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召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~  作者: さとう
第三章

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オークション開始、そして

 アルフェンたちは、オークション会場に到着。

 馬車を下りると、フェニアがポカンとしていた。


「すっごぉ……こんな洞窟の地下に、こんな場所が……」


 フェニアの驚きも当然だ。

 アルフェンもサフィーも、オークション会場となる建物を見上げていた。

 黄金に輝く宮殿とでもいえばいいのか。入口の両側に巨大なミノタウロスの黄金像が設置され、身なりの整った奴隷商人たちが次々と入場していく。

 すると、ウィルがアルフェンの尻を蹴とばした。


「いっでぇ!? おま、なに」

「お前ら、さっさと並べ。奴隷風情がボケっとしてんじゃねぇぞ!!」

「おま、なに……あ」


 演技だった。

 そう、すでにここはオークション会場……アルフェンたちは奴隷、ウィルとアルノーは奴隷商人なのだ。

 アルノーは、このオークション会場の担当者らしき人間と喋っていた。


「それでは、フラガラッハ奴隷商館の出品奴隷は三名ですね。奴隷の確認をします」

「はい。お前ら、さっさと並べ」

「は、はい!」

「はい」

「はーい」


 サフィーは緊張気味、アルフェンは普通、フェニアは間延びした返事をした。

 担当者は、女性一人と男性一人だ。

 アルフェンたちが並ぶと、女性担当者がフェニアの身体を触る。


「ひっ……ひゃっ!?」

「首輪の確認……頭部、口の中、服……胸の谷間、スカートの中、下着……はい終わりです」


 全身をまさぐられたフェニアは真っ赤になっていた。

 そして、男の担当者がアルフェンの身体を確認する……もちろん、下着の中も。

 そして、サフィーも同様に全身を確認され、真っ赤になり涙目だった。公爵家のお嬢様には刺激が強かったのかもしれない。

 チェックが終わり、担当者がアルノーに番号の書かれた札を渡した。


「チェックが終わりました。フラガラッハ奴隷商館の出品番号は十番となります。十番控室でお待ちください。奴隷にはこちらの手枷を嵌め、番号の書かれた檻に入れて待機をお願いします」

「ありがとうございます」

「それでは、オークションをお楽しみください」

「オラ、歩けお前ら」

「…………」


 ウィルに背中を押され、アルフェンは歩きだす。

 どうも奴隷商人になりきっている。顔が楽し気だった。

 そして、オークション会場の十番控室へ。控室の中には檻があり、アルフェンたちはそこへ入った。

 アルノーは檻の鍵をかけ、小声で言う。


「すまない。監視があると思うから、なるべく怪しまれる行動はしたくない」

「わかってます」

「ウィル、オークションの参加者名簿を」

「ああ、そこで配ってたからな。もう持ってるぜ」

「よし……」


 アルノーとウィルは、参加者名簿の名前と魔人ヒュブリスのいる村の住人名簿を見比べていた。

 アルフェンは地べたに座り、フェニアとサフィーも座った。


「はぁ……思いっきり触られたぁ」

「私もです……うう、恥ずかしい」

「俺も。はは、男の担当者、めっちゃ嫌そうな顔してた。でも、男は男、女は女でチェックしてくれるモンなんだな」

「確かに……あの男担当者に触られなくてよかったわ」

「男の人に触られるのはちょっと……」


 三人は「はぁ」と息を吐く。

 だが、ここで気を抜いてはいけない。そもそも、始まってすらいない。

 アルノーとウィルは渋い顔をしていた。


「マジか……参加者の八割が魔人村の住人じゃねぇか。しかも、子供まで参加してるぞ」

「……だが、好都合だ。魔人村の住人に買ってもらうのが目的だからな。それと、売買条件に『三人一緒』という項目を付けたから、別々に売買されることはないはずだ」

「とりあえず、あとは始まるまで大人しくしてりゃいいのか?」

「ああ。だが、気を抜くなよ」

「へいへい。ところで……フラガラッハ奴隷商館ってなんだ? そんな名前つけたのかよ?」

「ふふ。『フラガラッハ』は我が装備型召喚獣の名だ。いい名だろう?」

「へーへー。そうですかい」


 この会話を聞いていたアルフェンはポツリと言った。


「仲、いいなぁ……」


 ◇◇◇◇◇◇

 

 オークションが始まった。

 アルフェンは檻の中だったが、歓声で会場が揺れたのを感じていた。

 同時に、自分たちが落札されるという未知の体験が間もなくやってくる。


「二人とも、覚悟はいいか?」

「うん。アルフェン、今度こそあたしが守るから」

「私も、アルフェンとフェニアを守ります!」

「頼もしいな……よし、気合入れるぞ!!」


 アルフェンは立ち上がる。

 フェニアとサフィーも立ち上がろうとしたが、両手が拘束されているのでフラフラしている。そして、足をもつれさせたサフィーがフェニアにぶつかった。


「「きゃぁっ!?」」

「お前ら、何して……げっ」


 フェニアとサフィーはもつれ合い倒れたせいで、スカートが捲れていた。

 慌てて目を反らすアルフェンだったが、見てしまった。


「……見た?」

「……見ました?」

「…………」


 アルフェンは小さく頷く。すると、二人は顔を赤くした。

 そんな三人を、ウィルは冷めた目で見ながら言う。


「おい馬鹿奴隷ども。パンツ見せ合ってる暇ねーぞ。そういうのは帰ってからやれ……出るぞ」

「み、見せ合ってないし!!」

「はぅぅ……」

「…………」


 アルノーは苦笑し、檻の鍵を開け、アルフェンたちを出す。

 そして、三人の手錠に鎖をかけて繋ぎ、アルノーが先頭を、ウィルが後ろに付いて部屋を出た。


「そろそろ出番だ。三人とも、壇上では競りが行われる。特別な何かをすることはないけど、なるべく堂々としているんだ」

「「「はい」」」

「へ、情けない顔すんじゃねぇぞ」

「わかってるよ。ってかお前、ハマりすぎだろ」

「は、貴族のお坊ちゃまを売りに出すのが辛くてねぇ」

「……嘘つけ」


 オークション会場の舞台袖に来た。

 現在の順番は八番。舞台袖には九番目に出品される奴隷の少女がいた。

 フェニアやサフィーを同じ奴隷の服を着て俯いている。腰近くまで伸びた赤い髪が印象的だった。

 アルフェンは、なんとなく奴隷の少女を見る───そして、少女もアルフェンを見た。


「……」

「……ッ」


 アルフェンは、胃に黒い塊がどっしり落ちたような錯覚に囚われた。

 少女の瞳は黒く……どこまでも濁っていた。

 そう、目が死んでいた。


『それではエントリーナンバー9!! ヤザワ奴隷商店から、世にも珍しい少女です!!』


 少女が、ヤザワ奴隷商店の男に鎖を引かれてステージへ。

 舞台袖からも見えた。アルフェンは少女が気になり、凝視している。


「アルフェン、どうしたの?」

「……あの子、気になるな」

「む、かわいい子ですか?」

「いや、そういうんじゃなくて」

「おい、奴隷が喋るな。静かにしてろ」


 ウィルに咎められた。

 見る物もないので、全員が少女を見ていた。

 司会者らしき男が、少女の説明をする。


『この子は何とも不憫な少女で……とある村に家族仲良く暮らしていたのですが、魔獣ミノタウロスのスタンピードに襲われ村が壊滅状態に!! ただ一人、瀕死の重傷で生き残った少女は、今にも命の炎が消える寸前でした……』


 悲しいエピソードが語られる。

 すると……少女の首輪、そして手枷が外された。

 会場がざわめく。だが、司会者がそれを制す。


『大丈夫。大丈夫です!! この子は今にも死にそうな状態でしたが、そこで奇跡が起きたのです!! なんと、少女の召喚獣がこの子を救ったのです!! 詳細は不明ですが……少女の召喚獣が、死にかけた少女と一つになったそうです(・・・・・・・・・・)


 アルフェンの心臓がドクンと高鳴った。

 そして……奴隷商人が少女の背を叩く。


『見てください!! 少女の『脚』が、真っ赤な『何か』に変異していくではありませんか!! そう、彼女は世にも珍しい、召喚獣と一体化(・・・・・・・)した人間(・・・・)なのです!!』


 少女の脚は、真紅の『脚鎧(グリーヴ)』に変化した。

 太ももから足の爪先まで、完全な真紅の金属に覆われた。

 アルフェンも、ウィルも、サフィーも、フェニアも、アルノーも驚愕していた。

 真紅の少女の脚、それは。


「き……寄生型、だと!?」


 真紅の少女は、三人目の『寄生型召喚獣』だった。

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