【とある公爵の日記より】
月夜の晩にの公爵視点
まるで、月の女神。
あの夜、見上げた先で輝くあの娘の姿を見られたのは自分だけ…特別。
ずっと、永遠に独り占めして、このまま眺めて居たいと思ってしまう程に、愛しく神々しい。
そう、考えずにはいられなかった。
いやいや、分かっているだろう、私は彼女とは親子ほどの年が違うと言うのに何を考えているのか!
26歳もの差があるのだぞ。
自分とそうなることなんて…在り得ないことさ。
自分よりか二回りも年下の令嬢にそんな想いを抱くなんて、私はどうかしてしまったのかと何度も何度も考えたが…それでも、自分を押さえ、この気持ちを封印するほどの理由が見出されなかった。
そうつまり、今はまだ、この気持ちを消し去り、彼女を諦めることが出来ていないのだ。
いくつになっても男は子供だなどと、世のマダムたちが口にしていて、そんなことはないと内心反抗していたと言うのにこの様だ。
認めよう、我慢ならんのだ。
婚約者も居るのに、横恋慕は醜い行為だ…分かっているのに…まだ間に合うと、諦めがつかない。
だが大丈夫。
時間は最高の薬であるということを、私は経験から知っている…そのうち、こんな気持ちはきっと薄くなり、忘れられられるはずなのだ。
これまでがそうであったから。
仕事に集中すればどうにかなるのだと。
でも…本当に忘れられるのだろうか??
出来るのか!?
なぜだが、彼女から離れている自分が想像が出来ない。
むしろ、近くに居なければという意識がどんどん強くなり、彼女の事ばかりを考えてしまう。
少しでもお側にと自ら供をかって出て、アドラシオンの滞在を伸ばし、彼女の滞在先まで乗り込んだ。
彼女のいる部屋の下でワザワザ鍛錬をしてしまうくらい執心だ…。
自分の存在を気にかけてくれないか?
少しは意識してくれないか?
そこから顔を出して、私を少しでも見てくれないか?
と、かなりの期待を込めて動いてしまう。
はあ、これは重症だ。
悩める病に身もだえる。
いつもの公爵のモダモダ、いつまで続くのか。
今のところ、諦められていませんよね。