37 王家の教育もまともになっていないようでして。頭の痛い問題でしたね?
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なんか色々あったけど、ノロンさんに案内されて財務省に到着する事が出来た。
エンジュさんがノロンさんにお礼を言って、建物の正面の扉をノックして、「ガーネットの者です。納品に参りました」と声をかけた。すると、すぐに中から扉が開かれた。
財務省と言えば城の彼是のお金を管理している部署だ。
すべての城へ納めるアイテムは一度先ず財務部に納品し、品質を確認してから代金が支払われるシステムにしていた。アイテムの注文は財務部を通して行われる。城の各部署へ注文された個数分のアイテムを振り分けるのも財務部だ。
そして先ほどの出来事を話すと財務部のトップであるザード様は頭を抱えて溜息を吐いた。「王室騎士団は後まわしだな!」と宣言して、50個ある【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】を施したネックレスを確認してくれた。
「流石付与師がしっかりと強化付与していただけあって問題は無いな。本来貴族の模範となるべき王室騎士団が問題を起こしてしまい、申し訳なく思う」
「今後はこういう事が無いことを切に願います」
「同じくです」
「やれやれ、魔物討伐隊には次は用意するんだったな。その時は是非、魔物討伐隊の本部に行って手渡してやって欲しい」
「分かりました」
「承りました。その他の城から来ている依頼はどうしましょうか?」
「財務部を通していないのなら個人支払いだと伝えてある。そいつらの分は後回しにしてもかまわん」
「ありがとう御座います」
「これからも財務部で注文したものはこちらで受け取り、支払いも済ませる。色々と迷惑を掛けて申し訳なかった」
「いえ、これからも贔屓にして頂けたら幸いです」
「うむ。この後は何処に移動だ?」
「王妃様に呼ばれております」
「そうか、ノロンよ。王妃様が用意している部屋へ案内して差し上げなさい」
「はい! 東の塔近くの応接室だと伺っております」
「ではそちらまで」
こうしてキッチリ支払って貰った代金をアイテムボックスに入れると、私たちはノロンさんについて行って王妃様が待っているという応接室へ案内された。ノロンさんがノックして、「失礼致します。ガーネットの方々をお連れしました」と声をかけると、ゆっくりとドアが開かれた。新しいドレスに着替えた王妃様が優雅に紅茶を飲みつつ待っておられた。
中に入るとメイドさん達に恭しく頭を下げられた。メイドさん達にも是非宝石や天然石を見せて欲しいという事だったので、一号店にあった宝石や石関係をアイテムボックスから出しつつ机に並べていくと、みんなキラキラした瞳で見つめている。
小粒の物は用意しなかったけれど、それなりに大粒から中くらいのものまで揃えてみた。
「嗚呼……どれも純度がとても高くて……発掘するのも大変な石や宝石がこんなに!」
「此処にはスター宝石はありませんが、欲しいということでしたら次回持ってきます」
「あら、目の前では出して貰えないのね。残念だわ」
「そう易々とレアスキルをみせられるか」
「ソウダゾー」
「そうですわね、ホホホ。失言でしたわ。是非次回はスター宝石もお願いね」
内心で冷や冷やしながらも宝石を見て過ごされる王妃様。
買うかどうかは別として、これなら先に私だけでもこっちに来ていた方が良かったかな?
そう思っていると扉が開き、姫様と王太子様が入ってこられた。
「お母様だけ狡いわ!! わたくしにもみせて!」
「まぁ、あなた達ったら」
「ガーネットの方々ですね。実は私と妹にも是非父上と母上と同じものをお願いしたく」
「ご注文ですね? 宝石は何が宜しいでしょう?」
「私は父上と同じものでスターサファイアを」
「わたくしはお母様と同じスタールビーでお願いしたいわ! 宝石いっぱいつけて!」
「それだとかなりお値段が掛かりますが」
「あら、そっちの女の人ってジャラジャラ宝石とか石とかいくらでも出せるんでしょ? 宝石代金なんて無料と一緒じゃない」
「ほう?」
「アナリリス!!」
「そうですよ。ボロボロ出せるなら技術費は出しても、材料費は無料ですよね?」
「王太子! なんてことを言うのです!!」
「アルジー? コノコタチノ ツクラナクテ イイトオモウ」
「ワシも反対じゃな」
嗚呼、典型的なお貴族様の反応。しかも私のレアスキルを知ってるから言いたい放題ですねぇ。
エンジュさんも頭を抱えているし、これは流石に不味いのでは?
「それにここにある宝石は全部くれるんでしょ!? その為に持ってきたのよね!」
「いえ、持って帰りますが」
「えー? 庶民ってけち臭いのね」
「まだ商売し始めたばかりの新興の店だし、我々を相手にする為の知識が足りないんだよ。我々が欲しいと思えば全部置いて行くのが当たり前だ」
「それ、恐喝や強盗と一緒ですよね」
「「なっ!!」」
「王妃様のご教育の賜物ですか?」
そう私が笑顔で聞くと、流石に顔を引き攣らせながら「育て方を間違えたようですわね」と震えて答えていた。
「母上! 何という無礼な商店でしょう! この様な店からの献上品など受け取る必要ありません!」
「ええ、差し上げる気もありません。今後王妃様からのご依頼は全てお断りするという事で宜しいですね? 陛下にもその旨をお伝えして此処で起きたことも全部お話しして帰ります」
「待って! 待って頂戴! 子供の戯言よ!?」
「子供とはいえ既に王太子様ですし、もう片方の方は知りませんけど。うちの職人さん達の努力の結晶を受け取る価値の無いお客には、クズ石ひとつも出さないと決めてます」
「価値が…ないだと?」
「なんてことを言うの! 『王家御用達』の称号を剥奪するわよ!」 王妃様が真っ赤になって喚いた。
「剥奪されたほうがガーネットの為じゃな」
「ソウダトオモウー」
「何を騒いでいる!!」
「「父上!」」
「!」
此処に来てまさかの王様。話しに行く手間が省けるので此処でお断りしましょう。
「国王陛下、ここにいる王族の皆様から宝石と石、そしてアイテムをほぼ無料で提供するよう脅されました。王家御用達とはそういうものだというのなら、頂いた称号をお返しします」
「――お前たちは何を言ったのだ!!」
「宝石も石もジャラジャラ出せるスキル持ってるなら宝石出し放題だから全部寄こせだったかのう? 断ったら王室御用達を剥奪とも言っておったな。ワシ等は構わんよ? 王家も腐っておるな。次世代で国は滅ぶぞ」
「なっ!!」
「この王太子、アホウじゃ」
「アホアホー」
「元より、守る価値も無かったのう」
「魔物の分際で無礼な!!」
そう声を荒らげた王太子の頬を陛下は力いっぱい叩いた。
おお、お父さんお怒りですね。
余りにもビックリしてる王太子と姫様、王妃を睨みつける陛下。
うん、泥沼と見た。
「王太子よ」
「……はい」
「別にお前が次代の王でなくともよいのだぞ。側妃に産ませた王子の方が賢いという話はワシの耳にも入って来ておる」
「え……」
「強盗だ恐喝だとユリは言っておったな」
「お前達……」
「ち、違うわ。確かに宝石がジャラジャラ出せるなら少しくらいって思ったけれど、全部欲しいと言ったのはアナリリスよ!」
「お母様酷い!! だってジャラジャラ出せるのにお金取るの? 酷くない?」
「お前達はレアスキルも知らんのか……今まで何を学んでおった。第二王子はしっかり知っておったぞ」
「「レアスキル?」」
「…最早、お前を王太子にしておくことは出来ん。宰相に命じて第一王子に戻す手続きをさせる」
「な!?」
「余りにも知識も無ければ常識もない。これには王妃よ、お主の責任が過大であるな」
「っ!!」
「ガーネットの者達もすまなかった。宝石は全て持って帰ってくれ。欲しいと呼び出しを受けても、今後は応じなくて良い」
「ああ、そんな……」
「だって……」
「しかし、この者達は庶民ですよ? 庶民なら貴族王族の言う事は聞くのが普通では!?」
「出ましたよ、謎理論」
「全くじゃな」
「ホント シンジランナイネ」
冷静に口にする私達に陛下はドンドン顔色が蒼くなっていく。
大きく溜息を吐くと私とエンジュさんは頷き合い宝石を纏めてアイテムボックスに仕舞いこんでいく。
二度と来るもんですか。
「ああああ! わたくしの宝石たちが!!」
「お前のではないだろう!」
「くう……っ!!」
「では、国王陛下のおっしゃる通り、今後王妃様に呼ばれても来ませんので」
「ああ、すまなかったな」
「付与アクセは!? 無論予約したんだから作るわよね!!」姫様が叫んだ。
「作りません」
「はぁ!?」
「アレだけ言われて作ろうなどと思わんわな。まともな判断じゃと思うぞ」
「オウサマ アナタノコドモ ブレイナヤツバカリナノ?」
「~~~っ!!」
それがトドメの一撃になったのでしょう。
その後私たちは「お邪魔致しました。いつでも王室御用達はお返しします」と伝えて帰ったんだけど――。
後日、王妃と姫殿下は幽閉。王太子だった彼は位を剥奪され、更に別の塔に幽閉が決まったそうだ。
そこで側妃が王妃の座につく事になり、ノヴァ様の友人である第二王子が王太子に指名されることになるのは――もう少し後の話。
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