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強敵すぎる強敵

 オウガを見たアルフェンは、思わず目を閉じてしまった。

 

「な、なんだこいつ……!?」


 召喚獣の世界側で見たオウガは、とんでもなく発光していた。

 経絡核の光が強すぎて、ランプの光を目の前に当てられたような眩さだったのだ。人間は薄ぼんやり、ヒュブリスも人間よりはやや明るい程度だったのに、オウガは桁違いの『生気』を放っていたのである。

 どうすべきか───アルフェンは悩む。

 すると、アネルがアルフェンの傍に来た。


「アネル、どうし───」

「ごめん」


 アネルはアルフェンの腕を掴むと、『カドゥーケウス』を発動させ跳躍。

 S級校舎の屋上へ来た。


「なっ……おいアネル!?」

「無理だよ。無理……あれは、次元が違う。アタシらにどうこうできる相手じゃない」


 アネルは青ざめていた。

 屋上には、フェニアとウィル、レイヴィニアとニスロクがいる。


「悪いが同感だ。ヒュブリスとはわけが違う……あれは、正真正銘のバケモノだ」

「ウィル……あ、フェニア?」

「……ごめん。あたし……こ、怖い」

「あれ、サフィーは?」


 アネルが首を振る。


「わかんない。いつの間にかいなくなってた……メルさんも、いつの間にかいなくなってたの」

「え……?」

「うち、見たぞ。サフィーってのとメルっての、いきなり現れた変な奴に連れて行かれた」

「変な奴?」


 レイヴィニアが見たのは、黒いローブで全身を覆った人間がいきなり現れ、サフィーとメルに触れた瞬間、黒い球体に吸い込まれるように消えたらしい。

 考えることが多い。

 アルフェンは、屋上からダモクレスたちの戦いを見た。


「どうする……?」

「どうするなにも、オレらじゃどうしようもねぇ。このガキの言うことが真実なら、あの『憤怒』を倒すのは絶対に無理だ」

「え?」


 アルフェンは、ここでレイヴィニアからオウガの能力を聞く。

 『回帰』という、『無敵な自分』に常に戻している能力。


「……マジかよ。無敵じゃねぇか」

「だから無駄だってんだ。おいガキ、弱点は?」

「うちガキじゃないし!! あんたの千倍は年上なんだからな!!」


 レイヴィニアが怒るがウィルは知らん顔だ。

 そして、レイヴィニアに聞く。


「おい、あれの弱点とかないのか?」

「弱点……ないよ。オウガは滅茶苦茶に暴れることしかできない。頭を潰されても経絡核を潰されても『回帰』して元通りになる。昔戦った時は、お腹減ったって理由と眠くなったって理由だけで戦いを止めちゃったからね」

「……それだけの理由か?」

「うん。二十一人の召喚士と戦ってる最中にお腹鳴って、そのままご飯食べて寝ちゃったの。今の今までずっと寝てたはずだけど……たぶん、フロレンティア姉ぇにおこされたのかも」

「くそ。『色欲』の差し金ってところか……」

「…………たぶん、近いんだと思う」

「あ?」


 レイヴィニアは、アルフェンたちに聞こえるように言った。


「魔帝様の完全復活。たぶん近いよ」

「……復活したらどうなる?」

「大暴れ。この世界から人間を一掃して、召喚獣の世界から全ての召喚獣を召喚する。ジャガーノート様は人間を守るために魔帝様と……ドレッドノートと対立したの」


 アルフェンは、そっと右腕を押さえた。

 レイヴィニアも、少し悲し気だった。


「うち、この世界は好き。人間は好きでも嫌いでもないけど……フェニアとアネルは好き。いなくなってほしくない」

「レイヴィニア……」

「……うん」


 フェニアとアネルは嬉しそうだった。

 その言葉に、覚悟を決めたようだ。


「アルフェン、今をなんとかしないと」

「……でも、どうやってだ? 俺の『硬化』も効かないし、ダモクレス先生たちでも……」

「それでも、なんとかしないと。アルフェン、アタシとアンタも参戦しよう。ウィル、アンタは援護、フェニアも頼むよ」

「……いいぜ」

「わかった! まだ怖いけど……頑張る!」


 ウィルが左腕を、フェニアがグリフォンを召喚した。

 アルフェンは右手を、アネルは右足を掲げる。


「奪え、『ジャガーノート』」

「跳ぶよ、『カドゥーケウス』」


 右腕が黒く、両足が真紅に染まる。

 ダモクレスたちとオウガの戦いは続いている。オウガは相変わらず滅茶苦茶に暴れ、ダモクレスは肩で息をし、傷も増えていた。


「S級。いくぞ!!」

「うん!」

「フン……」

「頑張る!!」


 アルフェンたちは気合を入れなおし、オウガに向かって飛びだした。

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