81 400年前の鉄の国サカマル帝国で起きた悲劇。
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こうして明日朝一番に王城にいくことになったのだけれど、馬車に乗って一号店に戻り、ご飯を作って久々の私の作ったご飯に満足したお爺ちゃん達。
でもこれで終わりではないのだ。
そう、此処からは――お爺ちゃんとタキを労うホールケーキだ!
「召し上がれ~!」
「「わ――!!」」
「これ、身体が汚れるんじゃ」
「汚れたらお風呂に入れましょう。今日は女性陣が先にお風呂で良いです?」
「いいぞ、お爺ちゃん達を労いたい」
「ありがとう御座います!」
その隙に女性陣は着替えを用意して持ってくると、ケーキを食べ終えて満足している全身クリームまみれのお爺ちゃんをサッと私が抱っこし、タキちゃんをラフィが両手で救い上げるとまず女性陣はスギに箱庭を出して貰って温泉へ――と入った途端、温泉まで続く道は木の廊下が出来ていて、そのまま素足で歩ける上に脱衣所は出入り口からは見えない状態で作られている。
「凄い!!」
「へ――だいぶ変わったね」
「なんじゃここは、箱庭……そうか、新たに箱庭師が来たのか。おお、温泉があるぞい」
「お爺ちゃん、温泉は身体を洗ってからよ」
「早く入っちゃおう~。お爺ちゃんってのがアリに食われないうちにさ」
「なんじゃ、また美青年がきたもんじゃのう」
「女性なんですよ、お爺ちゃん。ミモザさんっていうの」
「ほおお」
「スギっていう小さい子も増えたのよ」
「うんうん、ユリよ、ワシのいない間に色々あったんじゃな……。ワシにも色々聞かせておくれ」
「ええ!」
こうしてお爺ちゃん達を先に洗い、温泉を堪能して貰っている間に私達も身体を洗ってから温泉に入り、これまでの話をお爺ちゃんにすると、お爺ちゃんは意外な事を言い出したのだ。
「ワシの知識では、今から400年程昔、鉄の国サカマル帝国の最後の女帝が彫刻師であったのう。今の鉄の国サカマル帝国の城建築の至る所にある彫刻は彼女が施したと言う話もある」
「鉄の国サカマル帝国は男尊女卑ではないんですか?」
「その頃までは娘が生まれれば大事に育てる家が多かった。しかし、それをよしとせぬ家臣たちが居たのもまた事実。女帝は大事にされながら優れた頭脳も持っていた。他国との間に和平を結び、国を栄えさせ、子を成し、まさに絶頂期であった。しかし――野心を抱いたものも多く、その者に嵌められ、【身代わりの雫】なしで彫刻をさせられ。体が二つに裂けた」
「「「!?」」」
「そして声高らかに陥れた者は【女帝では駄目だ】と【彫刻師等あげてもこの様だ】等と言いおってな。鬼門に捨てられた女帝はその後悪しき塊となり、彫刻師も長きにわたる迫害を受ける事となった」
「「「……そこから」」」
――そこから何もかもがスタートだったのね。
元は男尊女卑では無かったのに、それを許さない家臣たちの所為で男尊女卑は根深く残り、今では女払いと言うやり方まで浸透してしまった。
その女帝からしてみれば許せない事だろう。
「ちなみに、女帝を謀った者達は呪いにより死んでおる。女王の怒りがそうさせたのだろうと言う事じゃったが、尚更国民は恐れた。そこで、女性を大事にせねばならんと言う考えにもう一度持って行けばまだ良かったのじゃが、男たちは何かと誰かを押さえつけたい本能がある。それ故、男尊女卑が根深く残った。無論全員が全員と言う訳ではないがな」
「お爺ちゃんは、今の鉄の国サカマル帝国の有様をどう見る」
「哀れじゃと思う。大体全ての王が木偶人形じゃ。特に今の周りはアホウばかり。頭のいい国民ならば他国に逃げて居るじゃろうよ」
そう言って温泉からザバリと出たお爺ちゃんは「いい湯じゃったわい」と湯気が出ている。
余程気持ち良かったのだろう。
するとラフィが――。
「鉄の国サカマル帝国では、女は賢くては嫁に行けないとまで言われてるの」
「ああ、言われたね。夫の言う事を良く聞き、言い訳をせず、金になれと言われたら金になれ……だったっけ?」
「そうそう。この国に来てから思うけど異常だわ」
「それに気づけただけでも結構じゃ。後はこの大敗戦は誰が責任を取るのか見ものじゃのう」
そうなのだ。
お爺ちゃん達の忠告を無視して金鉱山に行こうとして近くのダンジョンモンスターに殆どをやられたのだ。
誰が責任取るのだろうか?
今の帝王か、それとも――。
「なぁに、ワシ等はあの国に行かなければよいだけじゃ。行っても何の得も無い」
「それもそうね」
「言えてる。二度と戻るもんか」
「じゃあ男性陣にお風呂譲りましょうか」
「そうだね」
こうして風呂から上がりお爺ちゃん達をタオルで拭いて外に出ると「いいお湯だった」と言いつつ「中が凄かった」と言うと男性陣もソワソワと入って行った。
その間にタキちゃんに女性陣の洗濯物を一気に終わらせて貰い、乾燥もして貰って私はアイテムボックスに、二人は箪笥に入れに行くと、冷たいお茶を飲みつつ息を吐く。
「明日、医療用アクセのご予約午前中に女性はいませんでしたよね」
「男性ばっかりだったね。女性は午後に予約が入ってるけど、夕方4時だったよ」
「纏まった依頼も来るかもしれないわね」
「と言うと?」
「鉄の国サカマル帝国では、女を売る遊郭があったの。そこの人たちなら喉から手が出る程欲しいだろうなって」
「ああ、そう言う……」
「この国にもあるだろう? 見えないだけで娼館くらいはさぁ」
「まぁあるとは思いますけど。そこから依頼が来れば向かいますが」
「その時はアタシと一緒にいこうねー? アタシそう言う所で春は売らなかったけど働いてたことあるからさ」
「と言うと?」
「太鼓持ちさ」
「へ――太鼓持ちしてたんだ」
「太鼓持ちっていうと??」
「男芸者って聞かないかい?」
「芸者さん達を盛り上げるのが太鼓持ちっていったりするのよ」
なんだろう、日本にもあったような。
詳しくまでは覚えてなかったけれど……そう言うのがあるのか。
「このハスキーボイスと美男顔を買われてね」
「わかるー!! ミモザさんも恰好いいもん!!」
「片方眼帯付けてやってたよ。顔を覚えられないようにね」
「やーん! 滾る――!!」
「でも、ミモザさんも……ってことは、他にカッコイイって思う子はいるんだ」
「ドマは見る分タダよ。口開くとムカつくこと多いけど」
「ツンデレよね」
「ああ、分かる、ありゃツンデレだ」
「デレて欲しいくらいだわ」
そう言って盛り上がりつつ「女心は難しいのう」と語るお爺ちゃんが居たのは言うまでもない。
その後男性陣も出てきた為先に寝室に向かい久々にお爺ちゃんと一緒に寝た。
それは、何時もある光景だったのに、いつの間にか無くなった光景でもあって、早くスタンピードが収まればいいと心に強く思った事でもあった……。
翌朝、皆で第二店舗にてミーティングが行われ、今日朝からくる予約者は男性と言う事もありエンジュさんとセンジュ君が請け負う事となった。
無論今日だけはエンジュさんは私に付いてこなくてはならない為、帰って来るまではお父様とセンジュ君が担当する。
女性の場合は私とラフィが請け負う事になる。
色々相談に載ったりする時間は余りないが、制限時間を設けて話をする事は出来る為、一人持ち時間30分としているのだ。
「さて、朝から頑張ろう!」
「よし、じゃあユリとエンジュは城にいくかのう」
「お待たせしてもね」
「なーに、ワシの主じゃ。ドーンと構えて置け」
「あらあら」
「ユリ、今日はお爺ちゃんに合わせて赤い浴衣か」
「ええ、エンジュさんは青い着流しなのね。良く似合うわ」
「仲が良くてええことじゃ。では行くとするかのう」
「ブンレツシタ ボク イッテキマス!」
「イッテラッシャーイ」
こうして私たちは馬車に乗り、一路城へと向かう。
怪我人も多かったらしいがタキの回復魔法や治療魔法でかなり戦闘も戦場も違ったらしい。
高位回復魔法と治療魔法が延々と使えるタキがいる事で、魔物討伐隊の士気は下がらなかったのだと言う。
ただ、今日から二週間は休日とし、鉱石の国ノシュマン王国の人たちも宝石の国ダイヤ王国の王都、ダリルシェイドにて宿を借りたりして過ごしているのだとか。
「真冬の国に夏の国は暑いのでは?」
「城から依頼が来そうじゃのう」
「気持ち良く過ごして貰えればいいんだがな」
そう会話しつつ馬車は王城へと到着した。
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