絵麻の呪い
絵麻の呪いが気になる方は、どうぞ。
彼女も呪いはかけられています。
この世界には「祝福と呪いの禁書」と呼ばれる本がある。どんなに壊そうとしても、どんなに燃やそうとしても、どんなに破壊しようとしても、存在を消すことができない本だとされている。
稀代の魔女が恋破れた末に作った代物とも、気まぐれな魔法使いが遊び半分で作った物とも言われている本だ。
その本を手にし、読んだ者は、自分の願いを叶えることができる。それと引き替えに、その身に必ず呪いを受けると言われている。
そんな危うい存在であるこの本は、いつの時代も様々な国によって管理されて来た。一つの場所に留まることを知らないその本は、常にその身をどこかへ移す。
本の意思なのか、それとも他の意思なのか、それは誰にもわからない。
一人は、知りたかった魔法の知識と引き換えに、他者と異なる時間を歩むことになった。
一人は、慕う者を変えられる人の召還と引き換えに、命とも言える髪を失った。
一人は、愛しい人の時間を戻す事と引き換えに、自身が故郷に戻れる可能性を失った。
零ではなかったそれが、零になったことに、永遠に気づくことはない。
もし奇跡的に戻れる方法を見つけ、故郷への帰還を渇望したとしても、それが叶うことはないと言う、異世界へ渡った者への最悪の呪いが、彼女には掛けられている。
終




