折だけ、サンバルト殿下は打撲のみ、オズワルドは重症だったが、リッパーが治療したよ。完膚なきまで叩きのめされたし、しばらくは大人しくしているだろうね」

「はぁ……もう、関わらないでほしいわ」


 アルフェンはため息を吐いた。

 ガーネットは口から煙を吐きだす。


「書類上では、あんたはリグヴェータ家のままさ。独立でもしないかぎり、あんたの功績はリグヴェータ家の功績になるだろうさ。だが、アースガルズ召喚学園最強の生徒会役員がS級に敗北した事実は学園中に伝わる……ふふ、しばらくは堂々と学園内を歩きな。きっと面白いことになる」

「ババァ、趣味悪いな」

「やかましい。さーて、今日はここまで。解散だよ」


 ガーネットは灰を携帯灰皿に捨てる。

 ウィルは大きな欠伸をして立ち上がる。


「じゃ、城下町で飲んでから帰る。晩飯は適当に済ませとけ」

「なんだい。じゃああたしも付き合おうかね」

「……チッ、好きにしろよ」

「ふふ。アネル、あんたも来な。大人の飲み方を教えてやるよ」

「え、あ、アタシもですか?……わわっ」


 ガーネットに連れられ、ウィルとアネルは消えた。

 残されたのは、アルフェンとサフィーとフェニア。


「……飯でも食って帰るか」

「うん。あたし、お腹減った」

「私もです。今日はお肉にしましょう!」

「だな。じゃあ行くか」


 アルフェンたちは、演習場を後にした。


 ◇◇◇◇◇◇


 演習場を出ると、リリーシャ、ダオーム、キリアスがいた。

 その背後には、生徒会役員が全員揃っている。

 フェニアが硬直し、サフィーも身体を固くした。

 そして、リリーシャは言う。


「今回の件で、A級召喚士の評価は落ち、S級の評価は上がるだろう……でも、勘違いしないことだ。S級を認めない者はまだいる。たとえば、王族……」

「…………だから?」

「お前の強さは認める。今の私では勝てない」

「で?」

「一度きりの勝利、せいぜい余韻に浸っていろ」

「はいはい。負け犬の遠吠えね……情けないって思わねぇのか? あんなにボコボコにされて、慈悲を与えてやったのに、こうも勘違いするとは」


 リリーシャは歩きだす。

 生徒会役員たちも歩きだし、後に続く。

 その姿が見えなくなるまで、アルフェンたちは見送った。

 そして、サフィーは言う。


「もう、和解は不可能でしょうね。あそこまで頑なにアルフェンを認めないなんて、心の病気でしょうか?」

「……そ、そうかもな」


 サフィーは、久しぶりの毒舌でアルフェンを困惑させた。


 ◇◇◇◇◇◇


 久しぶりに、三人で食事をすることにした。

 場所は、高級購買にあるレストラン。フェニアとサフィーに連れられて入ったレストランは、はっきり言ってアルフェンの趣味に合わなかった。


「……なんか、可愛らしいな」

「「でしょう?」」

「いや、でしょうって……俺、居心地悪いんだけど」


 一言で表現するなら、ファンシーだった。

 可愛らしい装飾品、ぬいぐるみなどが小さな椅子に座らせて飾られていたり、店内の床や壁は花柄で埋め尽くされている。他にもいろいろ飾られていたが、アルフェンは見るのをやめた。


「負け犬みたいなセリフを吐いて逃げた生徒会さんたちのことは忘れて、今日はぱーっとやりましょう! えへへ、アルフェンたちが勝って嬉しいです!」

「お、おお……」

「サフィー、言い方……まぁいっか」


 フェニアは諦めた。

 窓際の席に移動し、メニューを開く。

 それから数分悩み、それぞれのメニューが決まった。


「俺、日替わりディナーとオレンジジュース」

「あたし、スープスパゲッティとサラダ、デザートはチョコパフェで、飲み物はアプリコットで」

「私はステーキ! デザートはジャンボプリン! 飲み物はホットココアでお願いします!」


 どうも男女で偏りが激しかった。

 いろいろツッコミしたかったがアルフェンは諦める。

 それから、食事が運ばれ談笑しながら食べつつ完食。食後のお茶を飲んでいると、フェニアが言った。


「それにしても、明日の朝刊にはどんな記事が載るのかな」

「さーな。ま、俺たちが完全勝利したって記事だろ」

「そうね……でも、リリーシャさん、あたしのこと、もう全然見てなかったよね……小さいころから優しかったのに」

「そういう奴なんだよ。あいつは、お前のグリフォンが使える召喚獣だから、お前を手懐けようとしてただけだ」

「……そっかぁ」


 フェニアは悲し気にアプリコットを飲む。

 サフィーはココアを飲みながら言う。


「生徒会さんたち、どうするんでしょうか? あの人たち、全員が等級至上主義者です。S級廃止を謳う貴族はまだかなりいますし、何かしてくるかも」

「ま、そんなことどうでもいい。それより、俺たちが目指すのは魔人討伐だ。『色欲』はウィルがやるから、残りは『強欲』……今の俺ならいける」

「あたしも、『融合(アドベント)』が使えたらなぁ」

「私もです……」

「あれ、召喚士と召喚獣の最終奥義なんだろ? そう簡単には無理だって」


 それからは、他愛ない談笑が続いた。

 いい時間になったので店を出て寮へ。それから風呂に入り自室へ戻る。ウィルとアネルが帰ってきたような気配がしたが、アルフェンは特に気にしなかった。

 そして、翌日。

 アースガルズ王国で発行している新聞社の朝刊が、S級寮へ届いた。

 一番最初に起きたアルフェンは、新聞を読んで目を細める。


「…………」


 そこには、S級とA級の模擬戦について書かれていた。

 だが……S級勝利には少しだけ触れ、A級召喚士たちがどう戦ったか、S級がいかに卑劣な手でA級召喚士たちを追い詰めたか、そんなことばかり書かれていた。

 アルフェンは、なんとなく読めた。


 新聞社は、買収されて嘘の記事を書いたようだ、と。

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