20 お店の名声も上がって行き、お城であるコンテストへの出場のお手伝いを少しだけ……。
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それから一週間程経つと、店にはお父様の作った【命の花びら】が売られるようになり、冒険者も我が家にちらほら買いに来るようになるのは言うまでもなく、今日も【命の花びら】を買い求めてやってくる冒険者は多い。
その他にも冒険者が買って行く付与アイテムは「毒無効」だったり「麻痺無効」だったりと多岐にわたる。
そっちを手掛けるのがお父様で、特に【帰還の護符】と呼ばれるダンジョンから瞬時に外に出られる護符は冒険者にとって必需品。
付与師が練習を最もするのが、この【帰還の護符】とさえ言われているくらいの必需品で、こちらは比較的手に入りやすい銅鉱石で作られることが多く、値段もそこまで高くない。
使い切りのアイテムだが、使い終わると風化するように消えるのだとか。
冒険者の間では、ダース売りが普通で、12個で銀貨5枚と中々安い値段となっている。
次によく売れるのが【迷わずの鈴】と呼ばれるアイテムで、鉄鉱石で作るアイテムだそうだ。
それを使うと周囲にある見えないアイテムを探すことが出来るのだとか。
一回使いっきりのアイテムで、使うとこちらも風化して無くなるが、どこにアイテムがあるか分からないダンジョンだったり、鉱山で働く方々が買うらしい。
最近は粗悪品が多く出ていて、それでいい宝石などが手に入りにくいのだと商業ギルドマスターであるレイルさんと冒険者ギルドマスターのドナンさんが愚痴を零していた。
しかし我が屋のお店は私が住んでお店を繁盛もしている【ガーネット】である。
この【迷わずの鈴】をギルドに卸して欲しいと言う依頼が店に来て、お父様は「定期収入があるのは良い事だ」と引き受けてくれた。
無論ギルドから取りに来てくれるので問題はない。
鈴に付ける糸もあるそうで、そちらは私ではアイテムを出せない為、装飾ギルドで購入して作ってくれているお父様。
商業ギルド、冒険者ギルドがお父様から買っていることを聞きつけた鉱石ギルドも加わり、忙しくなったのは言うまでもない。
店で販売を主に行うのは私とセンジュ君だ。
アイテムの説明は要らないのだが、一々私に話をして長引かせようとするとセンジュ君が来て「俺が代わります」と言ってくれるし、時にシツコイ客にはタキの叩きが炸裂する。
賑やかでも楽しい生活が始まっている頃、エンジュさんがついに【命の花びら】を作る事に成功した。
これでお父様だけに集中していた依頼も、二人で作れるようになりホッと一安心だ。
また、【ギルドが頼んでいるお店】と言うのは箔が付く様で、依頼してくる魔道具もそれなりに多い。
彫金師が二人もいるし、付与師は一人だが、今の所何とかやっていけている。
お父様とエンジュさんは「もう一人付与師が欲しいが難しい」と言っており、センジュ君は苦笑いしつつ「俺なら大丈夫ですよ」と口にして今日も忙しそうだ。
無論『体感温度が下がる付与』のついたアクセサリーはお父様が復活したことで個数を10個増やして【一日20個限定】とした為、貴族たちもホッとした様でそちらも毎回20個売れている。
良いことずくめである!
「そう言えば、年末にお城で開かれる魔道具のコンテストには出ないんですか?」
「うーん、付与アイテムが我が家だと『体感温度が下がる付与』でなら出せそうだが、綺麗な見た目じゃないと作れないんだ」
「そうですね、姉上に作った物よりいい物を作らないと行けなくなりますよね」
「それに、最低三つまでアイテムを作って持って行くんだが、『体感温度が下がる付与』だけではなぁ」
「なるほど、私はどんな付与があるとか分からないので、此方に『あったらいいな。こんなアイテム』と思ってノートを作ったので、見て貰って良いです?」
そう言って満を持して、私が疑問に思っていたり、こう言うのが欲しいなと言うアイテムを書いているノートを手渡すと、三人はノートを見て「「「ほう?」」」と口にしている。
この世界にないレインコートや保温効果のある水筒等、多岐にわたるのだがお父様たちは「レインコートは確かに他の物にも使えそうだ」と言って取り入れる事になり、水筒に関しても「構想を練れば鉱石ギルドや冒険者ギルドでも売れる」と話したりと盛り上がっていた。
コンテストに出すのだから、何も綺麗な物でなければならないと言う理由はないらしい。
如何に魔道具師たちと呼ばれる彫金師と付与師たちが、生活に根付いたアイテムを作るかが一番大事なのだとか。
結果として『体感温度が下がる付与』『レインコート』『水筒』の三つを最低でも作って出してみようと言う事になった。
ただ、特殊な布を使う為こちらは裁縫ギルドにお願いするらしい。
発案者は此方なので横から持って行く真似はしないらしい。
水筒に関しては私が【お取り寄せ】で用意した水筒を色々見て勉強してくれるらしく、レインコートの為に発案者の私と付き添いのエンジュさんとで裁縫ギルドへと向かった。
裁縫ギルドでは色々な布地が置いてあり、裁縫ギルドマスターに話をした所、「中々面白い視点で考えましたね!」と言われ、撥水加工までは考え付かなかったらしい。
「無論布地は用意するが、レインコートを作るのは裁縫ギルドにお願いして欲しい」「契約を結んで欲しい」と懇願され、エンジュさんの名で【レインコートや撥水した布を使う全ての許可】で契約を行うと、注文が来た際にはうちが7割、裁縫ギルドが3割の純利益を貰う契約となった。
また、裁縫針が最近頼んでいた場所で良い品が作れないそうで、「プラチナでこういうのを作って欲しい」と裁縫針の注文も受ける。
これで【商業ギルド】【冒険者ギルド】【鉱石ギルド】【裁縫ギルド】御用達となったのだ。
お陰で「ギルドが安心して頼めるだけの腕があるお店」としての名を手に入れることが出来た。
流石お父様たちである!
そうだとも、家の男性陣は凄いんだからな!!
「水筒は二重になっていて、その二重の中に真空になる付与をすれば行けますね」
「真空付与か……」
「それだと食べ物も真空に出来ます?」
「え? ええ、出来ない事は無いですよ?」
「ふんふん」
「どうしたんですか?」
「いえ、それだと魔物討伐隊とか、鉱石ギルドとか、冒険者がお湯を掛けるだけで温かいご飯が食べられそうだなと思いまして」
「本当か!?」
そう声をかけてきたのはエンジュさん。
何でも魔物討伐隊の時は干し肉に水やワインしか飲めず苦労したのだとか。
温かいものが食べられるだけでも士気が違うと熱弁しており、それなら作って見ましょうか。と試作する事となった。
料理関係は私が手掛ける事になり、まず試作と言う事でスープから作り始めた。
コンソメの野菜たっぷりスープだ。
真空での作り方はチラリと昔テレビで見たので、なんとなく理解はしている。
周囲の面だけを真空にするのなら、ゆでて味付けした肉もなんとか行ける。
甘いサツマイモやカボチャだって出来るのだ。
ただ、真空にするには銀鉱石を凄く薄くして手で千切れるようにしなくてはならない。
その事を伝えるとエンジュさんが其方は手掛けることになった。
薄さは私が【お取り寄せ】した物を見ながら作ってくれる様で、今必死に作ってくれている。
お肉もあった方が力も出るかなと思い豚の角煮も作ると、少しずつの量で作った為、お試しと言う事で、出来上がった薄い銀紙の中に、先ずはカボチャの煮付けやサツマイモの煮付けを入れて真空付与をして貰う。
こちらは薄めの付与をお願いし、中身がカスカスにならない程度に調整して貰いながら何度も作り直してはやり直し、三日ほどかけて「持って行っても問題はない」くらいの袋入りの携帯おかずが出来上がった。日数は鑑定したところ、一週間は持つようだ。
スープの真空は、鉄の容器を用意して貰い、そこにスープを入れて蓋を閉め、シッカリと中を真空して貰った。
振るとカラカラと音が鳴り、開けてみると真四角のあちらの世界でよく見たスープの形をした物が出来ていて、それをお湯で溶かして皆で飲むと、確かに味がシッカリついてるスープが完成した。
「このスープは簡単に出来ますし、袋さえ出来てしまえば10個入りとか50個入りとかで作れますね」
「そうですね、ただこれは特許を取って、作れる所に回した方が良さそうです」
「となると調理ギルドか」
「まぁ、最初はうちでやりましょうか。でもエンジュさんどうです? こういうのがあったら遠征もきつくなくなります?」
「ああ、全く違う。お湯を掛ければ温かい野菜たっぷりスープが食べられて、袋を開ければ他の食べ物が食べられるとなると……士気がグッとあがるだろうな」
「余りアレコレは作れないのが痛手ですね」
「レインコートに使う撥水の特許もこの前取ったばかりだが、真空付与も特許を取って置こう」
こうしてガーネットでは更に【真空付与】【撥水付与】【体感温度が下がる付与】の特許を取り、全部で特許が三つに増えた。
一人で全てを回すのは大変だろうと考えているからこその特許だが、これが後に大当たりすることになるのは、もう少し後の話――。
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