双子の従兄妹と従う者たち(サポメン)
お読みくださりましてありがとうございます
「ちょっと、これはいったい何事なの!?あのリヴィの格好は……本人の意志ではないわよね!?誰よ、いったい誰があれをやらせているの?」
声を掛けてきたのは、ハートフィル侯爵家の令嬢リコだ。
その後ろには、もの凄く怒りに満ちた顔をしたリコの双子の兄トムがいる。
「あれはなんだ!?誰がリヴィにあんなことをやらせている!?心底腹が立つぞ!誰がやらせているのだ?叩き切ってやる!」
「同感!いったい誰なの!?今日、私は、リヴィの今世紀最高峰と謳われる華麗なドレス姿が拝めると聞いて、それだけを楽しみに参加しているのよ!?そうじゃなければ来ないわ。あれは何??絶対に許せないわ!!」
相当怒っている。
「ごめん…兄さんだよ。ジョージ殿下がやらせているんだ。」
第二王子が申し訳なさそうに答えた。
双子が目を丸くして驚愕したあと、すぐに感情を切り替え、どす黒い怒りを纏った不穏な表情でチャールズへと詰め寄った。
「「その話、こっちで詳しく教えてもらえませんかね?チャールズ殿下。」」
双子が驚異のシンクロを見せつけた。
「あ……はい。」
チャールズがちっさい声で返事をする。
控え室でのジョージとの会話の内容をチャールズが、双子に話す。
すると、姉リコがワナワナと震え始めた。
「やられたわ…あんなにお祖父さまに抜け目のないようにと注意を受けていたのに…まさか、到着してすぐにリヴィを連れ去るだなんて。どうりで待合室で姿を見つけられなかったわけだわ。クソッ、王子なのに卑劣だわ。ああああああ、リヴィの最高のドレス姿を拝みたかったのにぃぃい!!」
「お前らさ、本当に姉さんの事が好きだよな~従姉妹なんだし、ちょっとそれは異常じゃないのか?」
つい、オリヴィアの弟ユーグが、実姉に対して気味悪いほど陶酔する双子に呆れ、つい話に加わってしまった。
すると、トムが鬼の形相を向け、凄い速さでユーグの間合いへ詰め寄った。
顔と顔の間の距離があと十センチという所でビタッと止まり、トムがこう言った。
「お前の姉さんほど、完璧な美の結晶といえる女性はこの世に存在しない!お前に目は付いていないのか?その目玉は本物か?お飾りなのか?おやおや、二つもついているではないか、おかしいな?取り出して調べてみるべきか。ん?本物かなのか。ならば脳の欠陥か?美を認識する部分が欠けているというのか?そうだ、そうに違いない。ほら、俺が確かめてやろう!頭を勝ち割って確認してやる。」
ヒィー――っと、これまでにない速さでユーグは、後ずさりした。
離れすぎて小指くらいの大きさになっている。
「流石、筋肉馬鹿だな。」
フンッと鼻息を1つ出すと、トムはリコの横へと戻っていった。
「この事態、私達が手を貸しましょう!もうこれ以上、彼女の心を傷付けさせたくないわ。絶対に私達が守って見せる。我がハートフィル侯爵家の名に懸けて!!さあ、貴方達もいくわよ!」
「ああ、俺達は今日、その為に来たのだから、当たり前だ!お前達もリヴィを全力でサポートする。そうだよな!?」
双子が荒々しく言い放つ。
「「「はい!!」」」
もの凄く迫力のある双子に対して、第二王子と弟たち、一同が咄嗟に返事をする。
恐怖心の中にも不満が強いチャールズは若干考えた。
(俺、この国の第二王子なんだけどな…)
すると、ゆらりと影を左右に揺らし、トムがチャールズの隣に来て、耳元で小さく呟く。
「殿下、何かおっしゃいましたか?」
「いいいいえ、私は何も言っていませんよおぉぉぉ。」
チャールズは、なぜ心の声が読まれたのかと大量に汗が噴き出し、挙動不信となった。
オリヴィアの弟たちと第二王子は双子に気合を入れられ、これからは本気で彼女に協力しなくてはならないと気持ちを切り替える。
令嬢達と奥に設置されたテーブルへと足を運んでいるオリヴィアはこんな会話が後方で成されているなんて、知る由もない。
オリヴィアの復讐計画に強力な味方が加わった。
テッテレー♪
そんな後方の事など気にも留めず、オリヴィアが奥のテーブルへと令嬢達と共に優雅に歩みを進めていた。
その時であった。
進行方向にあるテーブルから強い悪意に満ちた視線を感じたのだ。
その凄まじい圧力に押され、一瞬だけ横目で視線の先を確認したのだが、恐怖が全身に走った。
そこには見覚えのある令嬢が座っている。
へっ!?
目を疑った…あの人に声を掛けられるのは、非常にマズいよ…。
だがしかし、大群を引き攣れているので、今から進行方向を大きく変えることは困難だ。
どうしたら、よいものか?
あーーーーもう、こうなったら完全に目を合わせずに素通りだ。
それでやり過ごそう。
それしか手はない!! 以上。
そう決めてから速度を少しばかり速め、強烈な視線を送る令嬢たちの座るテーブルを無いものとして通り過ぎようと努力をしたのだが……ダメであった。
中でも一番憤怒の視線を送ってきた令嬢に声を掛けられてしまったのだ。
「そこの貴殿、ちょっとよろしいかしら?」
ぎゃぁぁああああ、よろしくありません。よろしくありませ~ん、終わたぁぁぁぁあ。
そうオリヴィアの脳内に絶叫が反響した。
まだまだピンチが続きます。
声を掛けてきた令嬢の正体は!?
金曜は昼頃投稿します。