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反王家連合軍

週一ですが投稿しております

読んでいただきまして、誠にありがとうございます

 その場にいた者達の頭の中に声が響き反響した。


「ジョージ、聞こえているか!」

 陛下のことをジョージと呼ぶのは、密輸の罪を犯し、まだ最終判決を受けていない為に自宅での禁足令を言い渡され、自宅へと連行されたはずの王弟であった。


 王城の西門付近から雪崩れ込んできた者のたちの先頭で、台に乗り、声を上げている。

 あの距離からでは声は届かないのは明白なのに、なぜかここまで声が届いている不思議をバルコニーに居る者達は只ならぬ事態に酷く混乱して誰もそのことに気づくことなく、指摘する者はいなかった。


「いいか、ジョージよく聞け!!我々は反王家連合軍だ。これから、この国にはない破壊兵器、銃により城の者の制圧を試みる。この破壊兵器は即座に多くの息の根を止められる代物だ。それから、お前達が下手に動こうものならば、お前の居る場所に瞬時に砲弾を撃ち込むことも出来る。いいか、ジョージ。抵抗など考えずに、王座を明け渡せ!!そして、そこに居るフォード公爵夫人と令嬢を速やかに引渡すのだ。」

 王弟がそのセリフを放った後に、皆がリナとオリヴィアへと目線を贈る。

 それは巻き込まれるかの立ちへの同情や憐れみ、もしくは何故彼女達を?という疑問の視線であった。


 そんな視線などお構いなしに、リナは険しい顔をして、何かを考えていた。

「お母様、どうしたのですか?」

 難しい顔をした母親に、オリヴィアは話し掛けた。


「え?ああ、あの銃や砲というものはどういった仕組みの武器なのかしら?弱点は無いのかしらと考えていたの。」

 リナがオリヴィアへ答える。


 オリヴィアは銃について、馬車が襲撃された際の事をヘンリーが語った言葉を思い出した。

『ああ、あれは、銃だ。銃という道具だ。西の大陸で開発され、戦地で人を撃ち殺す為に使われている。近年の東の大陸は平和な状態であったために、大々的には故意に広めないようにしていた。強い武器は人を狂わすからな。火薬という物質を原料にした玉を用いる。構造的に水や湿度に弱い。強い衝撃や重さもあり訓練が必要だ。扱いが非常に難しいのと、扱う側の安全のためにもわが国には必要としてこなかった……』



「そうだわ、確か、銃は水に弱いって、ヘンリーがそう言っていたわ。」

 オリヴィアの言葉に反応し、近くに居たヘンリーが付け加える。

「ああそうだ!銃は水や高い湿度に弱い。それと、大砲も。同じ仕組みを用いている。」


 その言葉を聞いて、リナが閃いたという表情を浮かべると同時にこう言った。

「じゃあ、雨を大量に降らせればよいのね!!」

 キャッキャと楽しそうな声を上げた。


 それに対して、周囲の者達が雨を降らせる??と疑問符を頭に乗せている。

 自分達のルーツを知るオリヴィアはあの力を今使うのかと唾を飲む。


 オリヴィアが真剣な表情で母に尋ねる。

「やるのですか?」


 その質問にリナは易々と答える。

「ええ、簡単よ。」


 会話を聞いていた者が不可解な目でリナを見る。


「あ、でも、広範囲なのと大量の雨を降らせなければならないから、私、1人の力ではちょっと足りないわね。リヴィも力を貸してくれない?」

「ええもちろん、お手伝いします。」

「うん、ありがとう。よし、頑張ろう。」

 親子で会話をしていると、割って入ってくる。


「何かするのですか?」

 アドラシオン国王である。


「はい、魔法を少々。」

 ニコッと笑ってリナがそう返した。


「あなた方は、いったい…」

 ヘンリーが驚いた表情で問う。


「国王様、彼が哀れです。貴方様はあの石を身に着けておられなかったのに、ヘンリー王子へ秘密の暴露はなさらなかったようですね。そこのお約束をきちんと守っていただいたことは素晴らしきことでございますが…ではなぜあの石を…あの石をきちんと身につけてさえいれば…はたまた王子が真相に行きついてさえいたならば、この件の結末は大きく変わっていた事でしょうに。大変残念です。」

 とてつもなく冷静な嫌味が彼らに降りかかった。


「ヘンリー王子!!」

 リナがヘンリーの名を強く呼ぶ。


 強い口調にヘンリーも思わず慌てる。

「は、はい。なんでしょうか、フォード公爵夫人。」


「私達の事を知りたいのであれば、国王様から詳しくお聞きなさい。もう、隠す必要は無いでしょう。それに今、知らなければならない事態となっておりますのでね。ですから、お話してもよろしいかと思います。あなたからしたら、今さら聞いてもと思うでしょうが…」

 その言葉でヘンリーは自分には知らされなかった大人たちだけの秘密があることに大きな不信を抱く。


 最後まで婚約者として彼らに認めてもらえていなかったのだとリナの言葉を聞き落胆し、肩を落とて、小さな声で “わかりました”と返答をした。

 父親である陛下を悔しそうな表情で見つめながら…。

 陛下はその目線に脅え、暗い表情を浮かべ俯いた。


「ちょっと、国王様、凹んでいる場合ではございませんよ。状況を考えて下さい。それより、今、あの指輪は携帯なさっておいでですか?」

 リナが王様に聞くと、国王は両手を見えるよう持ち上げるが、未だに指にははまっていない。

 首をプラプラと振ってみせる国王にリナが言う。


「ああ、もう!さっき苦言を呈した時に侍従に取りに行かせていないだなんて。ハッ、もしかして、失くしたとかではないですよね!?」

 そう言い国王を見つめるリナに汗を掻きたじろぐ国王は、そっと斜め上へと視線を逸らす。


 あ、これ、失くしているわね…。

 リナは大いに呆れた。


「ハロルド!!あなた、さっき渡した指輪は持っているわよね。それを身に着けて、国王様達と室内に避難してちょうだい。今からここ一体に大雨が降るから濡れないよう彼らを室内に誘導して。それと、その指輪の力があれば大砲一発くらいならこの部屋を守れるから部屋から出ないよう注意喚起を。」

 リナが指示を出すが

「分かった!だが、君達は?ここに残るのかい?それならば、この指輪を他の者に預け、私もここに残る。君達を守る。指輪はそうだな、ヘンリー王子に渡すよ。」

 すかさずハロルドは意見した。


「いいや、私がここに残りますよ。私が守る!さあ、あなたは皆と部屋の中に。」

「いいや、私が守る。」

「いえ、私が。」

 二人で指輪を押し付け合っている。


「いいから、2人共足手まといよ。邪魔だから、さっさとここから避難して!!!!!!」

 リナの怒号に2人はビクリと体を跳ね上げる。


「はい!!」

「ひゃい!」

 と声を上げ、急いで他の皆が避難し終えている室内へと移動した。


 窓枠のギリギリのところで、バルコニーの二人をオドオドしながら見守る。



アドラシオン国王の名はジョージでした

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