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王家の命令

いつもお読みいただきありがとうございます

 オリヴィアが今いる場所は王家の所有する領地内にある高級宿である。

 陛下との密談後、3日かけて馬車に揺られ、この地へとやってきていた。

 オリヴィアたちへ王から言い渡された命令は、またもや囮になる事であったのだ。


「リヴィ、大丈夫?」

 そう心配そうに尋ねてきたのは、同じく再び囮になるよう言われた母親のリナである。


 王曰く、 “狙われているのは|ルタール女王の血を引く者《君たち》なのだから、目的の場所まで親玉を誘導するように” とのことで、移動の際にもフォード公爵家の家紋が堂々と入った煌びやかな馬車を使い、あからさまなアピールをしつつ、この地へと時間をかけて移動してきたのだ。


 事前の調査で分かっていることがある。

 大鼠はリナ達同様に、敵への対策を用意しているらしい。

 リナたちがドルーの力を打ち消す石を作り出すことに成功していると同じく、ドルー側もこちらに招待を見破れないようにする何かを手に入れたという話を聞いたのだ。

 ウェルトに侵入していたスパイたちから聞き出した情報なのだが、オリヴィアの祖母が優しく問いかけて得たのだという。

 彼らの記憶は綺麗に清掃済みだ。


 ということで、大鼠が姿を変えてもルトゥの力が作用せず判別できない可能性があるというので、オリヴィアたちが囮になり、とある目的地まで大鼠を誘導しなければならなくなったのだ。


 現在、彼らが居る地は王都から遠く離れ、貴族所有する領地を三つほど超えた場所だ。

 その地は一年中過ごしやすい気温と穏やかな気候をしており、貴族の間では避暑に使われることが多い。

 領主はフォード公爵が受け継いだのだが、山間にある湖のほとりの保養地には王家所有の白がある。

 別名、ホワイトキャッスルと通称 ホワイトと言い、湖の青と森の緑に白いお城が映えて、絵画のように美しい光景となっている。


 王家が疲れた日常からのんびりと体を休めるのに使う小規模の城であるが、内装はかなり凝っているのだとか。

 今回はその城へは向かわず、そこから湖の反対側に位置する湖畔沿いに建ち並ぶ最高級宿街へと一行は訪れていた。


 ここ一帯は王家同様に避暑や静養するためにこの地を訪れる高貴な貴族御用達の宿泊施設が密集している。


 その中でも最高のおもてなしとお値段の一番高いと称される宿にオリヴィアたちは泊まっていた。

なにせ彼女らは囮であるのだ。

 最低限の真面な警護と寝床はほしいと母親のリナが、陛下にお宿は一番高いところにと注文をつけていた。


「こんなもんよね。」

 リナがそう愚痴を零すと、

「Wのような、もっといい部屋を用意出来なかった不甲斐ない私を叱ってくれ!リナ!!」

 と、謎の懇願を父は母にする。

 そんな父を残念だと感じながら、オリヴィアが視線を向けている。

 その考えを持つのは彼女1人ではないようである。


「全く、リナのことになると必死なのは昔から変わりませんね。恥ずかしくないのですか?エドワード。」

と、その光景を目にしたハロルドがフォード公爵へ投げかけた。


「ハロルド、お前!!なぜだ、なぜ勝手について来た!?(お前は帰れ!!)」

 心の声を抑えながら、ワントーン低い声でフォード公爵は、ハロルドへと疑問をぶつける。


「何故って、私がリヴィの夫だからに決まっているでしょうが。」

 やれやれといった口調で、ハロルドはフォード公爵へ返事する。

すると、

「それはパートナーの居ない空白期間を失くすためのとりあえずの契約って話だろう!?婚約だとあのようなことが起こるから最初から結婚させてしまえと賢いリナがな…おい、おい、ハロルド!!気家要るのか、身の程をわきまえろ。俺はリヴィの父親だぞ!!この結婚をまだ許しておらんのだぞ。私の前でオリヴィアへ触れる事は許さんぞ!」

 フォード公爵は宣言する。


「酷いわ、お父様…私とハロルド様はツインレイなのよ!私達の結婚を許してくださらないなんて、あんまりだわ。」

瞳を潤ませながら娘に言われ、心が揺れる。


「クッ、絶対に許さないとは…言っていないから…だから、そう、ハロルド次第だ…」

 しどろもどろにそう言うと、フォード公爵は奥方の後ろへと移動し、気配を消した。


「はあ、皆聞いて、今後の事を話しあうわよ。」

 リナがこめかみを抑えて、そう言う。


「まずは、ここはWのようにドルーの力を防げる石が配置されていない。力を防ぐ仕組みはないわ。つまり、鼠が入り放題よ。そして、駆除し放題。私達は判別できるけれど、昨日陛下が教えてくれたように、ドルーは変装を見破れなくする何らかの道具を手に入れている。用心しなければいけないわ。私にはテッドが、リヴィにはカイルが警護を言い渡されたけれど…リヴィにはハロルドが着くべきな様ね。カイル、あなたは2人のサポートと他に連れてきている護衛たちの統括、それから本命のあぶり出しをお願いするわ。」

リナがそう言うと、カイルは頷いた。


「あいつはリナのいう事ならば、すんなり聞くんだよ…」

小さな声でフォード公爵が愚痴る。


 トントン。

 ドアをノックする音がする。


「早速誰か、お出ましの様だな。リナ、リヴィ、私がお前達を守るからな。」

 フォード公爵がそう言い終わるか終わらないかで、どなた?とリナが外へと声を掛けていた。



何とか繋げられました。


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