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サーディグとアーキル

過去です。


「サーディグは結婚しないのか?」

 アーキルは素朴な疑問を投げかけた。サーディグはもう30代だ。周りの魔法士はなんだかんだ、結婚したりして家族を持っている。魔塔に所属し続ける人もいれば、どこかの国の専属になる者もいた。

「結婚かい?そりゃ、したい人がいればするけど、今はべつにこれと言ってないなぁ」

「もしオレが邪魔なら……」

 アーキルは、サーディグが自分のせいで結婚できないのではないかと内心思っていた。こんなでかい子供を連れているのでは、女性は寄り付かない筈だ。


「アーキルは、結婚は何のためにすると思う?」

「え?えっと、家族になるため?」

「まぁ、そうだね。アーキルは、私の家族だろう?」

 頷きたかったが、うまく頷くことができなかった。

「私とアーキルは家族だ。もし新しい家族を受け入れるなら、アーキルのことも相手が受け入れてくれないと困るし、それが1番大事なことだよ」

 そう言われて、アーキルはこっそり泣きたくなった。


 いつもサーディグは優しい。

 必要なときには叱ることもあるが、そう言う時はちゃんとアーキルがわかるように理由を説明してくれる。正直離れたくなかった。ずっと一緒にいたいと言う気持ちが大きかった。

 でも、その分サーディグにも幸せになって欲しかった。自分がいることでサーディグが幸せになれないなら、離れなきゃ行けないと心のどこかで考えていた。


「オレ、一緒にいていいの?」

「当たり前だ」

 俯いたアーキルに、サーディグが笑う。

「こっちに、おいで」

 そう言ってサーディグは手を広げてくれる。アーキルはたまらずその胸に飛びついた。温かい温もりに安心する。サーディグがアーキルに与えてくれたものはとても大きい。

「アーキル、もし結婚したいと思う人が現れたら、よく相手を見て、大事にしてあげるんだよ」


 サーディグは結局、最期まで結婚せず、ずっとアーキルを心配していた。自分の呪いと向き合えない彼をどうしたら前向きにできるのかを常に考えていた。そして、何よりアーキルの魔法への執着を見誤った自分を後悔していた。


「アーキル、不甲斐ない先輩で、父親で、すまなかった。でも、全部を諦めないでくれ。きっと、希望はいつか来る。一緒に入れて楽しかったよ。ありがとう」


 それがサーディグの最後の言葉だった。

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