家門に関わる厳重な秘密事項
二話同日、別々の投稿となりまして、お手数おかけします。
前話をお見逃しなく。
キャマドラの間では。
「しっかし、リチャード殿下は、なぜ、何度も君に絡んできたのかな?目的があったのだろうか?」
ウィリアムがオリヴィアへ語り掛け、疑問を口にした。
「接触は、あれだけじゃないのか?」
ヘンリーも尋ねる。
「ああ、お前が行方不明になっている時に、控えの間に来た。ダンスのパートナーをしてやろうかって、部屋を訪ねてきたのだ。」
ウィリアムが答える。
「へ?そんな事、絶対にありえ無いだろう…あいつがダンスのパートナーをかってでるだなんて…あのクズ兄だぞ!?」
ヘンリーは混乱して口が悪くなっている。
「あれは…リチャード殿下ではないわ。全くの別人だった…」
オリヴィアが口を挟んだ。
ヘンリーがさらに混乱する。
「いや、でも、あの姿、形、声も、リチャード殿下でしたよ。皆も見ていますし…確かあの時も、貴女は同じことを言っていましたね?」
ハロルドが問う。
「皆にはあの人がリチャード殿下に見えている。でも私には、あの人は、別の人物に見えているの。彼は、赤茶髪の大男よ。私にはそう見えていた。」
オリヴィアがそう言うと、皆が目を丸くした。
信じられないだろう。
それはそうだ、実際に自分が目の前で見た者と、異なると言っているのだから、普通ではそう突っ込みが起こるだろう状況だ。
「オリヴィア、私は貴女を信じるわ。」
ニコルが前へ進み出て、そう力強く言い切った。
皆がニコルに注目する。
「私には、ハッキリとは見えないけれど、彼がリチャード殿下ではないことは分かった。それは確かよ。私は同じ家系でも受け継がれし者ではないから、ハッキリとは見えず、靄のかかった状態にしか見えなかったけれど…でも、明らかに声や髪の色、体の大きさがリチャード殿下とは異なっていたわ。あれは、リチャード殿下ではない別の誰かだった。皆にはリチャード殿下に思わせるよう幻覚を掛けmそう見せているのよ。」
ニコルがそう証言した。
「それは、いったいどういう事だ?呪術か?薬か?詳しく話してみろ。」
ヘンリーが混乱し過ぎて開き直り、、もっときちんとした情報を求め、強めの命令口調で問いただす。
周りの者達も同様のようで、ニコルに話の真意を求めるように熱い視線を送る。
「皆には悪いけれど、これは、我が家門に関わる厳重な秘密事項だから、いったんこのことを家に持ち帰らせていただくわ。詳しく話すには、家長に発言の許可を貰わないといけないの。」
ニコルが言った。
「我が家の関わる秘密事項ってなんだ?家長はここに居る。だが、ラックランド伯爵家にはそんなものはないぞ?」
ジェームズがニコルに聞く。
「あ、フォールズ辺境伯家の話よ…父とこのことで話をしなければならないわ。オリヴィア、貴女の予定は?」
ニコルは2人の質問を交わしつつ、オリヴィアへと話を進めていく。
「何も決めていないけれど、こんな状況で色々と心配だし…もう少しこちらにいようと思っているの。」
オリヴィアがチラッとヘンリーを見て、答える。
「それならば、明日あなたの元へ迎えに行きますから、一緒にフォールズ辺境伯家へ行きましょう。」
ニコルに押されて、明日の約束をさせられた。
歯切れが悪い出来事に、ここに居る者は後味が悪いと酷く感じていた。
だが、ニコルは話してよいかを当主に確認しなければならないのだと、どうしてもその時間を貰いたいと強く主張し、その場で皆に深々と頭を下げた。
それなので、皆、それ以上は強く出られなかった。
秘密はのちのち解き明かされていくようです。
PV、評価、ブックマークと、読んでくださっている皆様の反応を頂き、感謝しております。
頑張って投稿を続けようと思えます。
ありがとうございます☆★☆