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召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~  作者: さとう
第九章

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最終局面へ

 フェニアは、戦場から離れた場所にあった無人の小屋でシーツを見つけ、身体を隠した。

 融合を使えるようになったのはいいが、服が無くなってしまうのはきつい。

 そのまま上空からサフィーを探すと……見つけた。

 マルコシアスに乗り、ゆっくりと歩いていた。


「サフィー!! おーいサフィー!!」

「え、あ……フェニア!!」


 グリフォンは高度を下げ、マルコシアスと並ぶ。

 二人は顔を見合わせ、にっこり笑って親指をグッと立てた。


「勝ち!!」

「はい!!……あれ、フェニア? 服……」

「破れちゃった。シーツ見つけたからよかったけど……融合使う時は替えの服用意しておこう」

「え、フェニアも融合を?」

「ってことは、サフィーも?」

「はい! おかげで、おっきな黒い狼を倒せました」

「いやー……あたしら、かなり強くなったわね」

「ええ。うれしいです」


 ほっこりしたのもつかの間。

 アースガルズ王国方面では、黒い煙や爆発音が聞こえてくる。

 二人は顔を見合わせ頷いた。


「行こう。アネルやレイヴィニアたちがいるはず」

「はい。私たちにできることはまだあります」


 グリフォンとマルコシアスは、アースガルズ王国へ向かった。


 ◇◇◇◇◇◇


「でりゃぁぁぁぁっ!!」


 アネルは、もう何体目だかわからない魔獣を蹴り飛ばした。

 魔獣は血を吐いて転がり、そのまま粒子になって消滅。死ではなく、肉体が消滅して魂だけ『召喚獣の世界』に還ったのだ。時間をかければ肉体を復活させ、また誰かの召喚獣としてこちらに来れる。

 だが、人間はそうはいかない。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 アネルは、疲労していた。

 ずっと動きっぱなしで汗だくだ。制服を脱ぎ、シャツ一枚で戦っている。

 ドロドロの土まみれで、身体中に擦り傷ができていた。

 だが、赤いポニーテールはルビーのように輝きながら揺れている。


「減らないし……ああ、もう、疲れ、たぁ……」


 魔獣は全く減らない。

 アネルだけで五百体は倒している。完全侵食状態で戦っていたのだが、あまりにも数が多く体力が底を尽きかけ、人間体に戻ってしまった。

 今は、こうしてひたすら蹴りまくっている。味方の姿はない。かなり外れの位置にいた。

 一旦、撤退を……そう考える。


「……でも、引けない」


 引いたら、魔獣は攻めてくる。

 引くわけにはいかない。その想いを燃料にし、『カドゥーケウス』は蒸気を吹く。


「あ、いた!! あの赤い髪、アネルだ!! サフィー!!」

「はい!! マルコシアス、『アイスダート』!!」

「グリフォン、『ゲイルダーツ』!!」


 氷の槍と、風の杭が降り注ぐ。

 やってきたのはフェニア、そしてサフィーだ。

 援軍の登場に、アネルの顔はほころぶ。

 だが、それが一瞬の命取りになった。


『シャガァッ!!』

「えっ───」


 それは、小さな蛇だった。

 アネルに気付かれぬよう接近し、隙を狙っていた。

 狙いは首。噛まれたら───どうなる。

 アネルは目を閉じた。


『ガルルルッ!! ニスロク!!』

『あいあ~い』


 すると、横から何かが飛んできた。

 その何かは蛇に噛みつく。すると蛇は大人しくなり、粒子になって消えた。

 

『ふぃぃ、やっと見つけたぞ。ニオイがいっぱいで探すの大変だった』

『はぁぁ~~~疲れたぁぁぁ……眠いぃぃ』

「え、あ、アンタら……」

「うっそ……」

「まぁ……」


 アネル、フェニア、サフィーは驚愕した。

 そこにいたのは、召喚獣の姿となったレイヴィニアとニスロクだ。

 レイヴィニアは虎、ニスロクはナマケモノだったが……サイズがおかしい。

 全長十メートルはあったはずなのに、今のレイヴィニアは子犬サイズ。ニスロクも抱っこできるくらいに縮んでいた。


『力を使いすぎた……でも、うちら頑張ったぞ!』

『いっぱい倒したもんね~』

『お前たちが強いのと戦ってるから手伝いにきたけど、終わった───のわぁ!?』

『おぉぉ!?』


 アネルはレイヴィニアを、フェニアはニスロクを抱っこした。


「よかったぁぁぁ!! アンタら無事で!! ってか可愛いぃぃぃっ!! もっふもふじゃん!! なにこれ子犬? 可愛いぃぃぃ!!」

『イヌじゃない虎だ!! 力使いすぎて縮んだだけだ。放せーーーッ!!』

「ん~~~もふもふ。ニスロク可愛い!!」

『んん~~~……じつはぼく、ヒト型よりこっちのが過ごしやすくて好きなんだよねん』

「フェニア、私も!! 私も抱っこしたいですぅ!!」

「まってもうちょい……んん可愛いぃ!!」


 ひとしきりモフり、ようやく解放されたレイヴィニアたち。

 魔獣も片付いたので聞いてみた。


「ねぇレイヴィニア、アンタら、ヒトの姿になれるの?」

『無理。あの姿は魔帝様にやってもらった。こっちが本来の姿だ』

『でも、こっちのがらくぅ~』

「そっか。よし、この辺りは片付いた。みんな揃ったし……フェニア、サフィー。アルフェンとウィルのところへ行こう」

「うん。そうだね……レイヴィニア、場所わかる?」

『ニオイするからわかるぞ! くんくん、くんくん』

「か、可愛いです……」


 レイヴィニアは、地面をくんくんする。

 サフィーが触りたいのか、レイヴィニアに近づく。だがフェニアに止められた。

 フェニアは、遠くを見ながら言う。


「……アルフェン、ウィル。大丈夫かな」

「大丈夫! 考えてみてよ? あの二人が負けると思う? ね、サフィー」

「もちろんです。あの二人は負けません!」

『……見つけた。あっちだ!』


 レイヴィニアとニスロクを抱えた三人は、アルフェンたちのいる場所へ向かって走り出した。

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