34 レジェンドモンスターお爺ちゃんの怒りと、タキの怒りとお城への呼び出し……。
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――ホムラside――
嗚呼、やかましいくらいの悪意じゃのう。
ここ最近、特に【ガーネット】が【王家御用達店】と【魔物討伐隊御用達】の二つを手に入れた頃からじゃ。この悪意察知と危険察知がビンビンなのは。
多分タキも知っておるじゃろうが、兎に角酷い。
特にユリに対するこの強さ――。
目を向ければ一人の汚い顔をした女が増悪に滲んだ顔でこっちを見て居るわ。
刃物まで持って。
そんな日が数日続き、ある日その女が殺し屋を雇ったのを知った。
ユリ一人になった所を殺して、エンジュの後妻に入るつもりらしい。
やれやれ、そんな事をさせる訳なかろうに。
死ぬのはお前さんじゃぞ?
ユリ達が忙しく働いてる中、新しい【ガーネット二号店】の屋根の上で、隙を伺う奴等をジッと覗いては時折威圧を掛ける。
そうすると動けなくなって腰が抜ける。
そうする事でユリを守ってきたが――今日は大勢で押し寄せてユリを殺す気らしい。
「わしゃ気になる事があるからお外に出かけてくるぞい」
「あら、夜のお散歩?」
「まぁそうじゃの。飯前には帰ってくるわい。まぁ遅れたらすまんのう」
「いいけど、気を付けてね?」
「うむ、仕事をちゃんとせんと、ユリの護衛として情けなくなるからのう」
そう言ってフワフワとワシが外に出れば、ワシがユリのペットだと思っておるんじゃろう。真っ先に飛び込んできた殺し屋に一斉に威嚇してその場に倒れ込ませた。
すると――。
「ちょっとアンタ達! 何倒れ込んでるのよ!! 早く殺しに行きなさいよ! 幾ら払ってると思ってんの!?」
「あ……」
「う……」
「化物……」
「は? ただのフェアリードラゴンが化物ですって? 馬鹿じゃないの?」
「いや、馬鹿はお前さんじゃて。何と言ったか……クズリーだったか?」
「!?」
「お前さん、よくもまぁ散々ワシの大事なユリを害そうとしておったな? そして自分がその後釜に入ろうなどと……何とも情けない」
「何このフェアリードラゴン……」
「のうクズリーや。お前さん【誰の】主を害そうとしたのか知っておるか?」
そういうとワシは殺意をクズリーに一気に放つ。
途端ガクガクと震え座り込んだクズリーにゆっくりと飛んで近づいて行く……。
「いいや、違うな……【誰と】【誰の】主に手を出そうとしたのか、分かっておらんのだろう?」
「な、なに……え? え??」
「ソウダヨー? オジイチャン ト ボクノ アルジヲ ガイソウトシタンダヨネ?」
そう言ってピョンピョン跳ねて出て来たのはタキじゃった。
タキは威圧を掛けて動けなくなっている五人をスキル【叩き】で思い切り顔面を叩いてクズリーの近くまで吹き飛ばし、数名失神した。
「ボクネ? フダン ト――ッテモ ヤサシイノ。デモネ? アルジヲ キズツケルヤツ、コロシテイイカナ? ッテ オモッテルヨ……」
「ひ、ひいいいいいいいい!! なによこの赤いスライム!!」
「ふぉっふぉっふぉ! タキや、随分と怒っておるのう」
「ウン……モウ ガマンノ ゲンカイダッタノ」
「ワシもじゃよ。まぁこの伸びた二人と失禁した三人と……震えてる一匹にはワシも一撃入れるかのう!」
そういうとスキル【引っ掻き】を使い、顔面をザシュッと切りつけると、力を入れ過ぎたのか目まで奪ってしまった。
まぁ主を狙ったのじゃし、目などいらんじゃろう。
「「「「「ひぎゃああああああああああ!!」」」」」
「ひ、ひいいいいい!! 来ないで来ないで!! 悪かった、悪かったから! アンタ達の主殺そうとして悪かったから!! だって羨ましかったんだもん! 本来私のいる場所なのに羨ましかったの――!!」
「アホウ。お主の場所なんぞ最初からないわ」
「アキレタ。シンジャエ♪」
バチイイン!!
とタキの叩きを顔面に喰らい、塀にぶつかって塀は壊れ吐血するクズリー。
そこに更に一撃腹にタキからの叩きを喰らい、ゴボッと吐血する。
そこにすかさずワシは顔面に力加減をして一生顔に残る傷を【引っ掻き】で付けて身体にも無数につけると、血をダラダラ流しながら倒れ込んだ。
「哀れじゃのう……もう誰もお前さんなんぞ嫁には貰わぬてなぁ?」
「スッキリシタ」
そう言って帰ろうとした途端悲鳴が上がり、次々に人が集まってえらい事になった。
ワシらの所為だと思われるじゃろうなぁ……と思っていると、騎士団までやってきて六人を必死に回復しておるが――。
「無駄じゃよ」
「なんだこのフェアリードラゴンとベビースライム!! お前たちの仕業……ではないよな?」
「だから無駄だといっておろうに。レジェンドスライムとレジェンドフェアリードラゴンにやられた傷は魔法でもなんでも治らんわ」
「「「なっ!!」」」
「奴らはな? 【ガーネット】のユリを殺そうとしてやって来た者達じゃよ。そこのクズリーに雇われた殺し屋が五匹じゃ。そのクズリーはユリを殺して後釜に入るつもりだったらしいが、ワシ等が許す筈なかろうて。なぁ? タキよ」
「アリエナイネ!!」
「「レジェンドモンスター……っ!?」」
「だからそういっておろうに。全くお主達も嘆かわしいのう」
そうワシらが口にすると、隊長らしき人物がワシらに敬意を示す礼をし、声を掛けて来た。
それじゃよそれ。
レジェンドモンスターは一匹いるだけで国を亡ぼすくらいの力がある。
それが二匹ともなれば敬意を示して敵意が無いとするのは当たり前じゃのう?
「恐れ入ります。レジェンドモンスター殿。あなた方の主とは今起きておられますか」
「起きとるよ。今ご飯中じゃ」
「ご挨拶に行っても構わないでしょうか」
「イインジャナーイ? アクイハサッタヨーッテ オシエナキャ」
「ふぉっふぉっふぉ! 確かにそうじゃな。戻るとしよう」
そういうとタキは撥ねながら【ガーネット一号店】に入り、ワシも入って行くと、ドアをノックして中に入らず人が出てくるのを待っておる騎士隊長。
「はい、どうしました?」
「夜分失礼致します。そちらのレジェンドモンスター殿の主にお会いしたく」
「ん? ユリにか? 呼んでこよう」
そういうと暫くしてユリが出て来た。
何があったのか理解していない様子じゃったが、ワシらが事情を話すと「えええ!?」と驚いて、その声にエンジュとセンジュも出てきおった。
「私、殺されそうだったの!?」
「うむ」
「ズーット ネラワレテタヨ」
「うわ――……気が付かなくて」
「今日乗り込もうとしているのを知ってな? ワシとタキで倒しておいたわ」
「そうだったのね……。ごめんねお爺ちゃん、タキちゃん、全然気が付かなくて」
そう言うとワシらをギュッと抱きしめてくれるユリ……うむ、この優しさにワシらも救われたのじゃよ。
失う訳に等出来まいて。
「それで、ユリ様に一つお話が」
「あ、はい!」
「レジェンドモンスターは一匹いるだけで暴れれば国を亡ぼすと言われています。その……貴女に危険が無いのは重々承知していますが、一度魔物討伐隊のいる部署までお越し頂き、この二匹にこの国を亡ぼすつもりも、害も無いとお伝えして頂ければと」
「それは、明日でしょうか?」
「明日是非……その後、二匹にその害が無いと判明した場合、陛下との謁見となります」
「え……」
「恐らくダイヤ王国は、レジェンドモンスター様の庇護を求めるかと」
「「「庇護」」」
「是非明日の朝、よろしくお願い致します!!」
「あ、えーっと……はい、分かりました。朝一番ですか?」
「朝一番にです」
「ユリに命令するな。ユリの行きたい時間にいくわい」
「申し訳ありません!!」
「そもそもこの国を害するつもりなど毛ほど無いわ。じゃが、ワシらの大事なユリを自由に使おうとした場合は暴れてやるがのう?」
「アバレチャウゾー」
「……陛下にも、魔物討伐隊にも伝えておきます!」
そう言って綺麗にお辞儀すると去って行った騎士団長。
やれやれ、大変じゃのう。
そう思っていると――。
「ユリ」
「はい?」
「爺さんとタキは、本当にレジェンドモンスターなのか?」
「そうですが」
「そうか……俺はとんでもないのと暮らしてたんだな……」
「エンジュー トオイメスルナー マエミタイニ ナデナデシテー?」
「ワシも膝に乗りたいのう」
「お、おう……その前に飯にしようか」
その一言でご飯を食べ損ねていた事を思い出してワシらは集まってご飯を食べた。
流石ユリの作った飯じゃああああ!!
うまい!!!
「明日は王城にいくのなら、出来ているアクセサリーだけでも渡してくるといい」
「ソレクライ マッテクレルヨー」
「そう……ね。エンジュさんもついて来てくれる?」
「魔物討伐隊隊長に叱られそうだが……ついて行くよ」
こうして死んだ魚の目をしたエンジュを他所にワシらはしっかりご飯を食べ、風呂にもゆっくりとユリと一緒に入り、寝る前に着物に【速乾】と【吸収】の付与をして貰ったユリは近々下着も頼むと言って眠りについた訳じゃがな?
◇
「いや、エンジュが分からんでも仕方ない。これほど普通のフェアリードラゴンとベビースライムのフリをしているレジェンドモンスターなど初めて見たわ」
「良かったですっ!!」
と、魔物討伐隊に到着してからそう言われるエンジュが居たのは、なんか解せぬと思ってしまったのは、内緒にしとくかの。
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連載頑張れ! とか 続きを楽しみにしてます! 等ありましたら
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とても多くてすみませんm(__)m
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