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再会★☆

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます☆☆☆

 二人が振り向くと、そこには母とカイルの他に、ウェルト王国の第一王子ジョージと、第二王子のチャールズであった。


「あら、ジョージだわ。」

 ハロルドの肩の隙間から顔を出し、先程の言葉を誰が発したのかをオリヴィアは確認した。


「お前は…昔から私の扱いが雑だな…一応、私は一国の王子なのだぞ。」

 ジョージがぼやく。


「そんなことよりも、ちょっと何なの?その状況!!」

 チャールズがハロルドとオリヴィアの抱擁を指さし、質問する。


「あ、私達、結婚したのよ。」

 満面の笑みでオリヴィアは答える。

 その横のハロルドもいい笑顔だ。


「はぁ?はあ!?どういうことだよ??」

 チャールズは2人の顔を交互に見つつ、近づき迫ると、説明を求めた。


「端的に説明すると、私がアドラシオンで裁判に掛けられて、婚約者から破棄を言い渡されたのよ。そのままだと危険と判断して、その場で彼と結婚したの。」

 本当に短すぎる説明である。


「その場にドルー(大鼠)が居たから。やむを得ず。」

 カイルが補足する。


「あら、でもその結果万々歳だったんじゃない。」

リナがその横で別の補足をする。


「バッ、リナ、しっ!」

 カイルが口に指を当て、静かにしろとリナに見せる。


「なんで…だよ…」

 チャールズは密かにショックを受けていた。


「あら?チャールズはあの靴をやめたのね。」

 オリヴィアが例の詐欺靴を指摘する。


「ああ、皆には上げ底靴を履いていることが知られていたようでな…馬鹿らしくなって見栄を張るのを辞めたのだ。そのままの自分で勝負していこうとそう決めたばかりであったのに。クッ、結婚はまだまだ先のはずじゃあなかったのかよ…」

 最後の方は消えかかる声で話すので、オリヴィアにはよく聞き取れない。


「え?聞こえなかった。最後はなんて?」

 オリヴィアがそう言った瞬間、地獄耳ハロルドがすかさず邪魔をする。


「リヴィ、そろそろ移動しようか。」

 絶妙なタイミングでの会話の遮断だ。


 ジョージはその声とともに動き出す。

 今の状況を把握している者達のもとへと急いで向かった。

 それに続いて、カイルは落ち込むチャールズの腕を引き、彼の後を追いかけた。


「チャールズ殿下、落ち込まないでください。リヴィは結婚をしてしまいましたが、大鼠対策での愚策ですので、今後彼らがどうなるかは、まだ誰にも分かりませんから。」

 とりあえず、チャールズが使い物になるように、カイルは無責任な言葉を述べた。


「そうか…そうだな。よし、まだいける。いけるぞ!」

 その言葉に気力を取り戻し、チャールズは活気を取り戻す。

 しめしめとカイルは彼の後ろをホッとした様子でついて行く。


 恐らく彼の初恋は実らないだろうが、彼を励ます要員は居るようなので安心だと、地獄耳ハロルドは横目で王子を上から目線で眺めていた。


 この誘拐を計画したペネジル国の前国王の第一王子とその一派はウェルト王国の援軍によってキッチリと捉えられていた。

 そして、現国王、今のペネジルを治めている第二王子へとその場で引き渡された。


 彼らをきちんと監視することを約束させ、一行はこの国を後にする。


 オリヴィア達は王子達と共にウェルト王国の王城へ向かう事となり、多くの騎士に守られながら進んだ。


 気遣いのできる優秀な近衛騎士たちが、オリヴィアとハロルドの様子を、チャールズには見せぬように、気力がヘトヘトになりながら進んだことは、本人達には知られていない。


  ***


「ハートフィル侯爵領に寄らなくてよかったの?お母様を連れて来るのではなかったかしら?」

 リナが単馬で並走するカイルへと質問する。


「すでに、大奥様は危険がないようにと王城で匿われている様です。」

 カイルが返答すると、納得したと言うようにリナは首を振った。


 マリー様が亡くなった今、亡国ルタールの現女王はオリヴィアの祖母ハートフィル前侯爵夫人なのだ。


 外見がいつまで経っても若いので、社交界から自然とフェードアウトし、ハートフィル侯爵領で身を潜めて暮らしていたのだが…訂正する、ケイトの姪だと身分を偽り、かなり好き放題に自領で暮らしていたが、大鼠の手広い悪行に危機感を持っていた王家が早い段階で保護をしたのであろう。

 彼女はそんなに軟弱な人間ではないのだが、念には念をというわけであろう。



 途中、王家専用車両だと言う隠すつもりは毛頭ない煌びやかな汽車に乗りこみ、全ての厳しいチェックを終えて、出発し、快適な旅と時短に成功する。


 それによって、王都へは半日もあれば、到着するのだと言う。


 汽車内では皆が少しばかり穏やかな時間を過ごすことが出来た。


 ***



 そしてついに、ウェルト王国の王都へと到着した。

 駅のホームでは、フォード公爵とリナの弟のユーグとイアンが待ち構えていた。

 鼠対策なのであろう、迎えは彼らだけである。


「おかえり、リヴィ。大変だったね…私が付き添えなかったことが、悔しくて仕方がない。」

 そう強く訴えながら、フォード公爵は娘をギュッと抱きしめる。


 抱擁が終わり、姿勢を戻す。

 すると、鉄壁のようにオリヴィアの後ろにピタッと立ち、自分以外から向けられるオリヴィアへの視線を全て遮断しようと躍起になるハロルドを、フォード公爵はキッと睨みつけるのであった。


 公爵がハロルドに言葉を発しようとした瞬間に、汽車からリナが降りてくる。

 それを見たフォード公爵は瞬く間に駆け寄り、リナを抱きしめていた。


モテますね…


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