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【とある公爵の日記より】

ハロルドの日記です。


 今日は目まぐるしい出来事が次々と押し寄せる一日となった。


 オリヴィアの危機を聞き、居ても経っても居られなかった俺は、昔の恋敵であったカイルと協力して動いた。

 昔の私が知ったら何してんだよと怒られる行動だろう。

 だが、オリヴィアの為にも、そうせざる終えなかった。

 彼女の為ならば、昔の恋敵でも味方に出来るのだ。


 しかし、俺の不徳の致すところ、見張られていたにも関わらず、焦りから注意を怠り、敵を彼女の元へと招いてしまった…何て失態だ…なんて…


 下手したらオリヴィアを危険に晒していたかもしれないのに。

 ……不甲斐ない。


 あとでリナにも釘を刺された。

 オリヴィアを守れるのか不安が残ると、そう言われた。

 アーハイム公爵家の後ろ盾が無かったら、結婚はさせられなかったと、ね…手厳しい。


 王城へと連行後もそうだ。

 俺は足手まといであった。

 もっと俺に優れた能力があれば、オリヴィアが傷つけられずに済んだのに…。


 だが結果、婚約が破棄され、俺と結婚となった。


 オリヴィアが傷つき、その事態にならなければ、俺との結婚は無かったのだという事実。

 オリヴィアとの結婚は、本音では最高に幸福な出来事だ。


 棚から牡丹餅まさにそれであろう。

 それだけに、顔に出てしまうニヤケが馬で移動している時に収まらなかった。

 カイルにちゃんと護衛任務を遂行するように怒られたほどだ。

 彼女の不幸の上の私の幸せであるのに、表情は止められなかった。


 オリヴィアと話す際には、もっと気を引き締め、気づかうべきであろう。

 不安にはさせたくない。


 彼女はフォールズ前辺境伯へ言っていたのだ。

 ヘンリーを頼むと…


 俺は結婚できたことは無条件で嬉しいことであるが、彼女は違うのだろう。

 それはそうだ、ヘンリーとは婚約者という共有してきた思いがあるのだから、あんな形での婚約破棄で、はい、さようならと、想いを断つことは出来ないだろう。


 オリヴィアは長年想いを通じてきた恩人と称してヘンリーをそう話していたが、苦渋の選択で婚約破棄をし、俺と結婚したのだから、まだ気持ちはあちらにあるのだろう。


 今のオリヴィアには時間が必要だ。


 兎に角、俺は、この好きだと言うどうしようもない気持ちをオリヴィアに知ってもらい、彼女を愛し、大切にしていく努力をずっとすればいい。

 少しずつでいいから、本当の想い合える夫婦となっていけたならと、そう願うのだ。


 その点、夫婦の片方である私は、もうすでに彼女にメロメロだからな。

 私にも関心を少しでも持ってもらって、どうにか距離を縮めていければ…。

 どうすればよいやら悩むなぁ~

 失敗はしたくない。


 それでだな、もしも、もしも奇跡的に私の事をオリヴィアが愛してくれたならば…

 今はそれは夢物語だが…

 そうなってくれたら嬉しい。嬉しい。



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