44 お城での依頼をすべて終えると、どうやらお母様のお兄さんとその娘さんがこちらにくるそうで。
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その日の城へ向かう前には、魔物討伐隊に頼まれていた【命の花びら】を100個納品すべくケースに入れてアイテムボックスに入れ、陛下たちに渡す物もアイテムボックスに入れて私とエンジュさんとお爺ちゃんとタキちゃんとで馬車に乗って向かう。
城に着くとノロンさんが待っていて、どうやら案内人に指名されたらしい。
これにはお爺ちゃんは嬉しそうだったので、まずは魔物討伐隊本部へと向かい、【命の花びら】を納品する。
隊員たちの命を守る為、このアイテムは良く使われるのだ。
「良かった、そろそろ無くなりそうだったので助かったよ」
「いえいえ、またご入用になったら前もってご依頼ください」
「すまんな」
「そう言えば魔物討伐隊の魔法部隊には、魔導士たちの暴走で杖は壊れなかったんですか?」
「ああ、幸いその日は結界魔法の練習中でな。それで助かった」
「良かったです。魔物討伐隊の杖が壊れたらいつでも仰ってください。値引きしてでも宝石は出します」
「ありがたいユリ殿」
「いえいえ!」
「でもこれから王様との謁見じゃろ? 面倒じゃのう」
「早く終わらせて帰りましょう」
「ははは、まぁよろしく頼むよ」
「それと、これはお気持ちですが」
そうエンジュさんが言うと、赤いガラスで作ったガラスペンを二本箱に入っているのを手渡した。
「これは?」
「今度販売するガラスペンと言うものです。使い方はそちらに図も書いて用意してますので、是非隊長と副隊長とで」
「おお、すまんな」
「いえ、それでは失礼致します。もし使い勝手が良かったら他の部署にも宣伝お願いします」
「ははは! 分かった!」
そう言って魔物討伐隊から今度は謁見の間へと向かうと、私たちが来た事でザワリとはしたものの、「陛下から依頼されたものをお持ちしました」と言えば通して貰えた。
すると――。
「おお、待って居ったぞ!」
「おはようユリ」
「品物は持ってきたかな?」
「しっかり持って参りました」
そう言うとエンジュさんのアイテムボックスからまず陛下に眼鏡が五本入った箱をお見せし、「この中から似合うものをお選びください」と伝え、王太子に聞きながら一本を選ばれた。
そして箱に入ったガラスペンを二箱出すと手渡し、王太子と交換し合って微笑みあう。
「よき物を注文出来て良かった。助かったぞ」
「ありがとう御座います」
「エンジュ、俺のは?」
「こちらになります」
そう言うとアイテムボックスから少し良いトレーのような箱を取り出し、そこにはサングラスと時計が乗っていた。
「時計はもう時間を合わせております」
「助かるよ。魔法付与は?」
「してあります。一日一度、隣にあるネジを回して、カチッという音が鳴るまで回してください。そうすることで時間を常に測り直す必要が無くなります」
「分かった。ずれた時は都度だな」
「はい」
「うむ、時計もシックでいいではないか。助かったぞ。後はサングラスだな」
そう言ってグレーガラスで作ったサングラスをつけると「確かに日差しが目に痛くないな」と感動していて、ちょっと嬉しそうだった。
そして眼鏡も王太子に選んでもらうとそれを貰い、それぞれ自分のアイテムボックスに仕舞った。
さ、予定は終わり。帰ろう!
なんて思ってもそうはいかなくて……。
その後、魔法騎士団の本部へと向かうと、地面が抉れてる……凄い勢いで魔力がぶつかり合ったんだろうなと思いつつ案内された部屋に入ると、とても広い場所で皆さん己の割れた杖を持ちながら整列しておられた……。
え……この中でするの。
「おお、ガーネットのユリ殿、お待ちしておりましたぞ」
「その前に依頼された眼鏡をお渡しします」
「おお、有難い」
こちらも五本の内から一本選び、眼鏡を付けると「おおおおお! 何と良く見える!」と喜んでいて、隣にいた副隊長がビックリしていた。
「心より感謝する!」
「後でしっかり請求しますよ?」
「ははは! 無論だとも! さて、この度魔法騎士団が数名馬鹿をやらかしてこの有様だ……。宝石を出して欲しいが、これほどの大粒となると難しかろう?」
そう言って罅の入った私の拳くらいの宝石を見せて来た。
ルビーでこの大きさ……魔法騎士団って金持ちなのね。
「大体全員このくらいの大きさですか?」
「そうだな」
「ちなみに、一番人気はやはりルビーですか?」
「ルビー、サファイア、エメラルド。クリスタルはどの魔導士とも合うな。だが余りにも出にくい為持っている物は少ない。ブラックオニキスも使う場合もある」
「ふむ、大体その五つと言うことですか」
「そうだな。しかしこの大きさとなると」
「出せますが?」
「……本当か?」
「何です? 嫌がらせする為に呼んだんです?」
「違うが、本当に出せるのなら我が魔法騎士団の予算から出せるギリギリまで出すからお願いしたい……」
「では、一個ずつ出すので……この布で受け取ってくれます? 全員で幾ついるんですっけ?」
「80人分だ……すまんなぁ」
そう言うと宝石店なので宝石を拭く為に使うタオルを80枚程だし、取り敢えず出していくかーと言うことになった。
こんな大勢の前でやるのは初めてだけど「アイテム生成・ルビー」と手を翳し魔法陣を呼び出すと大きさをイメージしながら作りだす。
ちゃんと大きな丸いルビーを作りだして手に布を置いて差し出している所に落とすと、歓声が沸いた。
「何という純度のルビーだ!! 不純物が一切ない……これは、国宝級ですぞ!?」
「欲しいと言ったのはそちらですよ。次行きまーす」
と、続いてサファイア、エメラルド、ブラックオニキス、そしてクリスタルの塊を出すと流石にシーンっとなった。
クリスタルの塊が落ちるとは思わなかったのだろうか?
「……どうしました?」
「これが……不純物のない透明な本当のクリスタル」
「ほおお……」
「何と神々しいことか」
「しかしブラックオニキスも見て下され……まるで闇に呑まれるようじゃ」
「素晴らしい……」
「嗚呼、右手が疼く」
中二病か!?
と思わず突っ込みそうになったが、その後希望者が一つずつ布を持ち、宝石を前で出していくことになった。
人気はやはりクリスタルだったが、全部出し終えると全員「これで魔法が使える!」と喜んでいた。
「とんでもない金額になりそうですが、魔法騎士団のお金何年分ですかね?」
「……分割でお願いします」
「良いでしょう。契約お願いします」
こうして契約書を作りシッカリと分割払いして貰う事になった。良かった!
これで清々しく家に帰れる!
そう思いノロンさんに案内されながら家路につくべく馬車まで案内されると、手を振って帰る事になった。
「あ――無事終わりました! 良かったです!」
「まさか魔法騎士団が分割してくるとはな」
「あれだけ国宝級のものをポンポン出されたんじゃ。分割しても何十年と掛かるわい」
「暫く定期収入は安泰ですね!」
「そ、そうだな」
「明日からは少し時間が取れそうなので、今の内に商業ギルドと冒険者ギルドに行ってきますね」
「ああ、気をつけてな」
こうして家路につき、仕事の諸々も終わった頃、一通の手紙をロザリオスさんがお父様に手渡した。
不思議に思いつつ見ているとお父様は驚かれ手紙を開けて中を読むと――。
「アルメリアの兄が娘を連れてくるらしい」
「アルメリアさんってエンジュさんとセンジュさんのお母様ですよね。お兄様は何と仰るので?」
「カシュールさんだ」
「カシュールさん」
「従姉妹の名はなんだったか……センジュと同じ年だったと思うんだが」
「ラフィリアですね」
「ラフィリアさん」
なんでも、数か月ほどこちらに滞在する為、家に世話になりたいという事だったので、隣の家の二階を元に戻すリフォームを頼むことになった。
ロザリオスさんがそれは直ぐに手配してくれて有難い!
「しかし何をしに来られるので?」
「理由は書いていないが、取り敢えず何かあったのだろう」
「ふむ……おもてなしをしなくては」
「そうですね」
とはいっても、此処から鉄の国サカマル帝国はそれなりの距離がある為、時間が掛かるのだという。
来られた時はご挨拶せねば!
それから数日はあっと言う間で、明日には工場が出来上がりと言うその日、いつも通り盗難予防の魔道具を貰いつつアイテムの中身を補充しまくってから帰宅し、ご飯を作ってお風呂に入ってといつも通り過ごして眠り、次の日は総勢250人を雇ったんですからさぁ大変!
スキルごとに広い庭に並び、製作分けされて移動し、何時もの面子は慣れている様子で仕事をし、エンジュさんとお父様は慣れていないそちらを教えに行かれました。
見本は作ってあるので大丈夫でしょう。
また、各所リーダーを用意した為、リーダーの指示に従ってアイテムを作る事にもなる。
こういうのって大事よね。
そんな事を思いつつ二階に上がると――。
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