32 新しい付与を会得し、ギルドに委託して作って貰いつつ次の商品考案に入る!
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強めの付与が服には良いらしい。
ただし、ヒンヤリとまではいかないのが残念過ぎる。
「強めの付与で行けそうですね」
「ただ【速乾付与】も特許取らないとな」
「付与師ギルドで取ってきます。その後裁縫ギルドに行って良いですか?」
「三人で行きましょうか」
こうして馬車に乗り込み付与師ギルドへ到着すると、センジュ君は新たに【速乾付与】と言う特許を取り、ギルドの人を驚かせた。
これでセンジュ君が取った特許は四つ。
【真空付与】【撥水付与】【体感温度が下がる付与】に加えて【速乾付与】が追加になった。
一度特許を取ると、その人の死後100年はその家が特許を独占出来るらしく、特許が取れる付与師は王家にも召し抱えられる事もあるのだとか。
しかし我が家は王家御用達。
センジュ君が召し抱えられる事はない。
その後、裁縫ギルドに向かい私が出した肌着を裁縫ギルドマスターに見せ、これに近い布地で肌着が欲しいというと「貴族用ですね……」と言われたものの、それで肌着を作って欲しいとお願いする。
無論女性用肌着や下着もだが。
これには驚いた裁縫ギルドマスターのマルチディスだったが、センジュ君が【速乾付与】と【吸収付与】した普通の肌着を持って来ていた為、それを目の前で水に浸してから搾り、直ぐに速乾したことで「是非うちで取り扱いたい」と目を金貨にしつつ話があがった。
しかし――。
「無論お願いしたいのですが、先ずは売り込みをしたいんですよ。最初は此方から売り込みさせて貰いたいです」
「ふむ、どちらに売り込むので?」
「魔物討伐隊ですね」
「ああ、外で暑い中戦うと大変でしょうからね……分かりました。これは布地の革命を起こす付与ですからね! ギルドマスターの名の元、魔法契約をした付与師にのみ付与を教えて頂けるのでしたらありがたいです」
「無論そうしますが、マージンはお分かりだと思いますが」
「ええ、既に【撥水付与】でかなり儲けさせて貰ってますから、同じで宜しいですか?」
「はい、お願いします。あと出来れば女性用下着や肌着、そう言ったものにも活用できるのではないかと思っていますが如何ですか?」
「これはどんな服にでも付与できる素晴らしい付与だと思います。タオルやバスタオルだけではなく、あらゆる服や靴下にも可能でしょう」
「ええ、靴下に付与すれば蒸れて辛い方にはいいでしょうね」
「ええ、靴にも付与すれば大分違います」
「そう思います。出来れば庶民にも広めたいので、普通の布地でこれだけの効果ですから、是非お願いしたいのですが」
「分かりました、是非契約致しましょう。今回も付与を使わせて頂きますので服のタグには【ガーネット】を刺繍いたしますね。直ぐに貴族用の男性肌着を用意させます」
こうしてギルドマスターのマルチディスさんは人を呼び「貴族用の男性肌着を10枚程持って来てくれ」と伝え、【ガーネット所属の付与師センジュ】との契約となった。
また付与師は50名呼び出され、魔法契約書の元で新しい【速乾付与】をセンジュ君が教えた。50人は自分たちに持ってこられた布地に【速乾付与】と、使っている糸に【吸収付与】をどれ位すれば丁度いいのかを試行錯誤し、センジュ君も同じように頑張っていた。
すると、普通の布地より中くらいの強さで丁度良かったらしく、「付与の力は中でお願いします」と伝え、マルチディスさんから貴族用肌着40枚を買い取り、後はマージンで幾ら入るかが楽しみだが、お願いして帰る事となった。
一旦家に帰ると、40枚のうち10枚の貴族用肌着に【速乾付与】と【吸収付与】を行い、後は水に入れて絞って触り心地を確認すると、確かにヒンヤリした。
「おお、求めていた感じになりましたね」
「これで魔物討伐隊に更にいい感じに付与できますね」
「寧ろ鎧にしたいって言う奴もいるだろうな。【速乾付与】は凄すぎる」
「無論魔物討伐隊から呼び出されれば向かいますよ」
「その時は俺も行こう」
「私はその時王妃様に呼ばれるんだろうな……」
思わず遠い目をしてしまったけれど、最初の納品の際には王妃様との謁見がある。
きっと宝石のお買い上げだろう。
まぁ、王妃様が後ろ盾になってくれるというのなら、宝石を出しても問題はないと思っている。
王室や貴族相手にスキルをただ簡単に出す……ということは避けたいしね。
「取り敢えず今回の商品に関しては、魔物討伐隊から依頼されている品を持って行く際に売り込もうと思う。ちなみにセンジュも覚悟して一緒に来るように」
「はい」
「ちなみにですけど――……ちょっと宜しい?」
「どうしました姉上」
「どうした?」
「私の下着にも【速乾付与】と【吸収付与】付けて欲しいなと」
その言葉に二人は固まった。
そりゃそうよね、目の前にいる私の下着に付与しろっていってるのだから困るわよね。
「俺は何故付与師に生まれなかったんだろうか……」
「兄上気を確かに!!」
「駄目ですかね? 駄目なら諦めますが」
「いえ、兄上もいる前でいいのでしたら!!」
「センジュっ!! いいのか!?」
「ふぉっふぉっふぉ! 偶にはユリもエンジュにご褒美じゃて。なぁ? 弟だけが婚約者の下着を見るってのは、酷な事じゃよ」
「それもそっかー」
「「お爺ちゃん……!!」」
確かに婚約者の弟は良いけど婚約者は見ちゃ駄目っていうのは可哀そうかな?
それなら新品用意して付けて貰おうかな。
「なら、今度新品の下着上下持ってくるので、付けて貰って良いです?」
「「はい!!」」
「ユリも素直過ぎて不安になるのう……」
「ユリ アルイミ スナオダカラネ。オジイチャン アマリ タノシンジャ ダメ」
「気を付けるわい」
そんな事を言われつつ、着物にも付与してくれるとの事で、暇を見て是非お願いすることになった。
そうこうしている間に就業時間近くて、私は慌てて三店舗の倉庫の確認へと急ぐ。
足りなくなっている材料を追加でアイテム生成しながら作り、宝石もチェックしてアイテム生成し、一回り終わる頃就業のチャイムが鳴る。
そうしたら、中央はお父様が納品分の水筒の確認をしてくれると言っていたので、私はテリーさんのいる二つ目の作業場にて、アイテムがどれだけ出来て付与がどれだけ出来ているのかノートにチェックしていき、帰って行く皆さんに「お疲れ様です。明日もよろしくお願いしますね」と挨拶しながら黒板を書き換えていく。
この【ガーネット二号店】では仕事開始が朝9時で、仕事終わりは夕方5時だ。
残り一時間はタキによる清掃とアイテムチェック、後は他の依頼が来てないか等の事務所でのチェックとなっている。
「納品依頼は人数が多いと結構早いわね。王家の財務部からきてる【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】のついたアクセサリー50個がもう出来てたわ」
続いてして貰うのは、無論魔物討伐隊からの依頼で【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】のついたアクセサリーをまず最初から80個用意する予定だ。
王国騎士団は最後に回し、来月でよしとなっているので、一ヶ月我慢して貰おう。
そんな事を思いつつ黒板を書き直していると、エンジュさんが入ってきた。
どうやら最終チェックをエンジュさんがしているようだ。
「宝石や貴金属を使った付与も色々考えたいんだが……何かいい案はないだろうか」
「んー…どうかしら? 【命の花びら】みたいなのは知ってるけど、他に宝石や貴金属を使った付与となると、少し案が出るのに時間が掛かるかも」
「そうか」
「そういえば、こっちの人たちは時間を余り気にしないのかしら?」
「時間? いや、大事だぞ。商談もそうだし仕事開始だの終わりだのは特にそうだし、ただ皆大きな時計を探して時間を測るのが普通で」
「なら、こういうのはどうかしら」
そう言って【お取り寄せ】を使いチェーンになっている女性用の腕時計を出すと、エンジュさんは「こんな腕に着ける時計なんてあったのか」と驚いている。
「こういう【腕時計】なら男性用女性用とで作れると思うんだけど。中にガラス加工しないと駄目なのがね……ガラス、私でも作れるかしら? 『アイテム生成・ガラス』」
そういうと板版になったガラスがカターンと落ちてきたので、一応私でもガラス作れるんだなと驚いた。
これも石を使って作るからかしら?
「作れそうだな……腕時計」
「そうね……アナログ時計なら作れそう」
「アナログ時計って言うと?」
「大きな時計に針を合わせるの、数秒程度ずれちゃうけど、それを元に時間を合わせたのがアナログ時計よ」
「それでも画期的だな……時計を自分で持ち歩くという発想自体が俺達にはなかった」
「宝石に撥水付与を施して水に強くすれば壊れにくいだろうし、強化付与をしてガラスを強くしたり、鞄に付けるタイプを作って鞄で時計を見たり、後は懐中時計っていうのもあるけど」
「それはセンジュがいる時にお願いしたい!」
「ええ、良いわよ」
こうして戸締りをシッカリして盗難防止を起動させると真ん中の本社と言うか、建物の二階へと向かう。
そこで各所の状況を説明し、更なる注文が来ていないかの確認となったのだが――。
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