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 気が付いたら水の中。意味が分からない。

 しかも落ちた場所も通勤経路となんら関係のないよくわからない場所。




 床に脚がようやくついた絵麻は、少しあたりを見回した。赤い絨毯の敷かれた図書館のような場所だった。様々な本で本棚が埋め尽くされている。ただ、絵麻がよく知っている図書館の雰囲気とは違う。本棚も木製で、本もよく知る製本の形ではない気がする。


「ここ、どこ」

 思わずその言葉が零れた。

「ここは、マナテラ王国の王城だ」

 マントの男がそう言った。

「マナテラ王国……?」


 絵麻には聞いたことのない国名で首を傾げる。世界地図を描いてみたがそんな国はなかったはずだ。


「え、待って。そもそも日本じゃないことが意味わからないんだけど」

「二ホン?」

 男は少し考えた様子だったが首を振る。

「この世界にそんな名前の国はない」

「はい?ないわけないじゃない、だって」

「……、異世界から来たのではないか?」

 相手の男はごく普通にそう言った。

「いや、異世界って」

 

 ふと小説好きの友人の言葉を思い出した。

「最近読んでるのは、異世界召喚とか異世界転生とかかな。なかなかおもしろいんだよ。異世界行って働いたり、チートで伸し上がったり、恋愛したり色々あるんだけどさ」


(いやいや、まさかね)


 そう思いながら首を振るものの、いやな予感が拭えない。



「その服装も、その髪型もこのあたりではありえない」

 マントの男は絵麻を見下ろしてそう言った。今の絵麻の格好は、会社帰りということもあり、ストライプの長袖シャツにパンツスーツという特に珍しくもない恰好をしていた。髪だって、黒髪のボブというぐらいで、大した髪型ではない。


 ただ自分でも見下ろして気がついたが、先ほどの謎の水のせいで服が透けている。絵麻が少し顔を赤らめるとそれに気づいたように、男は少し迷った末、自分の着ていた黒いマントを絵麻の肩にかけた。


「あ、ありがとう」

 男がマントを取ると長い光沢のある白髪がサラサラと揺れた。絵麻の目には妙に印象的な光景だった。

 

「この国で女性はトラウザーズを履くことは基本的にないし、髪を短くすることもない」

 日本だけじゃなく今時そんな国ある?と思ったが、正直絵麻から見ればこの男の格好のほうが怪しい。そして何より、床に落下しなかった絵麻は、空中に浮いていた。

 日本ではないと言うことも、ここが異世界だと言うことも、否定する要素が見つけられず困る。


「あなたは誰?この国の人?」

 絵麻は自分のことをひとまず置いておき、情報収集に努めることにした。彼女のその言葉に男は少し返答に困ったようだった。

「俺はこの国で世話になっているだけで、この国の民ではない」

「そうなの……」

 


 とりあえずこの場所が自分の知らない場所だと言うことは理解できた。だが、ふと気がつく。

「あれ?でも言葉通じてる?」

「俺には貴女がこの国の公用語を流暢に話しているように聞こえる」

「え?そうなの?私には日本語にしか聞こえないんだけど」

「……、なんらかの力が働いているんだろう」

 男はブツブツと何かを考えながらしゃべっているようだが、絵麻に話しているわけじゃなさそうなので、絵麻は勝手に辺りを見て回った。

 

 男はここが王城だと言ったが、絵麻から見える範囲は全て本棚だった。美しい光沢の手摺の階段が中央を走り、さらにその上も本棚で埋め尽くされており圧巻だ。

 赤い絨毯は絵麻のヒールの音を消し去り、歩いていても音は響かない。 


「外国みたい」

 異世界と言うよりはヨーロッパのどこかだろうか?と思う。そう言われれば異世界よりずっと納得できそうだ。ただ、一瞬で場所を移動したことに変わりはなく、それは疑問のままだ。

「早く帰らなきゃ」


 キリのいいところで仕事は終わらせて来たものの、終わりには程遠い。明後日には会議も予定しており、会議資料はまだゼロだ。一日あればいけるだろうと思っていたが、まさかこんな事態になるなんて予想はしていない。

 兎にも角にも早く帰るしかない。


 絵麻がふらふらと歩いていると後ろからさっきの白髪の男が追いかけて来た。

「勝手に行くな。まず誰か王族に挨拶を」

 絵麻は男の言葉を無視してしゃべりだした。

「私早く帰らなきゃいけないの。どうやって帰ったらいいかわかる?きっと何か魔法とか、道具とかあるのよね?」

 絵麻の言葉に男は眉を顰めた。少し頭を掻き長い髪を鬱陶しそうに払う。

 

「元の世界に戻るのはそんな簡単じゃない」


 男はそうはっきりと口にした。絵麻は理解が出来ず同じように眉を寄せた。

「どうして?結構簡単に来たような気がするんだけど。普通に考えて、逆もまた然り、じゃないの?」

 絵麻の言葉に男は首を横に振った。


「世界間の移動は本来基本的に許されない。なんらかの大きな力が働いて、貴女はここに来た」

「大きな力?」

「あぁ、それが何によるものかはわからないが、無理矢理世界の壁を開けて貴女を通した。簡単に開くものでもないし、開けられるものでもない」


 男の言葉に絵麻はどう反応していいかわからなかったが、とりあえず自分の左頬をつねってみた。

「痛い。いや、痛覚のある夢かもしれない」

 我ながら往生際が悪い気がしたが、俄に信じられないし、簡単に戻ることができないかもしれないと言うことをどう受け止めればいいかわからなかった。


 反応のなくなった絵麻に、男は声をかける。

「この国はまだ安全な場所だ。ここの王族に助けて貰うのがいいだろう。まずは誰かに挨拶をして、事情を話すのが先決だ。俺では助けにならない」

 この国の者ではないと言っていたため、自分ではなくこの国を治める人に会った方がいいと言うことだろう。

「王族って偉い人でしょ?そんな簡単に会えるの?」

「国王陛下は難しいかもしれないが、第一王女殿下であれば」

 男はそう言うと歩き出した。着いてこいということだとわかり、絵麻はいつの間にか重たくなった足を無理矢理動かした。



 男は城内をよく知っているらしく、迷うことなく進んでいく。ちなみに絵麻はすでに道を覚えられず男についていく他ない。元の場所に戻れる気もしない。


 歩いていると何故か次第にバタバタと騒がしくなる。

「何かあったのか……?」

 男の呟きに絵麻は訳がわからず首を傾ける。


「ヴィザール様」

 廊下を歩いていたメイドのような格好をした女性が男に話しかける。男の名前はヴィザールと言うらしい。

「ハティーナ殿下に会いたいのだが」

「ハティーナ様は体調が悪く今どなたにもお会いできません」

「体調が悪い?今朝会ったときはいつも通りだったが」

「現在伏せられておりますので」

 侍女の言葉に男は眉を寄せ、女性に詰め寄る。

「私が見なくても大丈夫なのか?」

 侍女は少し表情を変えた気がしたが、すぐに表情を元に戻す。

「必要ございません」

「そうか……。王女殿下に、異世界人が現れたと伝えて欲しい。私では対応できない」

「わかりました。お伝えしておきますが、殿下はしばらく対応できないですので、陛下にお目通りした方が良いと思います」

「……、わかった」



 ヴィザールは侍女との会話を終わらせるとスタスタと歩いて行く。着いて行くことしかできない絵麻はヴィザールの後を追う。


 着いた場所は、通って来た城内の中で最も立派な扉。先ほどの会話から想像はできるが、絵麻の体に緊張が走る。


「こ、これから会うのって」

 後ろからついて来ていた絵麻をヴィザールがようやく振り返った。

「名前は?」

「え?あ、石峰絵麻、です」

「イシミネエマ」

「石峰が苗字で、絵麻が名前。ねえ、今から会うのって」

「国王陛下だ。粗相のないように」


 やっぱりそうかー!


 わかっていたが展開が早い。私の夢説を捨て切れていないが、夢にしてはリアルすぎる。近くの柱に触れてみても、その手触りは細部まで感じる。


 そんな絵麻の心境とは裏腹にヴィザールは、さっさとその扉に向かって何かを言うと、大きな両開きの扉がゆっくりと開いて行く。

 中はまた赤い絨毯が敷かれていた。その先には玉座と思われる椅子が鎮座しているが、空席だ。


 ヴィザールはそれを気にすることなく、中へと進んでいく。絵麻は恐る恐るその赤い絨毯に一歩を踏み出した。




 部屋の中央に進んだ後、ヴィザールは片膝を折り、床につき、頭を下げた姿勢を取る。よくわからなかったが、絵麻も同じような姿勢を少し後ろで取ってみた。礼儀はどこでも重要だろう。

 しばらくすると誰かが入ってくる音がした。ただ頭を下げ続けているため姿はわからない。


「頭を上げよ」

 その声で絵麻はゆっくり前の様子を確認してから顔を上げた。ヴィザールもあげているためおそらく問題ないだろうとホッとする。

 

 玉座に座るのは黄金の髪に赤い瞳の日に焼けた肌の壮年だった。快活そうなその男性は、絵麻を見下ろして少し眉を寄せた後、ヴィザールに目を向けた。


「ヴィザール、急ぎの用とは?」

「異世界人が現れました。彼女は突然、水と共に現れました。どういうわけか言葉は通じますが、こことは違う文明の世界から来たようです」

 ヴィザールは少し後ろを振り返り絵麻を見る。小声で「名乗れ」と言われて、慌てて名前を言う。

「い、石峰絵麻です」

「遥か昔に数回異世界からの訪れは聞くが、害がないか確かめさせて貰う。ヴィザール、しばらく其方が面倒をみてくれないか」

「しかし、私は」

「頼む。ハティーナの体調が優れないことは聞いているだろう?他に頼める者がいない。部屋の準備や侍女は付けるが、判断を其方に任せたい」


 ヴィザールは納得いかない顔をしていたが、最終的にはこの国の王の言葉に従ったようだった。

 すぐに立ち去ろうとした国王に向かって思わず絵麻は声をかけた。


「元の世界に戻る方法はないんでしょうか?!」


 ヴィザールに睨まれた気がするがそんなことを気にしている場合ではない。一刻も早く帰りたいのに。

「私にはわからないが、ヴィザールの方がよっぽど詳しいであろう。彼に聞いてみるが良い」

 そう言うと国王はそのまま部屋から出ていった。ここは一時的に謁見をするためだけの部屋なのだろう。

 


 部屋を出た途端盛大にため息を吐かれた。


 私だって嫌ですけど?って言うか帰りたいんですけど?!


 怒り出したい気分になりながら、なんとか思い留まる。これからたぶんおそらくこの人に世話にならざるを得ない状況だ。国王が彼の方が詳しいと言うからには、その通りなのだろう。しかし、その彼が簡単なことではないと言ったのだ。


 ヴィザールはまた無言で歩き出したため、絵麻は慌てて着いて行くしかなかった。少し歩く速度が速くなったのは、彼が苛ついているからかもしれないと思った。


(まぁ、不満そうだったもんね)



 しばらく歩くとヴィザールが少し薄暗い廊下で立ち止まった。

「ここは私の部屋だ」

 そう言って扉を開けた。ここで世話になっているという話だったが、客間なのだろうか。とても豪奢な作りの部屋だった。ただ、どういう訳か入り口にはいくつかの荷物が積まれていた。

「そのうち侍女が案内に来るだろうから、入って待っていればいい」


 入ってすぐの部屋には、ソファとローテーブルが置かれていた。座ることを促され、絵麻は大人しくソファに腰掛けることにした。

(嫌々でもちゃんとしてくれるのね)


 部屋を無意識のうちに見渡したが、机にも物がなく、本棚らしいものも中身が空っぽだった。絵麻が見ていたことに気がついたのか、ヴィザールは先に口を開いた。


「3日後にはこの国を出るつもりだったんだ」

「あ、もしかして、引越しの荷造り」

 扉の前に置かれていた荷物はそう言うことだったのだ。絵麻の言葉にヴィザールが頷く。3日後に国を出るつもりなのに、面倒を押し付けられたらそれは確かに絵麻でも嫌だ。

「それは、大変申し訳ありません……」

「第一王女の体調が戻ればすぐに交代できるとは思う。ひとまず王女に伝えるためにも、情報を整理しておきたい」

 そう言ってヴィザールは机の方へ移動して、紙と羽ペンのような物を手にした。そこからは、絵麻に対する質問責めとなった。



 どんな世界、どんな国から来たのか、どんな文明か、どんな食事や習慣か、結婚や離婚、葬式にいたるまで、様々なことを聞かれ、絵麻は答えるのに疲れた。


 どういうわけか結婚指輪の話をしたら顔を顰められた。

「指輪?なんのために?」

「え?えーっと、外国の文化だからよく知らないけど、なんか円の形が永遠を意味するからとかそんな感じだったような?」

 絵麻がわりと真面目に答えて行くと、どんどん色んな質問をされる。

 

「その勝手に開く扉というのはどう言う仕組みなんだ?」

「そこまでは私にはわからないわよ!」

 途中で話が脱線して自動ドアの話になったのだが、仕組みを聞かれても困る。そんな細かいことまで説明できない。


 

 正直そんな内容王女に伝える必要ある?というような事柄もあったが、絵麻は素直に答えて置いた。そして、いい加減に絵麻が質問する側になりたくなった。


「私も質問したいんだけど」

 そう言うとキリのいいところまで書けたのか、ヴィザールが顔を上げた。

「なんだ」

「あなたは何者なの?」


 この国に世話になっているとは言っていたし、国王からの信頼も厚そうなため、特に何か疑ったりはしなかったが、一体どう言う身分の人なのか、どう言う仕事の人なのか、絵麻には皆目見当もつかない。


「私は、魔法士だ」


 その答えは絵麻には一言で納得できるような答えではなかった。

「まほう……」

「貴女の世界には、さきほどの話からして魔法は存在しないようだな」

「そうよ」


 魔法。めっちゃファンタジー入ってきたけど、大丈夫これ?夢?まだ私の見てる夢説ある?まぁ確かに異世界って言われた時点で、イコール魔法があると自分でも思ったけど。


 妙な寒気がして絵麻は小さくくしゃみをした。そう言えばまだ服は濡れたままだ。

「すまない。関わらないなら教えない方がいいと思ってそのままにした」


 ヴィザールは羽ペンを置くと、右の手のひらを絵麻に向ける。ピンと伸ばされた長い指を眺めていると、突然チカチカと緑の閃光が小さく走り、絵麻に向かって温かい突風が吹いた。同時に絵麻の濡れていた服や髪が一瞬で乾いた。


 驚きに絵麻は声を出すこともできなかった。一瞬で乾いた事実をどう受け止めていいかわからない。


「見た方が説明するよりいいと思ったが」

 絵麻の反応がなかったせいか、ヴィザールがなんとも言えない表情をして見返してきた。

「あ、いや、思った以上のファンタジーでした」

 なんとも間抜けな返事を返してしまう。納得しているようなしていないような、簡単にはこれが現実だとは絵麻の頭は処理できない。出来のいい映画の一部を見ているかのようだったが、同時に自分の身に起きていることであるため、処理が追いつかない。


「魔法士としての力や知識を買われて、この国の王族の教師をしている。それが今の私の立場だ」

 ヴィザールの答えは絵麻の「何者なの?」への問いの答えなのだろう。まだ頭は整理できていなかったが、疑問に思ったことを口に出す。


「あなた私より若いように見えるけど、そんな風に認められるような魔法士なの?」

 マントを頭から被っていたヴィザールは年齢不詳だったが、顔立ちを見る限り絵麻より年下で、20代前半ぐらいに見えた。絵麻は話をしながら、借りていたマントを返し、ヴィザールもそのまま受け取る。


「貴女が何歳かは知らないが、魔法士は実年齢より若く見える傾向がある。それに魔法力や知識は年齢に左右されるものではない。実力を見た上で判断される」

「ふぅん。そうなんだ。いいねそれ」


 実年齢より若く見えるなんて、27歳になった絵麻には羨ましい限りだ。完全に実力主義というのも好ましい。絵麻の会社ではまだそんな風にはなっていないし、女性だというただ一点のみで見下されることだってまだまだある。


「ところで、名前はヴィザールさんでいいの?」

 名前を聞かれたが、名乗ってもらった覚えがなくそう尋ねると、ヴィザールは頷いた。

「そう呼んでくれればいい。敬称はいらない」

「ヴィザール、でいいの?」

「あぁ、それでいい」


 話が一区切りしたところで、侍女が部屋の扉をノックし、中に入ってきた。絵麻にはヴィザールから程近い客間を与えられ、侍女が1人付くということだった。


 案内された部屋はヴィザールの部屋の一つ挟んで右隣の部屋だった。間の部屋も特に誰かが使用しているわけではなく、念のため開けておくレベルのものらしい。

 



「疲れたのでもう寝ても?」

 案内してくれた侍女にそう言うと、絵麻は部屋に1人になった。


 ヴィザールと同じような部屋の作りになっており、この部屋で全てが完結するようだ。寝室に入り目の前の大きなベッドに倒れ込む。どっと疲れが襲ってきた気がして、絵麻は思わず目を閉じた。

 

 そしてそのまま気を失うように眠りについた。



***



 目覚めるとそこは真っ暗闇だった。ぼんやりとしながら絵麻は身を起こした。いつもと違う手触りの布団や匂いを感じながらも、目が暗闇に慣れてくるのを待った。


 次第に目が慣れて来て見えた景色は、期待したものとは違っていた。ベッドも、壁も、窓も、床も、それは絵麻の期待した、自身の部屋ではなかった。

 夢なら覚めて欲しいと、平常心を装いながらいたがそれも限界だった。


「……、やっぱり夢じゃないんだ」


 口にしてしまうと感情が一気に溢れ出し、同時に涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。一体いつぶりにこんなに泣いただろうと思うほど、絵麻は泣いた。


 どんなに大人になったところで、1人になることは怖い。新しい職場、新しい環境、新しい人間関係、いつだって1人になる不安を心のどこかで感じながら過ごしていた。寂しくなんてないと言い聞かせても、不安が過ぎる。


 この世界では完全に、絵麻は1人になった。

 どんな知り合いもいない。以前の環境もなく、切り離された世界。



「こんな風に1人になるとは、誰も思わないよね」

 乾いた笑い声が寝室に響く。


 身体的にも精神的にも疲れて眠たいと思っていたはずなのに、絵麻の頭はすっかり意識が戻ってしまった。戻ってきた後に来るのは、ただの大きな不安だけ。最悪の事態しか思い浮かべることができず、絵麻は強く目を閉じた。


 カーテンの隙間から眩しい日差しが差し込んだことに気づいた時には、絵麻はすっかりこれからのことへの不安と恐怖に心を支配されていた。

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