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ネクロダンジョンでアイ スクリーム(2)

 タヌポンが言った発言によりコメントが一時停止した。

 そして、第一のコメントをしたのはあの人だ。


[シュガー]:【¥5000】今北産業、状況は?


:九十層ボスモンスター挑む

:タヌポンソウルイー〇ー疑惑

:アイスクリームを作ろう

:の三本でお送りしております

:改めて見てもわけわからん

:そして安定の投げ銭www

:しかもタイミング完璧すぎるwww


「あっ、シュガーさん! 投げ銭ありがとうございます! これからアイスクリーム作る所なので間に合って良かったです」


:九十層ボスモンスターに挑む前の会話か? これが?


[シュガー]:【¥5000】……ま?


:シュガーさんが語尾忘れてるwww

:でも、投げ銭は忘れない

:流石シュガーニキネキ


「さて、そろそろ無視されすぎてブチギレてるソウルエンペラーを相手しますか」


 タヌポンが視線を上にあげるとブンブンと手を振り回し、こちらへ攻撃をしようとしている。

 だが、ガキンガキンと何かに阻まれてこちらまで届かない。


:ソウルエンペラー顔真っ赤で草

:顔は青白いけどな?

:誰が上手いこと言えとwww

:哀れだなソウルエンペラー

:っていうかどうなってんのこれ?


「鉄壁の範囲広げて防御してるだけだ。防御を上げるポーション飲んでさらに耐久力がとてつもなく上がってるから出来る芸当だけど」


:鬼に金棒とは正にこれ

:ただでさえ固い奴にそんなもん与えんなwww

:DEFの値どうなってんの今?

:気になりすぎて夜しか眠れない

:眠れとるやんけ!


 コメントが緩い空気に包まれる中、ソウルエンペラーが息を吸い込むような動作をとる。


「おっ、タイミングバッチリ!」


 タヌポンは両手に持ったデモコを上に掲げる。


「バッチコーイ!」


:いや草

:野球部?

:なんかどっかで見たことある気がする……

:絵面が某ジ〇リのしし〇み様なんだけど?

:それだ!

:完全一致www

:ししが〇様お返し申~す!

:ちょっ、腹痛いからやめてwww

:タヌポンがそれやってると余計に笑えてくる

:タヌタカさんやんけ

:たが多い!

:〇ックルに蹴り入れられてそうな名前だな?


 フゥーと吹いた冷気がこちらに降り注ぐ。

 パキパキとデモコが凍る様子が映し出される。


「これを回してっ……と」


 指先でクルクルとデモコを回してシェイクする。


:バスケでよく見るやるやつだ

:意外とタヌポン器用で草

:何故にそんなにうまいん?

:練習した?


「前にピザを作る練習をしてたらいつの間にか出来るようになったんだよな。まさかこのタイミングで役に立つとは思わなかったけど」


:やっぱ料理関連かwww

:知ってた

:だと思ったよ

:あれ? タヌポン何で冷気の中動けてるん?

:そう言えば……


「あぁ、それは鉄壁のオーラで層を作って、凍ったらその層を解除して新しい層を前に押し出すっていうのを繰り返せば凍らずに済むんだ」


:ねぇ、これが本当に最弱スキルか?

:ティアランク上がりまくりだろこれwww

:万能スキル鉄壁君

:注意、タヌポンだからです

:注意書きが限定的過ぎwww


「練習すればこれくらいは出来るように……ってそろそろブレスが終わるな」


 ブレスが効かないと判断すると再び攻撃をしようと腕を振り回して襲い掛かってくる。


「腕は引っ込めてっと……さてさて中身はどんな具合かな~♪」


:もう開けるんかwww

:待ちきれない子供みたい

:でも、分かるわ~

:子供の時途中で開けて確認してた

:懐かしい……あの頃はワクワクしてたな……

:今は社会の歯車として動くだけ……

:社畜ニキネキは強く生きて


 中は少しシャリシャリとしてる水が多いシャーベット状

 でまだまだと言った様子だった。

 タヌポンは首を傾げる。


「う~ん、微量とはいえ外からの冷気が伝わってるから食材系を入れる時は注意が必要かな。でも、それはクッション材で工夫すれば何とかなるかも、熱と衝撃も試したいけど物理系の攻撃は威力が低いみたいだし、熱はそもそもここにないしな。後でそこは検証して問題点はまとめて書いて提出しようか」


:レビュー系配信だっけかこの配信?

:意外と的確に分析してて草

:タヌポン真面目に考察とか出来たんか

:タヌポン自体は本来は真面目な人だからな?

:普段モンスター料理ばっかり食ってるから忘れがち

:ダンジョンは命かける場所言ってるのはまともか?

:まぁ……それはそれってことで

:フォローしきれてへんやんけwww


「……それにまだ凍り切らないか。あと数回はブレスが欲しい所だな」


:数回はブレスが欲しいwww

:絶対に調理じゃ出てこない会話

:というか、そもそもこんな所で料理するなって話

:↑が正論過ぎてぐぅの音も出ねぇ

:ぐぅ

:言えたじゃねぇか


 タヌポンはもう一度蓋を閉め、両手に持つ。


「とりあえず、攻撃を受け続けて待つか」


 再び、両手に持ったデモコを高く上げてソウルエンペラーの攻撃を一心に受ける。

 ガキガキとデモコに当たるが、ビクともする様子がない。


「耐久性は九十層ボスモンスターの攻撃にも耐えるっと」


:性能がヤバい

:デモコ意外と優秀で笑った

:ほとんどのモンスターに攻撃受けても大丈夫

:百人乗っても大丈夫そう

:これの素材で防具作ったら普通に耐久性いんじゃね?


「使ったらも何も、前に見た俺の防具にもこれ使われてるぞ? 自分で狩ったモンスターだから安くしてもらったんだ」


:えっあのダサい防具にそれを!?

:あのクソださ防具にそんな性能が!?

:あのさび付いたセンス臭漂う防具にもったいない!?


「そろそろやめないと俺泣くぞ!?」


 しばらくはブレスが来たら上へ掲げ、回して中身をシェイクして様子を見る。

 そして、数回のブレスが……。


「よし、完成だ!」


 デモコの中は冷気が漂い、出来上がったバニラアイスがキラキラと輝いてる。


:完成したっぽいな

:でも、この後どうするん?

:流石に一旦外に出てからだよな

:これ持った状態で戦うわけにはいかないしな


 タヌポンの視点がデモコを一点に見つめたまま停止する。


:どしたん?

:フリーズした?

:冷気受けたから?

:もう親父ギャグはノーセンキュー

:本当にどうしたの?


 視点がドローンカメラに切り替わり、タヌポンの全体の様子が映し出される。

 タヌポンはデモコがオーラに包まれた状態で、大きく振りかぶっていた。

 その向いている方角にはソウルエンペラーが立っている。


:おいおいおい!?

:まさか!?

:冗談ですよね!?


「確か投げる時はコンがこう言えって言ってたっけか? 〇野~野球しようぜ~お前ボール……なっ!!」


 刹那、タヌポンの腕がブレたと錯覚するほど振り下ろされ、空気が切るような音が響き渡る。

 デビコが直線を描きながら真っ直ぐ飛んでいく。


「アァァァ!!?」


 デビコがソウルエンペラーに触れた瞬間、けたたましい絶叫をあげながら霊体が弾け飛び周りにキラキラと光る粒が舞う。


 それが何とか体を戻そうと一か所に集まるが、ダメージがデカすぎて回復されるず、やがてコトンと石のような物が落ちる。


:ソウルエンペラーさん可哀想

:仮にも九十層のボスモンスターなのに……

:九十層ボスモンスターを一撃ってどんな武器使った?

:答え、金属の球

:絶対信じて貰えないな

:サスペンスドラマ以外で絶対見ないだろその死因

:そして、利用するだけ利用してポイってwww

:しかも最後の締めが明らかに煽ってる

:コンちゃん……お兄さんに何吹き込んでるの?

:無知な兄を騙すなwww

:オタクじゃない人には伝わりにくいネタやから

:しかも本家は言ってないし


 霊体を貫通したデビコは壁にめり込む。

 パラパラとダンジョンの壁から砕けた欠片が落ちてくる。


「ストライクっと」


 グッと拳を握り締め、嬉しそうにガッツポーズをするタヌポンだった。

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