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僕のシュール・ナンセンス・SF・異世界小説作品集

このおふだ 剥がすべからず 剥がせば災難が降りかかる

作者: Q輔

 通信販売で購入した防犯用のおふだが届いた。


 空き巣に入られるのは、これで三度目。従来の防犯対策では犯人とのいたちごっこ。俺は一策を講じた。


 男性向け雑誌の裏表紙にある開運・魔除けグッツに小さく載っていた防犯用のおふたを購入をしたのだ。


「このおふだ 剥がすべからず 剥がせば災難が降りかかる」


 郵送物の包装を破くと、表にそうでかでかと書かれている。


 俺は、これを自宅の玄関のドアとドア枠の境目に貼る。お札を剥がさねば犯人は中には入れない。


 流石に「剥がせば災難が降りかかる」と書かれたおふだを剥がす者はいまい。これは犯人との心理戦だ。


 早速、玄関ドアの前に立ち、おふだをを貼りにかかる。おふだの裏を見ると「この両面テープを剥がして使用して下さい」とある。


 説明書きを読んで、ふと、疑問。


 この両面テープを剥がすという行為は、ある意味おふだを剥がすという行為に該当するのではないか?


 思わぬ災難が降りかかってはたまらない。俺は販売元に電話で問い合わせをした。


「およそ該当しないと思われます」


 分かったような分からんような販売元の返事。「災い、起きないね? 要するに大丈夫ね?」と何度も念押しをして、俺はおふだを玄関に貼った。


 貼ったおふだを眺めて、ふと、後悔。


 若干斜めなのがすげー気になる。もっと慎重に真っ直ぐに貼ればよかった。俺は販売元に再度問い合わせをした。


「一度貼ったおふだを、剥がすのではなく、ほんの少しずらすのはいいよね?」


「グローバルな視点で見れば、許容範囲内かと思われます」


 煮え切らない返事だなあもう。「大丈夫ね? 大丈夫なのね?」と、俺はおふだを少しだけずらした。


 直したおふだをあらためて眺めて、げげ、重大なことに気付く。パニック。


 俺は販売元に、三たび問い合わせをする。


「おふだを剥がさないと家に入れないぞ! どうしてくれるコノヤロー!」


 怒り狂った俺は、即刻販売元の社員を自宅に呼び出し、玄関先で滾々と説教を続けた。


「何度でも言う。これはインチキだ! 何が『剥がせば災難が降りかかる』だ! こんなおふだ、何の役にも立ちはしない!」


 俺の長い説教に辟易した販売元の社員は、おもむろに手持ちのおふだの両面テープを剥がすと、


「そうですかあ? 何かと便利な使い道はありますよ。例えばこんなふうに」


 そう言って、おふだを俺の口にベタリと貼り付けた。


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[一言] もう一生喋れないねぇ。
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